ゲームブック

帰省の際にいつも立ち寄る、駅のショッピングステーション内の書店。お気に入りの教養文庫が並ぶ棚に新顔が挟まっている。引き出してみると、サイコロの絵と”ゲームブック”の文字。自前のPCがなく、コンピュータ雑誌のRPGやADVゲームの広告をいつも羨ましい思いで見ている人間にとって、それはたまらなく魅力的な輝きを放っているかのように見えた
本を開いて洞窟の中へ。それは実に刺激的で恐ろしい体験だった。通路に並ぶ扉を開ける勇気もなく、ひたすら奥を目指した。いかなる幸運(あるいは間違い)によってか、最後の部屋までたどり着き、ふもとの村で聞いた噂話に助けられ、邪悪な魔法使いを倒すことができた。しかし、なんという不運、宝箱の鍵を見つけていなかった私は、箱にもたれてただすすり泣くのであった・・・
その本の題名は「火吹山の魔法使い」 後に全世界で一千万人以上とも言われるファンを生み出したF&Fシリーズの記念すべき最初の1冊であった
今を去ること10数年前、ゲームブックと呼ばれるゲーム(本)が一大ブームを巻き起こしたことがあった
進化の図式はTRPG(多人数、要マスター)→CRPG(一人,要コンピュータ)→ゲームブックとされている。特別な準備も不要で、本1冊あれば手軽に遊べるのが強みである
基本システムは、番号の振られたパラグラフを読み、選択肢を選んで指定されたパラグラフに飛ぶことを繰り返してゴールを目指すこと。これだけの骨組みの上に様々な工夫と魅力的な肉付けがされ、その輝かしいバリエイション達が多くのファンを魅了していった。しかしながら、市場が大きくなれば便乗の粗悪品も増えて玉石混淆となり、厭きられるは世の常
今ではすっかり忘れ去られ、姿を消してしまっている彼らを偲んで・・・私の本棚の片隅に眠るそのひとかけらを揺り起こしてみよう

FIGHTING & FANTASY SERIES
世界的ブームの火付け役となったF&Fシリーズ
日本語版が出るのが遅いのに耐えかね、思い切ってペーパーバックを購入しては遊んでいた。あの頃は地方の書店にもこのシリーズの原語版が並んでいたりしたのだ。これのおかげで結構英語力がついたのではないかと思っている
全体に質は良いが、個人的にはS・ジャクソンの作品の方が好きだ。I・リビングストンの作品は、ものすごく大切な事を情報なしで(しかも前もって)選ばなければならなかったり(5)、何の対策も用意されていないままSKILL12のモンスターとまともに闘わされたり(14)と、結構理不尽な思いをさせられることが多いようで・・・以下所有分
No.タイトル著者/訳者出版社
1火吹山の魔法使いS・ジャクソン,I・リビングストン/浅羽 莢子教養文庫(社会思想社)
2The Citadel of Chaos*Steve JacksonPuffin Books
3運命の森*I・リビングストン/松坂 健教養文庫(社会思想社)
4さまよえる宇宙船S・ジャクソン/浅羽 莢子教養文庫(社会思想社)
5City of ThievesIan LivingstonePuffin Books
6Deathtrap DungeonIan LivingstonePuffin Books
7Island of the Lizard KingIan LivingstonePuffin Books
7トカゲ王の島I・リビングストン/松坂 健教養文庫(社会思想社)
8Scorpion SwampSteve Jackson and Ian LivingstonePuffin Books
9雪の魔女の洞窟I・リビングストン/浅羽 莢子教養文庫(社会思想社)
10House of HellSteve JacksonPuffin Books
11Talisman of DeathJamie Thomson and Mark SmithPuffin Books
12宇宙の暗殺者A・チャップマン/酒井 昭伸教養文庫(社会思想社)
14Temple of TerrorIan LivingstonePuffin Books
15The Rings of KetherAndrew ChapmanPuffin Books
21迷宮探険競技I・リビングストン/喜多 元子教養文庫(社会思想社)
24モンスター誕生S・ジャクソン/安田 均教養文庫(社会思想社)
32奈落の帝王P・メイソン,S・ウィリアムズ/斎藤 ひろみ教養文庫(社会思想社)
45Spectral StalkersPeter Darvill-EvansPuffin Books
46Tower of DestructionKeith MartinPuffin Books
2人用アドベンチャーゲームブック(2分冊)
王子の対決A・チャップマン,M・アレン/深田 宏教養文庫(社会思想社)

