Subj:ルール紹介96:ブロット From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:98/07/07 09:04
祝ワールドカップということで,フランスの代表的なゲームを紹介します。 7月4日になかよし村でもやってみました。比較的オーソドックスなトリックテ イキングゲームですが,結構熱中できます。 ********************************************************************** ブロット(Belote) 1998/7/7 赤桐 ルール紹介6に書いたクラバヤスの一種です。1914年ごろにフランスに入っ てきたあと,タロットと並んでフランスの国民的なゲームになりました。フラ ンス以外では知名度の低いゲームですが,面白いゲームです。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ < 人数 > 2人〜4人。 4人ゲームをまず紹介します。向かい合った2人がパートナーに なります。 < カード > 各スートのA,K,Q,J,10,9,8,7の32枚。 < 目的 > トリックテイキングにより点数のあるカードを取ることにより得点します。 手役もあります。 プレイの前に切札を決めたチームは,相手チームより点数をたくさん取らな ければ得点できません。 <カードのランクと点数> 切札の場合 (強) (弱) ランク: J 9 A 10 K Q 8 7 点数: 20 14 11 10 4 3 0 0 切札以外: ランク: A 10 K Q J 9 8 7 点数: 11 10 4 3 2 0 0 0 <手役> 各プレイヤーの配られたカードの中に次のような組み合わせがあれば,点数 があります。 [シークエンス(suite)] 同じスートの3枚以上の続き札です。例えば,スペードのQ,J,10が手 札にあればシークエンスになります。シークエンスを判定するときには, カードのランクは(高)A,K,Q,J,10,9,8,7(低)の順の 並びになります。 3枚のシークエンス(tierce): 20点 4枚のシークエンス(cinquante): 50点 5枚のシークエンス(cent): 100点 6枚以上のシークエンスは数えません(5枚シークエンスの扱いになります)。 [カレ(carre)] 同じランクのカード4枚が手札にあった場合です。例えば,Aが4枚あれば カレになります。ただし,7や8が4枚あってもカレになりません。 どのランクにより,次のように得点が異なります。 J: 200点 9: 150点 A,10,K,Q: 100点 [ブロット(belote)] 切札のキングとクイーンを手札に持っていれば20点が与えられます。 ブロット以外の手役の点数は,最も強い手役を持っているチームにだけしか 与えられません。手役の強さは次の通りです。 1)カレのほうがシークエンスより強い。 2)点数の高いカレのほうが,点数の低いカレより強い。 3)同じ点数のカレでは,ランクの高いほうが強い。ランクは(強)A,10, K,Q(弱)の順です。 4)シークエンスでは,枚数の多いほうが強い。ただし,5枚より多くあって も5枚と同じです。 5)同じ枚数のシークエンスでは,ランクの高いほうが強い。(つまり,最 も高いランクのカードどうしを比べて,そのカードのランクの高いほう が強いわけです。このときのランク順はもちろんA,K,Q,J,10, 9,8,7です。) 6)同じ枚数の同じランクのシークエンスでは,切札のスートのシークエン スのほうが強い。 7)同じ枚数の同じランクの切札以外のシークエンスでは,プレイヤーの席 順を調べます。ディーラーの左隣から時計回りの順で,早い順番のプレ イヤーの手役のほうが強いとみなされます。 強い手役を持っているほうのチームは,それ以外にも2人に手役があれば,そ の手役の点数も得ることができます。 ブロットの点数は,宣言をすれば必ずもらうことができます。 <ティール> 座る位置とディーラーはドローで決めます。ドローのときのカードのランク は(高)A,K,Q,J,10,9,8,7(低)です。最も高いカードを引 いたプレイヤーが自分の座る位置を決め,右隣にはディーラーが座ります。ディ ーラーは最も低いカードを引いたプレイヤーです。 次回からのディーラーは,時計回りに交代します。 ディーラーは右隣にカットしてもらった後,左隣のプレイヤーから,時計回 りにカードを配ります。まず各プレイヤーに3枚ずつまとめて配り,次に2枚 ずつまとめて配ります。 次のカードは表向きにテーブル中央に置き,切札候補カードとします。 <ビッド> ディーラーの左隣のプレイヤーから時計回りの順に,ビッドを行います。 最初の1巡には,切札候補カードのスートを切札にするかどうかをビッドし ます。誰かがこのスートを切札にすると宣言すれば,ビッドはそれで終わりま す。宣言したくない場合は,パスと言います。 最初の1巡で全員がパスをした場合,もう1巡のビッドを行います。このと きには,切札候補カード以外ならどのスートでも切札にすることができます。 誰かがパス以外のビッドをしたらそれでビッドは終了します。 2巡目のビッドも全員がパスをした場合,そのハンドは流れになります。次 のディーラーが新しくディールを行います。 <残りのカードのディール> ビッドが終わると,ディーラーは配り残しているカードから各プレイヤーに 3枚のカードをまとめて配ります。 ただし,切札を決めたプレイヤーには2枚しか配りません。このプレイヤーは 切札候補のカードを手札に入れます。 <プレイの開始と手役の宣言> ディーラの左隣のプレイヤーが最初のプレイを行い,トリックテイキングの プレイを行います。 各プレイヤーの最初のプレイのとき,自分のカードを出す前に,ブロット以 外の手役があれば宣言を行います。宣言は,シークエンスならば「4枚のシー クエンス」などと言い,カレならば「ジャックのカレ」などと言います。 自分より先に自分より強い手役が宣言されていた場合や,手役を宣言したく ない場合は,何も言わなくてもかまいません。 同じ強さのシークエンスが先に宣言されていた場合には,ひとまず同じ宣言 をしておきます。最初のプレイが終わってから,時計回りにランクを宣言して いきます(この場合も後で宣言するプレイヤーは劣っているならば宣言する必 要はありません)。それでも同じならば,どちらかが切札スートかどうかを確 認します。どちらも切札でなければ,席順で優劣を決めます。 最も強い手役のあったプレイヤーとそのパートナーは,手役をすべて宣言す ることができます。ただし,手役を構成するカードはすべて見せなければなり ません(もちろん1トリック目で使ったカードは見せる必要はありません)。 見せた後は,再び手札に戻します。 ブロットはまったく違った方法で宣言します。ブロットを持っているプレイ ヤーは,そのキングかクイーンのうちの1枚を最初にプレイするときに,「ブロ ット」と言います。さらに,2枚目をプレイするときに「ルブロット(rebelote)」 と宣言しなければなりません。 <プレイ> 切札がリードされたときのフォローの規則は次の通りです。 1)今までに出た切札よりも強い切り札を持っている場合, ・強い切札を出さなければなりません。(パートナーが今までで最も 強い切札を出している場合でも,それより強い切札を持っていれば 出さなければなりません)。 2)弱い切札しかない場合, ・弱い切札を出さなければなりません。 3)切札を持っていない場合, ・どのカードを出してもかまいません。 切札以外がリードされた場合は次のようになります。 1)リードされたスートを持ってる場合, ・リードされたスートのカードを出さなければなりません。(強いカー ドを出す必要はありません。) 2)リードされたスートがない場合 i)パートナーが今までで最も強いカードを既に出している場合 ・切札でも切札以外でも,どのカードを出してもかまいません。 ・ただし,パートナーが切札を出しているとき,それより強い切 札を持っているのに,それより弱い切札を出すことはできませ ん(ほかのスートは自由に出すことができます)。 ii)それ以外の場合 ・今までの出ている切札よりも強い切札を持っていれば,強い切 札を出さなければなりません。 ・弱い切札しかない場合でも,切札を出さなければなりません。 ・切札がなければ,どのカードを出してもかまいません。 トリックに勝つのは,切札が出ている場合には最も強い切札を出したプレイ ヤー,切札が出ていない場合にはリードされたスートで最も強いカードを出し たプレイヤーです。 トリックに勝ったプレイヤーが,次のリードを行います。リードするカード に制限はありません。 最後のトリックに勝ったチームには10点が与えられます(dix de der)。 <得点> 各チームは,トリックに勝って取ったカードの点数と,最後のトリックの点 数(勝ったほうに10点)と,宣言した手役の点数を加えたものを得点します。 手役以外の点数の合計は162点になるはずです。 ただし,各チームのこの点数を比較して,切札を決めたほうのチームの得点 のほうが少ないかあるいは同点の場合には,切札を決めたチームの得点は0点 になります。