Subj:ルール紹介88:打百分 From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:97/12/31 12:22
**********************************************************************               打百分(Da Bai Fen) 1997/12/31 赤桐  トランプを使った中国のゲームです。いろいろな名前がありルールのバリエ ーションも多いそうですが,中国で最も盛んなカードゲームの1つです。ルー ル紹介69,70の「友達探し」の基になったゲームでもあります。  百分とは100点のことで,1ディールでの点数の合計数です。打百分とは,100 点を争うというような意味になります。私は「ダヒャクブン」と読もうと思っ ていますが,中国語の読みでは「ダーバイフェン」となります。他には「輪番 昇級」と言ったりもします。  ポイントトリックゲーム(カードに固有の点数のあるトリックテイキングゲ ーム)なのですが,中国ゲーム特有の複数枚数のリードがあります。  ルールはJohn McLeod氏のインターネットのサイト(http://www.pagat.com/) によりました。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <プレイヤー>  4人。向かい合った2人がパートナーになります。 <カード>  普通の52枚のカードと2枚のジョーカーを使います。2枚のジョーカーは区別 できなければなりません。1枚を大ジョーカー(大王),もう1枚を小ジョーカ ー(小王)とします。 <切札とカードの強さ>  このゲームでは,1つのスートが切札になるだけでなく,あるランクのカー ドも切札になります。例えば,ハートと8が切札ということになれば,ハート のカード全部が切札で,8のカード(スペード8,ハート8,ダイアモンド8, クラブ8)も切札になります。  また,大ジョーカーと小ジョーカーは常に切札です。  これらのカードは切札のスートに属し,元来のマークのスートには属さなく なります。上記の例では,例えばスペード8はスペードには属さず,切札のス ートとなります。  切札におけるカードの強さは,強いものから順に次のようになります。   1)大ジョーカー   2)小ジョーカー   3)ランクもスートも切札であるカード(上記の例では,ハートの8)   4)ランクが切札である残りの3枚のカード。これらはすべて同じ強さにな     ります。(例では,スペード8,ダイアモンド8,クラブ8が同格)。   5)切札のスートの残りのカード。これらは,通常のカードのランク     (A,K...3,2)の順の強さになります。  切札以外では,通常のカードのランク(A,K...3,2)の順の強さになり ます。 <カードの点数>  カードには次のような点数があります。下記以外のカードには点数はありま せん。    各キング: 10点    各10: 10点    各5: 5点 <各チームのランク>  各チームは,得点すると,カードのランクと同じように表わされる「ランク」 が上がっていきます。最初はすべてのプレイヤーは2のランクです。ランクが Aまで上がれば,そのチームの勝利でゲームは終わります。 <親>  各ディールで,プレイヤーの1人が「親」になります。親がいるチーム(親チ ームと呼びます)はプレイで点数をたくさん取ることをめざします。  親のいない方のチーム(防御チームと呼ぶことにします)は,プレイで40点 かそれ以上取ることを目指します。40点以上取ることに成功したら防御チーム の勝ち,40点未満しか取れなければ親チームの勝ちです。  親チームが勝てば,親チームで親でなかったほうのプレイヤーが次回の親に なります。防御チームが勝てば,前回の親の右隣のプレイヤーが次回の親にな ります。  最初の親の決めかたは,次のディールの項で述べます。 <ディール>  ディールのやり方はヨーロッパのやり方とは全く違い,麻雀のように行いま す。つまり,テーブル中央にシャッフルしたカードを裏向きに置き,各プレイ ヤーが順に,自分でカードを取っていくのです。  まず,親は,シャッフルを行い,誰かにカットしてもらってから,テーブル 中央に裏向きにすべてのカードを置きます。  そのあと,親から順に反時計回りにテーブル中央に置かれたカードの一番上 を1枚ずつ取っていきます。最後の6枚のカードは取りません。従って,各プレ イヤーは12枚ずつの手札になります。  最初のディールでは親が決まらないので,カードをドローして,最も高いラ ンクのカードを引いたプレイヤーが仮親となり,親の代わりにシャッフルを行 い,最初にカードを取ります。なお,カードドローのとき同ランクならば,そ のプレイヤーのあいだで引き直しです。ランクは大ジョーカーが一番強く,小 ジョーカーがその次,それ以降はA,K,...,2の通常のランクです。  [切札決め]  ディールの間に切札のスートを決めます。  切札のランクは,親チームのランクと同じであると,あらかじめ決まってい ます。最初のディールでは,2が切札です。  ディールの間に,プレイヤーが切札のランクと同じランクのカードを引いた 場合には,そのカードを見せて,そのカードのスートを切札にすることができ ます。  例えば,最初のディールのとき,スペードの2を引いてきたら,このカード を見せて,スペード(と2)を切札にすることができます。  誰かがこのようにして切札を決めたら,それ以降のプレイヤーは切札のラン クのカードを引いても切札のスートを決め直すことはできません。  なお,切札のランクのカードを引いても,それを見せる義務はありません。 また,すぐに見せなくてもかまいません。自分の引く番でなくても,いつでも それを見せて切札を決めることができます(もちろんほかのプレイヤーが切札 を決める前でなくてはなりませんが)。  最初のディールでは,切札を決めたプレイヤーが親になります。  [誰も切札を決めない場合]  もしもディールが終わっても誰も切札を決めない場合には,親(仮親)は, 配り残りの6枚のカードを1枚ずつ表向きにしていきます。このとき切札のラン クのカードが出てきたら,そのスートが切札になり,それ以上他のカードは表 向きにしません。  もし,6枚全部を表にしても切札のランクのカードがなければ,6枚の中のジ ョーカー以外の一番強いランクのカードのスートが切札になります。同じラン クならば,先に表向きにしていた方が優先されます。  