Subj:ルール紹介94:バルビュ1 From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:98/03/20 15:32
********************************************************************** バルビュ(Barbu) 1998/3/20 赤桐  バルビュ(ル・バルビュ Le Barbu)は,19世紀にハート(ブラックレディー) と共通の祖先をもつようですが,ヨーロッパ大陸でルールが発展し,比較的近 年英語圏でも知られるようになりました。  バリビュとはフランス語で「ひげをはやした」という意味ですが,キングの ことを指しているようです。類似のゲームがヨーロッパ大陸で英語の「キング」 という名前でも呼ばれています。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <プレイヤー>  4人。 <カード>  普通の52枚のトランプを使います。  各スートのカードの強さの順位は(強)A,K,Q,J,10,9,8,7, 6,5,4,3,2(弱)です。 <ディール>  最初のディーラーは任意に決めます。次回からは時計回りに交替します。  各プレイヤーに1枚ずつ13枚のカードを配ります。 <ビッド>  ディールが終わると,ディーラーが7つのコントラクトのうちから1つを選び ます。このため,ディーラーのことを,デクレアラーとも呼びます。  各プレイヤーは,自分が今までに選択したコントラクトをもう1度選択する ことはできません。  なお,4人のプレイヤーが7つのコントラクトをすべて選択してプレイしてし まったら,ゲームが終了します。つまり,28ディールで1ゲームになります。 <コントラクト>  7種類のコントラクトがあります。 [ネガティブ・コントラクト]  次の5種のコントラクト(1〜5)はネガティブ・コントラクト(Negative Contract)と呼ばれます。  ネガティブ・コントラクトはすべて切札なしのトリックテイキングゲームで, 次のルールに従ってプレイされます。  1.最初のリードは,デクレアラー(ディーラー)が行います。  2.リードされたスートのカードがあれば,そのうちの1枚を出します。なけ    ればどれでも1枚を出します。  3.リードされたスートのうち,最も強いカードを出したプレイヤーがその    トリックを取ります(そのトリックに勝ちます)。  4.トリックに勝ったプレイヤーが手札から自由に1枚を出して,次のトリッ    クのリードを行います。  (1)ノー・トリック(No Tricks)  1トリック取るごとに,取ったプレイヤーにマイナス2点がつきます。  1ディールの合計点数は,マイナス26点です。  (2)ノー・クイーン(No Queens)  クイーンを取ると,マイナス6点となります。  1ディールの合計点数は,マイナス24点です。  (3)ノー・ラスト・ツー(No Last Two)  最後のトリックを取るとマイナス20点。最後の1つ前のトリックを取るとマイ ナス10点となります。  1ディールの合計点数は,マイナス30点です。  (4)ノー・ハート(No Hearts)  ハートの各カードがマイナス2点となります。ただし,ハートAだけはマイナ ス6点です。  1ディールの合計点数は,マイナス30点です。  プレイのときの特別ルールがあります:手札がハートばかりのときを除いて, ハートをリードしてはいけません。  (5)ノー・ハートキング(No King of Hearts)  ハートのキングを取るとマイナス20点になります。  1ディールの合計点数は,マイナス20点です。  ノー・ハートのときと同じように,手札がハートばかりのときを除いて,ハー トをリードしてはいけません。 [ポジティブ・コントラクト(Positive Contract)]  次の2種がポジティブ・コントラクトになります。  (6)切札(Trump)  デクレアラー(ディーラー)が切札を選び,次のルールのトリックテイキン グゲームを行います。  1.最初のリードは,デクレアラー(ディーラー)が行います。  2.リードされたスートのカードがあれば,そのうちの1枚を出します。なけ    れば他のスートのカードを出します。  3.上記のルールの範囲内で,切札を出すことにより今までに出ているカー    ドに勝てる場合には,勝つことのできる切札を出さなければなりません。    (切札を出せない場合には勝つようにする必要はありません。切札を出    しても勝てない場合には,切札リードのとき以外は,切札を出す必要は    ありません。)  4.トリックに切札が含まれない場合には,リードされたスートのうち,最    も強いカードを出したプレイヤーがそのトリックを取ります(そのトリ    ックに勝ちます)。  5.トリックに切札が含まれる場合には,最も強い切札をだしたプレイヤー    がそのトリックを取ります。  6.トリックに勝ったプレイヤーが手札から自由に1枚を出して,次のトリッ    クのリードを行います。  1トリック勝つごとにプラス5点もらえます。  1ディールの合計点数は,プラス65点です。  (7)ドミノ(Dominoes)  七ならべ(ファンタン/カードドミノ)と同じようなゲームを行います。  まず,デクレアラー(ディーラー)がスタートランクを宣言します。スター トランクというのは,最初に出すカードのランクです。例えば,7とかキング とかいうように宣言します。