Subj:ルール紹介48:ナインティー・ナイン(1) From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:97/03/24 18:57
**********************************************************************           ナインティー・ナイン(Ninety-Nine) 1997/3/24 赤桐  David Parlette氏によって作られた傑作ゲームです。  最初は1974年に"Games & Puzzles"紙に発表され,1977年に彼の著書"Original Card Games"に載せられました。その後,彼の著書だけでなくいろいろな本など で紹介され,多くの人がプレイしています。  ここでは,彼自身によって1990年頃に改良されたバージョンをまず紹介しま す。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <人数>  2人〜5人。ただし,3人ゲームが主なので,まずこれを記述します。 <カード>  普通のカードから,各スートの2〜5を除いた36枚のカードを使用します。  各スートのカードの強さのランクは:   (強)A,K,Q,J,10,9,8,7,6(弱)  です。 <プレイの目的>  このゲームはトリックテイキングゲームです。しかし,トリックをたくさん 取ればよいゲームではありません。  プレイの前に,何トリック取るかをビッドしておき,プレイでは,ちょうど その数のトリックを取ることが目的となります。 <ディール>  最初のディーラーは任意に決めます。次回からは時計回りに交代します。  ディーラーは,各プレイヤーに1枚ずつ全部のカードを配ります。 <ビッド>  プレイの前に,各プレイヤーは,手札から3枚のカードを,他のプレイヤーに 見せないように裏向きにして,自分のそばのテーブルに置きます。この3枚の カードをビッドカードと呼ぶことにします。  ビッドカードは,プレイで使われないという意味では捨て札なのですが,同 時に,プレイで何トリック取るかを秘密のうちにビッドするカードでもありま す。  各ビッドカードには,そのスートにより,次の意味があります。(ランクに は何の意味もありません。)   クラブ:    3トリック   ハート:    2トリック   スペード:   1トリック   ダイアモンド: 0トリック  3枚のビッドカードのスートが表わすトリック数の合計が,ビッドするトリッ ク数となります。  例えば,ビッドカードがクラブ1枚とスペード1枚とダイアモンド1枚だとする と,3+1+0=4トリックがビッドするトリック数になります。  もし,ビッドカードがクラブ2枚とハート1枚ならば,3x2+2=8トリックがビッ ドするトリック数です。  プレイで,ビッドしたトリック数とちょうど同じトリックの数を取ると,ボ ーナス点があります。 <プレミアム・ビッド>  全員がビッドカードをテーブルに置いたあと,プレイが始まる前に,プレミ アム・ビッドの宣言が行われます。  プレミアム・ビッドの宣言に成功したプレイヤーは,プレイにも成功すれば, 高いボーナス点が与えられます。  プレミアム・ビッドには次の2種類があります:  [デクレア(Declaration)]  デクレアを行うプレイヤーは,プレイの前にビッドカードを表向きにして, 自分が何トリック取るかを他の2人に分かるようにします。  [リビール(Revelation)]  リビールを行うプレイヤーも,ビッドカードを表向きにしますが,それだけ でなく,自分の手札全部を表向きにテーブルに置いてプレイします。 <プレミアム・ビッド宣言のやり方>  あるディールにおいて,1人のプレイヤーだけが,プレミアム・ビッドを行う ことができます。誰がそのプレイヤーになるかは,次のようにして決めます。  ディーラーの左側のプレイヤーから時計回りの順に,各プレイヤーは,1回だ け,「デクレア」か「リビール」か「パス」を宣言します。  デクレアの宣言があると,それ以降に宣言するプレイヤーは,リビール(か パス)しか宣言できません。  リビールの宣言があると,それより強い宣言はないので,それ以降に宣言す る順番のプレイヤーは,宣言する機会がなくなります。  例外として,デクレアの宣言の後にリビールの宣言があった場合には,最初 にデクレアを宣言したプレイヤーはもう1度発言の機会が与えられ,リビールを 宣言することができます。  最後にリビールまたはデクレアを宣言したプレイヤーが,プレミアム・ビッ ドを行うプレイヤーになります。  全員がパスをした場合は,プレミアム・ビッドなしでプレイすることになり ます。 <プレイ>  プレイの前に,デクレアを行うプレイヤーは,自分のビッドカードを表向き にします。リビールを行うプレイヤーは,自分のビッドカードを表向きにした あと,手札を表向きにしてテーブルに広げます。  ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードを行います。プレーはごく普 通のトリックテイキングゲームのルールが適用されます。つまり:   1)可能ならば,リードされたスートのカードを出す   2)リードされたスートが手札になければ,どのカードを出してもよい   3)リードされたスートの最高位のカードを出したプレイヤーがトリック     に勝つ。ただし,切札が出されている場合には,最高位の切札が勝つ。   4)トリックに勝ったプレイヤーが次のリードを行う。 <切り札>  最初のディールは,切り札なしでプレイします。  次回からは,前回のディールの結果により切札のスートが決まります。   3人全員のビッドが成功した場合: クラブ   2人のビッドが成功した場合:   ハート   1人だけのビッドが成功した場合: スペード   ビッドが誰も成功しなかった場合: ダイアモンド <得点>  プレイが終了すると,各プレイヤーは次の3つの種類の点数の合計を得点し ます。  1)トリック点   ビッドの成否に関わりなく,自分の取ったトリック1つについて1点。  2)ビッド・ボーナス   ビッドが成功したときに点数ですが,3人のプレイヤーのうち何人が成功し たかにより,つぎのような違いがあります:    3人が成功: 各プレイヤー 10点    2人が成功: 各プレイヤー 20点    1人が成功:        30点   もちろん,ビッドに失敗したプレイヤーは0点です。   なお,ビッド・ボーナスをもらうプレイヤーは,ビッドカードを表向きに   して成功していることを証明する必要がありますが,ビッドに失敗したプ   レイヤーは,ビッドカードを見せる必要はありません。  3)プレミアム・ビッド・ボーナス    デクレア: 30点    リビール: 60点   プレミアム・ビッドが成功した場合,この点数がそのプレイヤーに与えら   れます。   失敗した場合には,プレミアム・ビッドを行ったプレイヤー以外の2人それ   ぞれが,この点数を得点します。 <ゲーム>  誰かの得点(累計点)が100点以上になれば,ゲーム終了です。最も得点の多 いプレイヤーが勝者となります。  勝者だけでなく,得点が100点以上のプレイヤーは全員,100点のボーナス点 がもらえます。  精算を行う場合は,各プレイヤーが他の2人のプレイヤーそれぞれとの間で, 得点の差を支払ったり受け取ったりします。 <ラバー>  3ゲームを1ラバーとしてプレイするすることができます。  ゲームで最初にディールするプレイヤーは,時計回りに交代するようにしま す。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <注1>  スートとトリック数を対応して覚える方法として,Parlett氏は,スートのマ ークの上の方の突起の数を数えるようにと書いています。つまり:  クラブ:    丸い突起3個  ハート:    丸い突起2個  スペード:   上部の尖った所 1個  ダイアモンド: (0の形に似ていると考える?) <注2>  プレミアム・ビッドのやり方として,席順に従って順番に行うのではなく, 自由に宣言を行うという方法もあります。  リビールを宣言したプレイヤーと,デクレアを宣言したプレイヤーがいれば, リビールの宣言をしたプレイヤーが優先します(プレミアム・ビッドの実行者 になります)。  同じ種類のプレミアム・ビッドの宣言が2人以上あれば,ディーラーの左隣の プレイヤーが最も優先順位が高く,時計回りに低くなっていきます。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++  次回に,2人,4人,5人用ゲーム,オリジナルのゲーム,バリエーションなど を紹介します。
Subj:ルール紹介49:ナインティー・ナイン(2) From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:97/03/24 18:59
ナインティー・ナインのルール紹介の続きです。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <4人ゲーム>  52枚のカードを使い,13枚ずつ配ります。  ダイアモンド3枚のビッドは0トリックと10トリックの両方を表わします。0ト リックでも10トリックでも,成功とみなされるわけです。  ビッド・ボーナスは:   4人全員が成功:      0点   3人が成功: 各プレイヤー 10点   2人が成功: 各プレイヤー 20点   1人が成功:        30点  次回の切札は:   4人全員のビッドが成功した場合: ノートランプ   3人のビッドが成功した場合:   クラブ   2人のビッドが成功した場合:   ハート   1人だけのビッドが成功した場合: スペード   ビッドが誰も成功しなかった場合: ダイアモンド <5人ゲーム>  11と12のカードのあるオーストラリアのファイブハンドレッド用カード を使用します(13のカードは使用しません)。