なお,配り残りのカードを表にしはじめたら,切札のランクを持っている人 は,もうそれを見せて切札のスートにすることはできません。  最初のディールにおいて,このように切札のスートが配り残りのカードで決 められた場合には,仮親が最初の親になります。  [手札に切札がない場合]  ディールが終わって,手札に切札が1枚もない場合には,そのプレイヤーは, 手札を公開して,そのディールを流すことができます。このとき,パートナーに 流すかどうか相談することはできません。  流れになった場合,プレイは行われず,そのときの親(仮親)のパートナー が仮親となって,次回のディールが行われます。  このときのディールでは,切札のランクはあらかじめ決まってはいなくて, 自分のチームのランクと同じランクのカードを引いてきたときに,それを見せ てそのカードのスートとランクを切札にすることができます。  もしも,そのときに誰も切札を決めない場合には,再び流れとなり,そのと きの仮親のパートナーが仮親となり,ディールを行います。 <カードの交換>  親は,テーブルに残っている6枚のカードを手札に加えたあと,手札から自由 に6枚のカードを捨て札します。捨て札したカードは裏向きのまま,他のカード と混じらないように,テーブルの隅に置いておきます(これを中国では底牌と 呼びます)。 <プレイ>  プレイはトリックテイキングゲームの原則に従って行われます。ただし,こ のゲームでは,場合によっては複数枚数のリードを行うことができます。  最初のリードは親が行います。次からはトリックに勝ったプレイヤーがリー ドします。プレイは反時計回りに行われます。  防御チームが点数のあるカードを取った場合,そのプレイヤーの前に点数の あるカードを表向きに置きます。  点数のないカードや,親チームが取った点数のあるカードは,裏向きに捨て 札します。このとき,親が手札を交換したときの捨て札といっしょにならない ように注意してください。  リードすることのできるカードは次のようなものです。   1枚のカード   何枚かのトップカード  これから詳しく説明します。 [1枚のカードのリード]  リードするプレイヤーは,自分の手札からどれでも1枚をリードすることがで きます。  フォローの義務は,ごく普通のもので次のようになります。  1)リードされたスートのカードを持っていれば,出さなければなりません。    そのスートのカードが何枚かあれば,どれを出してもかまいません。  2)リードされたスートのカードがなければ,どのカードを出してもかまい    ません。  トリックに勝つのは次のプレイヤーです。  1)切札が1枚でもプレイされていれば,切札をプレイした人の中で,最も強    い切札を出したプレイヤー。  2)切札がプレイされていなければ,リードされたスートで最も強いカード    を出したプレイヤー。  なお,同じ強さのカードでは,先に出したプレイヤーが勝ちます。同じ強さ のカードとは,切札のランクのカードで切札のスート以外の3枚のカードです。 [トップカードのリード]  あるスートにおいて,あるカードより強いカードが他のプレイヤーの手札の 中にはない場合,そのカードを「トップカード」と呼ぶことにします。  例えば,切札がハートと5だった場合で,あるプレイヤーの手札のスペード のカードがK,J,7,3だった場合,すでにスペードのAとQがプレイされ ていれば,KとJはトップカードになります。  なお,大ジョーカーと切札以外のAは常にトップカードになります。  トップカードは何枚かまとめてリードすることができます。ただし,リード するのは,すべて同じスートのカードでなければなりません。  フォローの義務は次の通りです(番号の少ない方が強い義務です)。  1)リードされた枚数のカードを出さなければなりません。  2)リードされたスートのカードを,リードされた枚数分出さなければなり    ません。もしできなければ,可能な限りそのスートのカードを出し,残    りは他のスートから出します。  トリックは,切札だけを出したプレイヤーがいた場合に限り,そのプレイヤ ーが勝ちます。そうでない場合にはリードしたプレイヤーが勝ちます。  もし,何人かのプレイヤーが切札だけを出した場合には,最も強い切札を出 したプレイヤーが勝ちます。最も強い切札が同じ強さならば,次に強い切札を 比べていきます。  なお,もし複数枚数をリードして,その中にトップカードでないカードが含 まれていた場合には,リボークとなります。リボークをしたチームは,全トリ ックを負けたものとして得点計算します。 <得点>  プレイが終了すると,防御チームは取ったカードの点数を合計します。  親が最初に捨て札した6枚のカードは,最後にトリックに勝ったチームのもの となり,そこに含まれる点数は2倍されます。  防御チームが40点かそれ以上を取れば防御チームの勝ち,そうでなければ親 チームの勝ちです。  勝ったチームは,次のゲーム点を得ることができます。負けたチームは何も もらえません。(ただし,防御チームが40点〜75点の場合は,防御チームの勝 ちですが,ゲーム点はもらえません。)   防御チームの点数  ゲーム点   0点        親チームが2点   0点〜35点     親チームが1点   40点〜75点    得点なし   80点〜95点    防御チームが1点   100点以上    防御チームが2点  既に述べたように,各チームは,得点すると,カードのランクと同じように 表わされる「ランク」が上がっていきます。最初はすべてのチームは2のラン クです。ランクは(低)2,3,4,5,6,7,8,9,10,J,Q,K, A(高)の順です。  勝ったチームは,ゲーム点の分だけランクが上がります。例えば,ランクが 9のチームがゲーム点を3もらった場合,ランクは3つ上がってQになります。  得点計算の結果,あるチームのランクがA(以上)になると,そのチームの 勝利でゲームは終わります。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <注>  ディールが流れになった時に,次のディールでも誰も切札を決めなかった場 合に再び流れになるというのは,John McLeod氏の推測によります。ただし,仮 親のパートナーが次の仮親になるという記述は私の推測です。 **********************************************************************