Subj:ルール紹介12:コンチェルト From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:95/05/25 11:19
今回紹介する「コンチェルト」は,カードゲームの紹介や創作で有名なデビ ット・パーレット氏が作ったゲームです。かなり前に作られたゲームなのです が,彼が最近書いた本の中でも自薦しているので,紹介してみることにしまし た。 パートナーとのコミュニケーションだけがプレイの内容ともいえる,奇妙な ゲームです。私はまだプレイしていませんが,意外に面白いかもしれません。 6月3日のなかよし村でやってみたいと思っています。 なお,最後のほうにパーレット氏の使っているシグナルも載せておきました が,これは見ないで,自分達で工夫したほうが面白いかもしれません。 ********************************************************************** コンチェルト(Concerto) 1995/5/25 赤桐 コンチェルトはDavid Parlett氏の作ったゲームです。同氏の"Original Card Games"(1977)という本で初めて紹介されましたが,その後の彼の著書にも紹介さ れています。 改良が行われていますので,ここでは最新の"Teach Yourself Card Games" (1994)という本のルールを紹介します。 ポーカーの役を基にした,とてもユニークなゲームです。プレイはパートナ ーとの協調をいかにするかいうもので,相手との戦いの要素はありません。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <人数> 4人。向かい合った2人がパートナーになります。 <カード> 通常の52枚のカードを使います。 <ディール> 最初のディーラーは任意の方法で決めます。次回からは,時計回りに左隣の プレイヤーに交代します。 ディーラーは1枚ずつ全部のカードを配ります。各プレイヤーは13枚のカ ードを持つことになります。 <プレイの目的> パートナーになっている2人が1枚ずつカードを出していって,5枚のポー カーハンドを4つ作ります。ポーカーハンドには下記のような点数がついてい るので,4つのポーカーハンドの点数の合計をできるだけ多くすることが,プ レイの目的となります。 ストレートフラッシュ 15点 フォーカード 12点 フルハウス 8点 フラッシュ 6点 ストレート 5点 スリーカード 3点 ツーペア 2点 ワンペア 1点 また,後述するように,パートナーの2人に残っている6枚のカードも,ゲ ームの点数に関係します。 <プレイの順序> 1つのディールは,8つの回に分かれ,次のようにプレイを進行します。も ちろん,その間は配り直しは行われません。 最初の回は,ディーラーの左側のプレイヤーがカードを1枚出します。この ように最初にプレイすることを,リードすると呼びます。この回においては, このプレイヤーとそのパートナーが交互にプレイを行います。相手側のパート ナーは,見ているだけで,プレイには参加しません。 次の回からは,前回リードしたプレイヤーの左隣のプレイヤーがリードを行 い,同じように,そのパートナーと2人でプレイを行います。 こうして,各プレイヤーが2回ずつリードして,8回が終わると,1つのデ ィールが終了します。 <プレイ> パートナーどうしが,交互にカードを1枚ずつ出していきます。ただし,パ ートナーの1人の手札がない場合には,1人だけでカードを出していくことに なります。 自分の番のときに,「パス」を宣言することもできます。パスの宣言をする と,カードを出さなくてかまいません。パスは何度でもできますが,2回続け てパスがあった場合には,次のプレイヤーはパスはできず,必ずカードを出さ なければなりません。つまり,自分がパスを宣言して,パートナーもパスを宣 言した場合には,それ以上パスはできません。 また,リードを行うときには,パスをすることはできません。 パスをする代わりに,「プレイ」を宣言することもできます。この場合,プ レイの宣言をしたプレイヤーのパートナーは,ポーカーハンドを完成するため のカードを1人で出さなければなりません。もし,ポーカーハンドを完成する だけの枚数のカードが手札になければ,手札を全部出し,残りはプレイの宣言 をしたプレイヤーが出します。 プレイの宣言は,パスと同じように,2回続けてパスがあった後には行うこ とができません。 こうして2人の出したカードが5枚になると,ポーカーハンドが完成し,そ の回が終わります。前述したように,その回にリードしたプレイヤーの左隣の プレイヤーがリードして,次の回のプレイを行います。 完成したポーカーハンドは,リードを行ったプレイヤーの前に,みんなに見 えるように表向きに置いておきます。 <得点> 1つのディールの得点は,自分の側が作った4つのポーカーハンドの点数の 合計に,「レフトオーバー(Left-Over)」の点数を足したものです。 レフトオーバーの点数とは,相手の側に残っている6枚の手札から1番点数 の高いポーカーハンドを作り,その点数を10倍したものです。(もし,点数 のあるポーカーハンドが作れないならば,0点となります。) ただし,レフトオーバーの点数を得ることができるのは,4つのポーカーハ ンドの点数の合計が相手側より多いパートナーだけです。 これが同点ならば,それぞれの側に残った6枚のカードからできる最高のポ ーカーハンドを比べて,弱いほうがレフトオーバーの点数を得ます。 <ゲーム> 4ディール終了するか,あるいはその前でも,ディールが終了したときにど ちらかの側が100点に達していたら,ゲームは終了します。高い得点のパー トナーが勝者です。同点ならば,引き分けです。 勝った側が100点以上であり,負けた側が100点未満である場合には, 勝った側に100点のボーナスがつきます。 このようなゲームを何回か行って,どちらかの側の累計点が決められた点数 (500点とか1000点など)になるまで続けるやりかたもあります。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <注1> "Original Card Games"のルールは,本文と次のような点で違います。 