60枚になるなので,12枚ずつ 配ります。  ビッド・ボーナスは:   5人全員が成功: 各プレイヤー 10点   4人が成功:   各プレイヤー 20点   3人が成功:   各プレイヤー 30点   2人が成功:   各プレイヤー 40点   1人が成功:          50点  次回の切札は:   4人または全員のビッドが成功した場合: ノートランプ   3人のビッドが成功した場合:      クラブ   2人のビッドが成功した場合:      ハート   1人だけのビッドが成功した場合:    スペード   ビッドが誰も成功しなかった場合:    ダイアモンド  リビールのプレミアム・ビッドはありません。  デクレアのプレミアム・ビッドは,希望する全員に認められます。成功すれ ば50点,失敗すればマイナス50点です。 <2人ゲーム>  ダミーハンドを1つ作り,3人ゲームと同じようにプレイします。  ディールは,各プレイヤーとダミーが12枚の手札になるように配ります。  ダミーの上の3枚は,裏向きのまま,ビッドカードとします。各プレイヤーは 通常通りビッドカードをテーブルに置きます。  プレミアム・ビッドは,デクレアだけが認められます。両方のプレイヤーが デクレアを行うこともできます。  プレイの前に,ダミーハンドは,表向きにされます(スートごとに並べてお きます)。  トリックのプレイは,1)リードするプレイヤー,2)相手のプレイヤー, 3)ダミーハンドの順に行われます。ダミーをプレイするのは,リードを行っ たプレイヤーです。ダミーハンドは通常通りのフォローの規則でプレイされま す。  ダミーハンドがトリックに勝った場合には,1)ダミーハンド,2)前回ダ ミーをプレイしたプレイヤーの相手方,3)前回ダミーをプレイしたプレイヤ ーの順になります。ダミーをプレイするのは,前回ダミーをプレイしたプレイ ヤーです。  得点は,ダミーの分も記録します。  両方のプレイヤーがデクレアを行った場合:   両方とも失敗した場合は: ダミーだけが60点を得点   片方だけが成功した場合は: 成功したプレイヤー  60点                 失敗したプレイヤー  0点                 ダミー  30点   両方とも成功した場合は:  成功したプレイヤー 各30点                 ダミー 0点  ダミーがゲームに勝った場合は,引き分けになります。どちらかのプレイヤ ーがゲームに勝った場合,勝った方に100点のボーナスがつきます。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++  本文のルールは主に John McLeod氏のインターネットのホームページによる ものです(http://www.netlink.co.uk/users/pagat/)。  これによれば,David Parlett氏は1990年にルールを改訂し,このルールはそ の改訂ルールを記述しているということなので,それを信用しました。  しかし,1990年以降に発行されたものも含めて,Parlett氏の著作には,最初 に発表されたルールに近いものが載せられています。(比較的新しい著書には, 本文のルールと似たルールが,バリエーションとして載っています。)  以下は,David Parlett氏の本によるルールを,オリジナル・ルールというこ とで紹介します。 <オリジナル・ルール>  36枚のカードにジョーカーを加えます。各プレイヤーに12枚のカードを配っ たあと,残りの1枚が表向きにされ,切札表示カードとなります。通常は切札表 示カードのスートが切札になりますが,そのカードが9のカードかジョーカー であった場合には,切札はなし(ノートランプ)になります。  ジョーカーは,ビッドカードとしてもプレイにおいても,切札表示カードと 同一のカード(同じスートで同じランクのカード)だとみなします。  9ディールで1ゲームになります。最も高い得点のプレイヤーが勝者です。  最終得点を次のように修正することを薦めています:   100未満の得点    → 0点になる   100点〜199点の得点 → そのまま   200点〜299点の得点 → 2倍される   300点〜399点の得点 → 3倍される    以下同様  初期のルールでは,リビールの時に限り,リビールを行うプレイヤーは,誰 が最初のリードをするかを指定できました。また,最初のカードがリードされ るまでは,手札を公開する必要はありませんでした。 [4人ゲーム]  ジョーカーを使うなどの基本的な違い以外は,本文と同じです。  プレミアム・ビッドはできないと書いてある本もあります。 [5人ゲーム]  ジョーカーを使うなどの基本的な違い以外は,ほとんど本文と同じなのです が,ビッド・ボーナスは次のようになっています。   