Subj:ルール紹介26:ベジークと2人用ピノクル From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:95/12/21 12:15
********************************************************************** ベジーク(Bezique)と,ピノクル(Pinocle)の2人ゲーム 1995/12/22 赤桐  ベジークは19世紀中頃にフランスで生まれ,他のヨーロッパの国やイギリ スでも盛んになったゲームです。現在では一部に愛好家がいる程度のようです。  オリジナルの32枚のカードを2組使うゲームが衰えてからも,カードを4 組使うルビコン・ベジーク(ジャパニーズ・ベジーク)や,6組使うシックス パック・ベジーク(チャイニーズ・ベジーク)などが盛んにプレイされていた こともありますが,現在ではプレイされていないと思われます。  このゲームはトリックテイキングゲームなのですが,山札から引いてきたカ ードによる点数がかなり大きいゲームです。半分は,麻雀のように役をつくる ゲームであると考えたほうがいいかもしれません。  ピノクルはアメリカのゲームです。ピノクルの2人ゲームは2〜8を抜いた 24枚のカードを2組使うゲームですが,カードの枚数以外は,ベジークとほ とんど同じゲームです。3人用や4人用のゲームはかなり違うゲームですので, 別の機会に紹介します。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <人数>  2人 <カード>  通常の52枚のカードから各スートの2〜6を除いた,32枚のカードを, 2組混ぜあわせて使います。  カードの強さのランクは(強い)A,10,K,Q,J,9,8,7(弱い) の順です。 <ディール>  ドローして高いランクのカードを引いたプレイヤーが,誰が最初のディーラ ーになるかを決めることができます。次回からは,交代にディーラーになりま す。  ディーラーは,カードをまず3枚ずつまとめて配り,次に2枚ずつ配り,最 後に3枚ずつ配ります。つまり,各プレイヤーは8枚ずつ手札を持つことにな ります。  次にディーラーは,配り残しのカードのうち,1番上のカードを表向きにし て,テーブルに置きます。このスートが切札表示カードとなり,そのカードと 同じスートのカードが,そのディールの切札となります。  残りのカードは,切札表示カードの上に交差させて置きます。これが,山札 となります。切札表示カードも,1番下にある山札と考えます。  切札表示カードが7のカードだった場合,ディーラーは直ちに10点得点し ます。 <プレイ>  ノンディーラーが最初のリードを行い,トリックテイキングのプレイをしま す。  リードされたカードのスートをフォローする必要はありません。どのカード でもプレイできます。  通常のトリックテイキングゲームと同様に,切札がプレイされている時は, 1番高いランクの切札を出したプレイヤーが勝ち,切札が出ていない場合は, リードしたカードのスートで,1番高いランクのカードを出したプレイヤーが 勝ちます。  プレイにおいて,同一のカードがプレイされた場合には,先に出した方が勝 ちます。(カードを2組使うので,同一のカードすなわち同じスートで同じラ ンクのカードが2枚ずつあります。)  勝ったプレイヤーは,取ったカードをテーブルの自分のそばに置きます。裏 向きに置いても,表向きに置いてもかまいません。次に,そのプレイヤーは手 役の宣言(後述)を行うことができます。そのあと,山札の1番上から,カー ドを1枚取って,手札に加えます。そのあとで,負けた方のプレイヤーも同様 に1枚とります。それから,勝った方のプレイヤーが次のリードを行います。 <山札がなくなったあとのプレイ>  ただし,最後の山札を取ってしまったら,その直後のトリックから,ルール は次のように変わります:  リードされたカードと同じスートのカードを持っていた場合,同じスートを フォローする義務があり,さらに,可能ならばリードされたカードよりも高い ランクのカードを出さなければなりません。たとえば,ハートの5がリードさ れた場合に,ハートではKと3を持っていたならば,Kを出さなければなりま せん。しかし,3だけしか持っていなければ,3を出します。  リードされたスートのフォローができない場合,切札を持っていたら,切札 を出さなければなりません。リードされたスートも切札もない場合に限り,ど のカードでも捨て札することができます。  山札がなくなったら,トリックを取っても,手役の宣言をすることはできま せん。 <トリックによる点数>  エースと10のカードを,ブリスクと呼びます。トリックで取ったブリスク 1枚につき10点が得られます。  最後のトリックを取ったプレイヤーには,さらに10点が与えられます。  したがって,トリックで得られる点数の合計は90点となります。 <手役>  トリックで勝ったときに,以下のような組み合わせのカードが手札にあった 場合には,手役として宣言して,得点することができます。その手役のカード は,自分の前のテーブルの上に表向きにして公開します。公開されたカードは そのままテーブルに置かれますが,手札の1部として扱われます。  なお,1度に宣言できる手役は1つだけです。つまり,2つ以上の手役を宣 言するためには,2回以上トリックに勝たなければならないわけです。   シークエンス(切札のA,10,K,Q,J)  :  250点   ロイアル・マリッジ(切札のKとQ)      :   40点   普通のマリッジ(切札以外の同じスートのKとQ):   20点   フォー・エース(どのAでも4枚)       :  100点   フォー・キング(どのKでも4枚)       :   80点   フォー・クイーン(どのQでも4枚)      :   60点   フォー・ジャック(どのJでも4枚)      :   40点   ベジーク(スペードのQとダイアモンドのJ)  :   40点   ダブル・ベジーク               :  500点   (スペードのQが2枚と,ダイアモンドのJが2枚)  すでに宣言している手役のカードは,別のカードと組み合わせて,同じ種類 の手役として宣言することはできません。