1)ストレートの点数が7点である。 2)両方の側が,相手の側の残り札からレフトオーバーの点数を得ることが できる。ただし,ポーカーハンドの点数の10倍ではなく5倍の点数となる。 例外的に,残り札に3つのペアが含まれるときには,レフトオーバーの点数は 15点となる。 3)ディールが終わって,作った4つのポーカーハンドの点数が相手より多 い側は,10点のボーナス点を得る。 4)1ゲームは必ず4ゲームから成る。同点は引き分け。勝ったことや勝ち 方による特別のボーナスはない。 <注2> "A Dictionary of Card Games"(1992) by David Parlett という本のルール は本文のルールに近いものですが,次のような違いがあります。 1)プレイを宣言したときに,パートナーにポーカーハンドを作ることので きる枚数の手札がなかった場合には,残りはプレイを宣言したプレイヤーが出 すが,そのポーカーハンドの点数は0点になる。 2)ゲームが終わったときに,勝った側が100点以上で,負けた側が100 点未満の場合には,2ゲーム勝ちとなる(ただし,3ディール以内でゲームが 終わった場合には,3ゲーム勝ちとなる)。それ以外の場合は,1ゲーム勝ち となる。 3)4ディールを行って同点の場合には,全ディールのレフトオーバーの点 数の合計が多い方が勝ちになる。 4)3ディールして,どちらの側も100点を超えて同点の場合には,4デ ィール目を行う。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <シグナル> 以下に述べるのは,David Parlett氏の使っている,パートナーどうしのシグ ナルです。必ずしもこれに従う必要はありませが,参考までに載せておきます。 [基本方針] 1)リードの次の最初のパートナーのプレイでは,通常パスをします。リー ドした人が何を狙っているのかを次のプレイで知るためです。パスをしないの は,リードされた1枚と自分のカード4枚を使って,高得点のポーカーハンド を作ることができる場合などだけです。 2)このパスのあと,リードした人はもう1枚カードを出して,どのような ポーカーハンドを狙っているのかを明らかにします。ただし,自分の手が弱い 場合にはパスをすることもあります。 リードするプレイヤーの最初の2回(または3回)のプレイにより,次のよ うなシグナルができます。 [ストレートフラッシュシグナル] ストレートフラッシュを狙うには,それを構成するカードのうち,少なくと も3枚のカードが必要です。 最初の2枚を出す順序,つまり高位札と低位札のどちらを先に出したかとい うことと,2枚のランクがどのくらい離れているかということで,次のような シグナルが出せます。 低位カードを先に出した場合 連続するカード 3枚持ち。残りの1枚は高位カードで離れている。 1つ離れたカード 4枚持ち。3枚は連続し1枚はどちらかに離れている。 2つ離れたカード 4枚持ち。全部連続している。 3つ離れたカード 5枚持ち。全部連続している。 高位カードを先に出した場合 連続するカード 3枚持ち。残りの1枚は低位カードで離れている。 1つ離れたカード 3枚持ち。全部連続している。 2つ離れたカード 4枚持ち。中間の1枚が欠けている。 3つ離れたカード 3枚または4枚持ち。中間の1枚か2枚が欠けている。 [フォーカードシグナル] フォーカードを狙う場合,つぎのようなシグナルがあります。 (A)スリーカードを2組以上持っている場合 2組のスリーカードのカードを1枚ずつ出します。例えば,エースのスリー カードと,9のスリーカードを持っていれば,エースと9を1枚ずつ出します。 ただし,出すカードは,同じ色であるが,異なったスートのカードにします。 これに対しパートナーは,どちらかのランクのカードを持っていれば,それ を出して,フォーカードを完成させるようにします。 (B)フルハウスの手札を持っている場合 スリーカードから1枚出し,次にペアから1枚出します。この2枚のカード は異なる色のカードにします。 これに対しパートナーは,最初のカードと同じランクのカードを持っていた ら,それを出すようにします。また,2枚目のカードと同じランクのカードを 2枚持っている場合も,それを出すようにします。 (C)ペアを2組以上持っているが,スリーカードはない場合 ペアになっているカード(同じランクのカード)を2枚出し,次にパスをし ます。 (D)スリーカードがあるが,ペアはない場合 スリーカードから1枚を出して,次にパスをします。出すカードは赤のカー ド,できれば,ハートのカードにします。 (E)ペアが1つだけある場合 ペアから1枚を出して,次にパスをします。出すカードは黒のカードにしま す。黒のカードがなければダイアモンドを出します。 [手札が弱いときのシグナル] パートナーの3回目や4回目の回のプレイのときによく使われるシグナルで す。ときには2回目のプレイで使うこともあります。 このシグナルの特徴は,ストレートフラッシュシグナルと似ているが,別の 意味を持つということです。今までに出たカードや出なかったカードの情報や, 単に手札が少ないことにより,ストレートフラッシュシグナルとの区別はつく はずです。 (A)フラッシュ狙い 5枚のフラッシュが手札にあるときには,1番低位のカードをまず出し,次 に1番高位のカードを出します。 4枚のフラッシュが手札にあるときにも,1番低位のカードをまず出します。 次に高位のカードを出しますが,ストレートができる範囲内のカードにします。 3枚しかフラッシュのカードが手札にないときには,高位のカードをまず出 して,次に低位のカードを出します。可能ならば,この2枚はストレートがで きる範囲内のカードにします。 (B)ストレート狙い 5枚のストレートが手札にあるときには,1番低位のカードをまず出し,次 に1番高位のカードを出します。 4枚のストレートが手札にあるときには,最初に低位,次に高位のカードを 出しますが,できるだけランクの近いカードを出します。できれば,違うスー トにします。 3枚しかストレートのカードが手札にないときには,最初に高位,次に低位 のカードを出します。できれば,違うスートにします。 **********************************************************************