5人全員が成功:        0点   4人が成功:   各プレイヤー 10点   3人が成功:   各プレイヤー 20点   2人が成功:   各プレイヤー 30点   1人が成功:          40点  また,別のルールとして,次の52枚のカードを使う方法が述べられています。 ジョーカーは使用しません。  10枚ずつ配り,2枚を表にします。高いランクのカードの方のスートを切札に します。同じならば,高位のスートが切札になります。スートの順位は,高い ものから,クラブ,ハート,スペード,ダイアモンドの順です。  ビッドカードは2枚です。ダイアモンド2枚は0トリックまたは8トリックを表 わし,スペードとダイアモンドは1トリックまたは7トリックを表わします。 [2人ゲーム]  ジョーカーを使うなどの基本的な違い以外は,ほとんど本文と同じです。た だし,デクレアは1人しかできません。リビールはやはりできません(できる と書いてある本もあります)。  また,次のような別のルールも述べられています。  各スートの9より下のカードを除いた24枚のカード+ジョーカーを使用します。 ビッド・ボーナスは,2人が成功のとき各プレイヤー 20点,1人だけ成功ならば 10点です。デクレアのボーナスは20点です。  デクレアは認められず,リビールしか認められないと書いてある本もありま す。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <バリエーション> [アンビッド・ナインティーナイン(Unbidden Ninety-Nine)]  Charles Magri氏によるバリエーションです。  ビッドカードを最初にテーブルに出さないで,配られた12枚のカードで, 9トリックのプレイを行います。  残った3枚のカードをビッドカードとして扱います。  プレミアム・ビッドとしては次のようなものが考えられます。   {デクレア}プレイヤーはビッドのトリック数を宣言します。プレイでその    通りのトリックを取り,しかも,その通りのビッドカードを残すことを    目指します。   {オープン}12枚の手札全部を公開します。   {リビール}12枚の手札全部を公開し,ビッドのトリック数を宣言します。               (名称は赤桐がつけました) [スフィンクス(Sphinx)]  Parlett氏自身によるバリエーションです。  ディールのあとすぐに,プレミアム・ビッドの宣言を行います。そのあと, プレミアム・ビッドを行うプレイヤーは,切札を指定します(ノートランプで もかまいません)。  その後で,ビッドカードをテーブルに置いて,プレイを始めます。  ジョーカーは使用しません。プレミアム・ビッドがない場合は,前回のディ ールと同じ切札になります(最初のディールならばノートランプになります)。 [ペニークック・バリエーション(Penycook's)]  プレミアム・ビッドはありません。ゲームの目標点は150点です。 [ノーティー・ナン(Naughty Nun)]  1ゲームは9ディールから成ります。それぞれのディールは次のように切札な どが変わります。  1)ダイアモンドが切札  2)スペードが切札  3)ハートが切札  4)クラブが切札  5)ナン(Nuns): ノートランプ  6)ロンド(Rondo):     各トリックごとにリードされたカードにより切札が変わる。      ダイアモンドのリード: スペードが切札      スペードのリード:   ハートが切札      ハートのリード:    クラブが切札      クラブのリード:    ダイアモンドが切札  7)ホイッスルとフルート(Whistle and flute):     トリックに勝つのは,最も強いスートのカードの内,最も強いランクの     カードを出したプレイヤー。  8)トップ・ドッグ(Top Dog):     トリックに勝つのは,最も強いランクのカード。同じランクならば,最     も強いスートのカードが勝つ。  9)スナップ(Snap):     リードされたカードと同じランクのカードを出して「スナップ」と声を     出すと,切札を出したことになる。他に切札はない。声を出さなければ     切札とは認められない。  スートの順位は,強いものから,クラブ,ハート,スペード,ダイアモンド の順です。  どの種類をプレイする場合でも,リードされたスートがあれば,そのスート のカードを出さなければなりません。  2人でプレイするときには24枚,4人のときは52枚のカードを使います。 [ナイントランプ・バージョン(Nine-Trump Version)]  ノートランプの代わりに,9のカード4枚を切札にします。  この4枚は,そのスートマークとは関係なく,独立したスートとして扱われ ます。  強さの順位は,強いものから,クラブ9,ハート9,スペード9,ダイアモ ンド9の順です。 **********************************************************************