(普通の7ならべでは7のランクからスタートし ますが,このゲームはデクレアラーが自由に選べるわけです)。  最初のプレイは,デクレアラーが行います。各プレイヤーの行うプレイは, 次のいずれかです:  1.どのスートでもよいので,スタートランクのカードがあれば1枚出します。  2.今まで出されているカードと同じスートで,ランクの1つ上か下かのカ    ードがあれば,1枚を出します。  3.もし出せるカードがなければ,そのプレイヤーは,手札をみんなに見せ    たあと,パスをします(何もプレイしません)。プレイできるカードが    あるのにパスをすることはできません。  カードは2,3,4,5,6,7,8,9,10,J,Q,K.Aの順につ ながります。  手札を全部出してしまったプレイヤーは,上がったことになり,プレイから 抜けます。抜けたプレイヤーがいても,残ったプレイヤーでプレイは続けられ ます。  最初にあがったプレイヤーはプラス45点,2番目に上がったプレイヤーはプラ ス20点,3番目に上がったプレイヤーはプラス5点です。最後に残ったプレイヤー はマイナス5点となります。  全プレイヤーの合計点数は,プラス65点です。  以上,7つのコントラクトの合計点数は0点になります。 <ダブル>  コントラクトが決まり,「切札」では切札が宣言され,「ドミノ」ではスタ ートランクが宣言されたあと,ディーラーの左隣から時計回りの順に,各プレ イヤーに1回ずつダブルの機会が与えられます。  ダブルを宣言するときには,誰に対してダブルをかけるかを宣言しなければ なりません。特定の1人や何人かに対してダブルをかけてもよいし,全員に対 してダブルをかけてもかまいません。もちろん,まったくダブルをかけないこ ともできます。  ただし,デクレアラーだけは,自分にダブルをかけてきた相手に対してしか ダブルをかけることができません。  ダブルがあると,ダブルをかけたプレイヤーとかけられたプレイヤーの間で 得点のやりとりが生じます。 <得点>  得点は下記のような得点表に書き入れます。各行が1つのディールの得点に なります。各行の各プレイヤーの欄には大きいマスと小さいマスがあります。 I--------------------------------------------------------------------- I 名前I I I I I I Iコント I 麻美(A) I ベン(B) I 智恵子(C)I大五郎(D) IチェI Iラクト I I I I IックI  I-------I-------------I-------------I-------------I-------------I----I I切札 I D 15 I IAD 20 I I 0 I I X 30 I I I I I -5 -30 I-20 I 5 -20 I 5 I -30 I-30 I30 20 30I110 I 65 I  I-------I-------------I-------------I-------------I-------------I----I Iノーク I X -6 I I A -6 I I AD 0 I I -12 I I I Iイーン I0 -12 6 I-12 I 0 I -6 I12 12 I 24 I -6 -12 I-30 I-24 I  I-------I-------------I-------------I-------------I-------------I----I I I I I I I I I I I I I I I I I I I I I I I  ダブルがあれば,ダブルを宣言したプレイヤーの大きいマスに,ダブルをか けた相手の頭文字を書いておきます。  例えば,AさんとDさんにダブルをかけた場合,ADというように得点欄に 書いておくわけです。全員に対してダブルをかけた場合には,「X」というよ うに書いておくと便利です。  プレイが終了すると,まずプレイの結果の点数を得点欄に記入します。  次に,各プレイヤーの間での得点を計算します。つまり,プレイヤーをA, B,C,Dだとすると,A−B,A−C,A−D,B−C,B−D,C−Dの 間の得点のやりとりを計算するわけです。  2人の間で,どちらも相手に対してダブルをかけていない場合には,得点のや りとりはありません。  片方のプレイヤーだけが相手に対してダブルをかけている場合,まず,2人の プレイでの得点の差を計算します。得点の多いほうのプレイヤーがこの差をプ ラス点として得点し,少ないほうのプレイヤーはその分マイナス点となります。 点数は,プレイの点数の近くに記入しておきます。  両方のプレイヤーが互いに相手にダブルをかけている場合も同様にしますが, 得点の差は2倍されます。  このようにして点数を書き終わると,各プレイヤーの小さいマスに,そのプ レイヤーのそのディールでの合計得点を記入します。  チェックの欄には,全員の得点を合計したものを書きいれます。これが,そ のコントラクトの合計点数と同じでない場合には,どこかに計算違いがあるこ とになります。 <ゲーム>  すべてのプレイヤーが全部のゲームのデクレアラーとなってしまったら,ゲ ーム終了です。つまり28ディールでゲームが終わることになります。  各ディールの得点の合計が,各プレイヤーの得点となります。全プレイヤー の得点の合計は0点になるはずです。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++  続きます(注釈だけです)。
Subj:ルール紹介95:バルビュ2 From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:98/03/20 15:33