しかし,別の種類の手役の一部とし て宣言することはできます。  例えば,マリッジとして使ったKとQのうちのKを,エイティー・キングの Kの1枚として,後でまた宣言することはできますが,別の同じスートのQと 組み合わせて,再びマリッジとして宣言することはできません。  また,シークエンスを宣言した後に,その中のKやQ(あるいはその両方) を使って,ロイアル・マリッジを宣言することはできません。しかし,ロイア ル・マリッジを宣言した後に,そのカードの両方(または片方)を使ってシー クエンスを宣言することはできます。  同様に,ダブル・ベジークを宣言した後に,そのカードを使ってベジークを 宣言することはできません。しかし,ベジークを宣言した後に,ダブル・ベジ ークを宣言することはできます。ベジークを2つ宣言してから,ダブル・ベジ ークを宣言することも可能です。  なお当然ながら,既にプレイされてしまったカードを手役の一部にすること はできません。 <切札の7>  切札の7を持っているプレイヤーは,そのことを宣言すると,10点が得ら れます。宣言のしかたには次の2つがあります:  1.手役の宣言と同じように,トリックに勝ったときに行います。(ただし,    別に手役の宣言も行うことができます。)この場合には,持っている切    札の7を,切札表示カードと取り替えることができます  2.あるいは,いつでも宣言することができます。プレイするために,切札    の7を出した時でもかまいません。ただしこの場合には,切札の7を,    切札表示カードと取り替えることはできません。  切札の7は2枚あるので,普通は最初の切札の7は1の方法で宣言し,2番 目は2の方法でプレイと同時に宣言します。  どちらの場合でも,切札の7を宣言したカードは,手札に戻します(あるい は,プレイされます)。手役のカードのようにテーブル上に公開しておく必要 はありません。 <得点の方法>  手役や切札の7の得点は,直ちにスコアをつけます。  ブリスク(Aや10)の得点や,最後のトリックの得点は,プレイが終了し てから,つけます。 <ゲーム>  ディールが終了したときに,少なくとも片方のプレイヤーが1000点以上 になっていたら,ゲームは終了します。勝者はもちろん得点の多いプレイヤー です。同点ならば引き分けになります。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <ピノクル(2人ゲーム)>  ピノクルでは,通常のトランプの2〜8を除いた24枚のカードを2組混ぜ て使います。  ディールは,4枚ずつまとめて3回,つまり12枚ずつ配ります。  トリックで取ったカードの点数は,Aが11点,10は10点,Kは4点, Qは3点,Jは2点,9は0点となります。  他のルールは,ベジークと同じです。ただし,切札の7は切札の9になりま す。また,スペードのQとダイアモンドのJの組み合わせは,ピノクルと呼ば れます。  山札がなくなったあとのプレイにおいて,ベジークでは,リードされたカー ドと同じスートのカードを持っていた場合,可能ならばリードされたカードよ りも高いランクのカードを出さなければなりません。  ところが,2人用ピノクルでは,切札以外がリードされた時には,この義務は ありません。切札がリードされたときに限り,可能ならば,リードされた切札 より強い切札を出さなければなりません。  かならずしも,このルールが絶対的なものではなく,ベジークと同じように プレイする人もいるのではないかとも思いますが,私の見たアメリカのルール ブックでは,すべてこのようになっていましたので,従っておきます。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <用語>  本文中の用語の英語の原語は次の通りです。   山札:Stock or Stock Pile, 手役:Meld or Scoring Convination   シークエンス:Sequence,ロイヤル・マリッジ:Royal Marriage,   マリッジ:Marriage or Common Marriage,フォー・エース:Four Aces   or Hundred Aces, フォー・キング:Four Kings or Eighty Kings,   フォー・クイーン:Four Queens or Sixty Queens,フォー・ジャック:   Four Jacks or Forty Jacks, ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <注1>  山札がなくなったあとのプレイは,本文のようでなく,フォローの義務だけ があって,フォローできなければどのカードを出してもよいというルールもあ ったようですが,現在では行われていないと思われます。("Hoyle's Games Moderized" by Lawrence H. Dawson, first published in 1923) <注2>  本文では,最後の山札をとってしまうとき(直前)の手役の宣言は可能とい うことになりますが,このときも手役は宣言できないというルールもあります。 <注3>  切札の7の宣言は必ず,本文の1の方法で行わなければならないというルー ルもあります。逆に,2の方法で必ず行う(交換はしない)というルールもあ ります。  切札の7を1の方法で宣言した場合,手役の宣言ができないというルールも あります。 <注4>  1人が1000点以上得点してゲームが終了したとき,もう1人のプレイヤ ーが500点に達していなかったら,2倍勝ちにするというルールもあります。 <注5>  ゲーム終了の点数を,1000点でなく,1500点や2000点にするこ ともあります。 <注6>  ゲーム終了時に同点の場合には,引き分けでなく,もう1ディールプレイす るという方法もあります(それでも同点の場合はさらに1ディールずつプレイ します。  また,ゲーム終了の点数を,そのような場合だけ,500点上げるというや り方もあります。 **********************************************************************