よくある質問
Q よく北枕にすると聞きますが、そうしなくても良いですか?
Q なぜ故人の枕元で蝋燭・樒・線香などを使う風習が生まれたのですか?
Q 枕勤めにおける重大な間違いとか、見当違いな解釈とはどんなことですか?
Q よく北枕にすると聞きますが、そうしなくても良いですか?
A はい。釈尊入滅の故事に倣うと言いますが、無理して現実の方角に合わせる必要はありません。実際はどうあれ、お内仏の安置してある方を西(西方浄土)とみれば、先の図のような形にすれば北枕と同じ事ですので、なるべくその形に準ずるようにすればよいことと思います。現代の住まいは、昔のように真西にお内仏を安置できるようには必ずしも出来ていませんので、現実的対応として、お内仏の方を西と見るという解釈をしています。
Q なぜ故人の枕元で蝋燭・樒・線香などを使う風習が生まれたのですか?
A かつては故人の遺体を見守るために使用したと伝えられています。電気も保冷剤もない昔、納棺するまでの間は、死臭とそれをかぎつけて寄ってくる野生動物との闘いの時でもありました。特に夜は野犬などに襲われる危険もあったことでしょう。夜中明かりを付け続け、線香で死臭を消し続け、野生動物の嫌いな樒を周りに置くことで、納棺そして葬儀の終わるまで、遺体を野生動物から守ってきたと伝えられています。いずれも現在のような明るく、安全で、衛生的な状況の中では必要ないことですが、形だけが残って風習となっている訳です。ですからかつての苦労を偲んでお飾りする分には良いですが、誤って見当違いな解釈をしないよう気をつけて下さい。
Q 枕勤めにおける重大な間違いとか、見当違いな解釈とはどんなことですか?
A 主に、故人の尊厳を蔑ろにする迷信のことです。例えば、どことなく耳にする話として「蝋燭を灯し続けて、線香も一本立てて燃じ続けないかん。それらを絶やさないようにせんと故人が迷い成仏せんぞ」というのがあります。もちろんそんなことは仏法に説かれていません。それどころか仏法の根幹をなす迷い・往生成仏という語句の解釈をも間違わせるひどい迷信であり誤解釈であります。迷いとは、まさにそういう誤解釈に迷う私たちの姿であります。
往生成仏の身として一生を終えられた故人に促され、葬儀という仏事に出遇う身となった私たちであります。故人のため、何かして差し上げたいという気持ちも、元はといえば故人とのつながりの中からいただいたものでありましょう。そんな故人の尊いはたらきに目をつむって、迷うとか成仏しないとか言っているとすれば、とても罪深い事のように思われてなりません。
このように、ちょっとした不注意で見当違いな解釈をして、重大な間違いに陥る私たちですから、ひとつひとつに良く気をつけねばならないのです。故人にとって一度しかない葬儀です。後で間違いに気付き、後悔することの無いように気をつけたいものです。
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