 バルビュのルール紹介の続きです。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <注1>  本文のルールは,インターネット http://www.pagat.com/ に載っていたも のを基にしています。  このルールは,コントラクトブリッジのプレイヤーのあいだで改良され,イ タリアの Blue Club のブリッジチームでよくプレイされていたものだそうです。  このため,用語もブリッジ風になっています。 <注2>  点数については,いろいろなバリエーションがあります。  デクレアラーに対してだけダブルをかけることができ,デクレアラーはダブ ルをかけた全員にだけリダブルをかけることができるというルールもあります。  ラビッジ・シティー(Ravage City)というコントラクトを認めることもありま す。これはネガティブ・コントラクトの一種です。各プレイヤーが自分の取っ たカードをスートごとにまとめ,最も枚数の多いスートの枚数を数えます。そ の枚数が最も多いプレイヤーがマイナス36点となります。2人が同数ならマイナ ス18点ずつ,3人が同数ならマイナス12点ずつ,4人が同数ならマイナス9点ずつ となります。  ラビッジ・シティーのルールを認めた場合,1ゲームは32ディールとなります。 また,全プレイヤーの合計点を0にするためには,他のコントラクトの点数を変 えなくてはなりません。 <注3>  David Parlett氏は著書"Teach Yourself Card Games"や"A Dictionary of Card Games"で,もう少し簡単なルールを紹介しています。本文のルールとの違いは 次の通りです。  1.ディーラーの左隣がデクレアラーとなります。(本文と同様デクレアラー    が最初のプレイを行います。)  2.「切札」のコントラクトのときのフォローのルールが異なります。単に,    リードされたスートのカードがあれば,そのうちの1枚を出し,なければ    どのカードでも出してよいというルールです。切札で勝つことができれ    ば勝たなければならないということはありません。  3.「ドミノ」のコントラクトのとき,デクレアラーがスタートランクを宣     言するのではなく,デクレアラーが最初に出したカードのランクが自     動的にスタートランクとなります。また,プレイできないときに手札     を公開しなければならないという記述はありません。  4.ダブルのルールはありません。 <注3>  フランスのJean-Francois Bustarret氏がインターネット(http://www.a2c.fr/ users/jfb/)で紹介しているルールは本文のものと次のようにかなり違っていま す。  1.プレイヤーは3人〜5人。カードは,2人のときにはスペードとクラブの2 を抜き,3人のときはクラブの2を抜きます。全部のカードを配ります。  2.最初にリードするのは,ディーラーの左隣のプレイヤーです(時計回り でプレイする場合)。  3.次の5つのゲームの種類をこの順番に行っていきます(つまり,5ディー ルでゲーム終了です)。すべて切札はありません。   1)ノー・トリック(Moins de levees):各トリック -5点   2)ノー・ハート(Moins de coeurs):各ハート -5点 3)ノー・クイーン(Pas de dames):各クイーン -20点   4)バルビュ(Barbu/ノー・ハートキング):ハートK -80点 5)サラダ(Salade):上記の1)〜4)の点数がすべて適用される             (各トリック-5点+各ハート -5点+各クイーン-20点              +ハートK-80点)  バリエーションとして,ディーラーがゲームの種類を選ぶというルールも書 かれています。この場合,ディーラーの右隣のプレイヤーが最初のリードを行 います。他のプレイヤーがダブルを掛けて,ゲームを選択したプレイヤー(ディ ーラー)のマイナスの点数を倍にする(または下記にあるようなプラスの点数 のゲームならばその点数を半分にする)こともできるようです。  ゲームの種類のバリエーションとして次のようなものがあるそうです。   6)Plus de levees(トリックをたくさん):各トリック +5点                        (これも切札なしです)   7)Ni premiere, ni derniere(最初と最後はダメ):                       最初と最後のトリック-40点   8)ドミノ(Domino):ルールはDavid Parlett氏のものと同じです。        点数は             1位   2位   3位   4位   5位       5人ゲーム  50 25 0 -25 -50       4人ゲーム  50 20 20 -50       3人ゲーム  40 0 -40  なお,Jean-Francois Bustarret氏の記述ではプラスとマイナスの点数が上記 とすべて逆になっており,プラスの点数を少なく取った方が勝ちということで したが,分かりやすくするため本文の記述の方法に合わせました。 **********************************************************************