相手チームは,162点に両方のチームの手役の点数を加えたものが 得点となります。 あるチームが全トリックを取った場合には,そのチームは最後のトリックに 勝った10点の代わりに100点をもらえます。これをカポット(capot=カポ)と呼 びます。つまり,252点に自分の手役の点数を加えた得点になります。このとき, 相手チームはブロット以外の手役の点数を得ることができなくなります。 <ゲーム> 何ディールか行って,得点計算の結果,累計点が1000点以上になったチーム があれば,そのチームの勝ちとなります。 どちらのチームも同時に1000点以上になった場合には,点数の高いチームの 勝ちです。同じなら引き分けです。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <オプショナルルール> 「ノートランプ(sans atout)」と「オールトランプ(tout atout)」のビッド を認めることがあります。 ビッドのときには,1巡目でも2順目でも,普通のビッドと同じようにこれら のビッドをすることができます。また,誰かが切札を指定するビッドを行った あとにも,残りの3人は順にこれらのビッドをする機会が与えられます。さらに, ノートランプのビッドのあとにも,残りの3人はオールトランプのビッドをする 機会を与えられます。 ノートランプのときには,切札はないので,フォローできないときには必ず 捨札することになります。ノートランプのときのカードの点数と最後のトリッ クの点数の合計は130点です。 ノートランプのときにはこの点数と手役の点数をすべて2倍にします。 オールトランプは,すべてのカードは切札ということですが,フォローでき ないとき他のカードを出すのは捨札になります。リードされたスートで,今ま での出たカードより強いカードを持っていれば,出さなければなりません。す べてのスートは切札のランクと点数になります。オールトランプのときのカー ドの点数と最後のトリックの点数の合計は258点です。ブロットは最高4組でき る可能性があります。 オールトランプのときにはすべての得点を3倍にします。 ゲーム終了の点数は3000点となります。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <2人ゲーム,3人ゲーム> 1度目のディールは4人ゲームと同じようにして5枚のカードを配ります。2度 目のディールでは,切札を決めたプレイヤーを含め,全員に3枚を配ります。 そのあと,配り残りのカードの束の一番下のカードは表にして切り札候補の 脇に置きます。このカードと切札表示カードはプレイには使われません。単に プレイの時の情報となるだけです。 3人ゲームでは,切札を決めたプレイヤーは,3人の中で最もたくさん点数を 取る必要があります。同点でもいけません。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <バリエーション> ・すべての順番を時計回りではなく反時計回りで行うこともよくあります。 このときには本文の「右」と「左」を逆に読み替えてください。 ・John McLeod氏によると,ディールのとき,シャッフルは行わないで,カッ トだけして配るということです。 ・1度目のディールで,3枚,2枚という順で配るか,2枚,3枚という順で配る かということを,ディーラーが選択できるというルールもあります。 ・切札を決めたチームが相手チームよりたくさん点数を取っているかどうかを 判定するとき,手役の点数を含めないこともあります。 ・トーナメントルールでは,ブロット以外の手役は認めないそうです。 ・現在では,プレイが始まる前に手役の宣言を行うことが多いようです。 ・オールトランプのビッドを認めないで,ノートランプだけを認めることも あります。このとき,誰かが切札ビッドをしたあとでないと,ノートラン プのビッドができないとすることが多いようです。 ・ブロットのときに,キングを先にプレイしなければならないとすることも あります。 ・切札以外がリードされてそのスートを持っていない場合で,パートナーが すでに最も強い切札をだしているとき,それより強い切札を持ってなくて 弱い切札だけ持っているならば,捨て札をすることはできず,弱い切札を 出さなければならないというルールもあります。 ・カポットの点数を88点として,最後のトリックの10点を認めることがあり ます。つまり点数の合計は250点になります。 **********************************************************************