ドラゴン・ファンタジー・シリーズ<全8巻>
「14に行け」はお約束。アーサー王伝説を下敷きに、若き勇者ピップの活躍する連作
F&Fシリーズとは全く違う意味で楽しめるシリーズではある
1暗黒城の魔術師J・H・ブレナン/真崎 義博二見書房
3魔界の地下迷宮J・H・ブレナン/真崎 義博二見書房
4七つの奇怪群島J・H・ブレナン/真崎 義博二見書房
6宇宙幻獣の呪いJ・H・ブレナン/高橋 聡二見書房
7幻し城の怪迷路J・H・ブレナン/真崎 義博二見書房

ソーサリー!!<全4巻>
ゲームブックファンには解説不要の四部作
1魔法使いの丘S・ジャクソン/安藤 由紀子創元推理文庫(東京創元社)
2城砦都市カーレS・ジャクソン/中川 法江創元推理文庫(東京創元社)
3七匹の大蛇S・ジャクソン/成川 裕子創元推理文庫(東京創元社)
4王たちの冠S・ジャクソン/高田 恵子創元推理文庫(東京創元社)

日本が生んだ世界に誇る?ゲームブック作者鈴木直人氏の連作
パンタクル2の続編を今だ待ちわびているのだが・・・
スーパー・ブラックオニキス鈴木 直人創元推理文庫(東京創元社)
ドルアーガの塔<全3巻>
1悪魔に魅せられし者鈴木 直人創元推理文庫(東京創元社)
2魔宮の勇者たち鈴木 直人創元推理文庫(東京創元社)
3魔界の滅亡鈴木 直人創元推理文庫(東京創元社)
パンタクル鈴木 直人創元推理文庫(東京創元社)
パンタクル2鈴木 直人創元推理文庫(東京創元社)

その他
宴の跡にはさまざまに取り散らかされたものが残される
掲載順序は難易度&評価順;特に最後の2つは・・・
シャーロック・ホームズ
死者からの手紙
ゲイリー・グレイディ,スーザン・ゴールドバーグ/各務 三郎二見書房
悪夢の妖怪村鳥井 加南子ノン・ポシェット(祥伝社)
ギリシャ神話アドベンチャーゲーム<全3巻>
1アルテウスの復讐P・パーカー他/喜多 元子教養文庫(社会思想社)
2ミノス王の宮廷P・パーカー他/喜多 元子教養文庫(社会思想社)
吸血鬼の洞窟デイヴ・モーリス/鎌田 三平創元推理文庫(東京創元社)
ガバリンスタジオ・ハード編双葉文庫(双葉社)
霧の中の悪夢*

ゲームブック周辺
ゲームブックに飽き足らなくなったら友達を集めてTRPGはいかが?という流れはごく自然なもの
友達のいないあなたにはソロ・アドベンチャーも用意されております・・・
シナリオ・設定集
ファイティング・ファンタジーS・ジャクソン/本田 成二創元推理文庫(東京創元社)
モンスター・ホラー・ショウJ・H・ブレナン/本田 成二教養文庫(社会思想社)
トンネルズ&トロールズ
ファンタジーRPGルールブック
K・S・アンドレ/安田 均教養文庫(社会思想社)
Dungeoneer*Steve JacksonPuffin Books
T&Tソロ・アドベンチャー
傭兵剣士J・ウィルソン/安田 均・清水 みゆき教養文庫(社会思想社)
AF&F
タンタロンの立方体下村 家恵子&グループSNE教養文庫(社会思想社)
四人のキング山本 弘教養文庫(社会思想社)
F&F資料集
タイタンM・ガスコイン/安田 均教養文庫(社会思想社)
モンスター事典M・ガスコイン/浅羽 莢子教養文庫(社会思想社)
*現在手元にないもの
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