Subj:ルール紹介92:ダブル・ピノクル1 From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:98/03/20 15:31
これもCrさんがこの会議室の#117で紹介していますが,私も書いておきます。 ********************************************************************** ダブル・ピノクル(Double-Deck Pinochle) 1998/3/20 赤桐 ダブル・ピノクルは前に紹介したピノクル(シングルデッキ・フォーハンド・ パートナーシップ・オークション・ピノクル)と同じぐらい米国で人気のある ピノクルのバリエーションです。 前に紹介したピノクルとの違いは,普通のピノクルのカードを2組使うことで す。ただし9のカードは使わないので,80枚のカードになります。もともとピ ノクルには同じカードが2枚ずつあったので,ダブル・ピノクルでは,同じカー ドが4枚ずつあることになります。 ここで紹介するルールは,正確には,ダブルデッキ・フォーハンド・パート ナーシップ・オークション・ピノクル(Double-deck Four-handed Partnership Auction Pinochle)ということになります。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <プレイヤー> 4人。向かい合った2人がパートナーとなります。 <カード> 各スートの2〜9を除いた20枚のトランプを4組混ぜて使います。ジョーカー は使いません。カードは80枚になります。 <ディール> 最初のディーラーは任意の方法で決めます。次回からは,時計回りに交代し ます。 ディーラーは各プレイヤーに20枚のカードを配ります。 <ビッド> ディーラーの左隣から時計回りにビッドを行います。 ビッドは,パートナー2人で得点するつもりの点数を宣言します。最低のビッ ドは50(点)です。今までにビッドしたプレイヤーがいたら,それより高い点数 をビッドしなければなりません。ビッドしたくなければパスをします。 ビッドの点数は,60点までは1点きざみで,60点以上は5点きざみになります。 つまりビッド可能な点数は51,52,53,...,59,60,65,70,75,80...となります。し かし,この点数のきざみの中ならば,どれだけ高い点数をビッドしてもかまい ません。 パスをしたプレイヤーは,再びビッドをすることはできません。1人を除いて 全員がパスをするまで,何順でもビッドは続けられます。 最後にビッドをしたプレイヤーがデクレアラーとなります。 最初の3人が続けてパスをした場合には,ディーラーは必ず50(点)のビッドを してデクレアラーにならなければなりません。 <メルド(Meld)> ビッドが終わると,デクレアラーはまず切札のスートを決めます。 次に,すべてのプレイヤーは,自分の手札に次のカードがあると,宣言して メルド(手役)の点数を得ることができます。 1.ラン(Run) 切札のA,K,Q,J,10があった場合,15点もらえます。 ランが2組あった場合には,150点となります(切札のA,K,Q,J,10 が2枚ずつあった場合です)。3組なら225点,4組なら300点です。 2.ロイアル・マリッジ(royal Marriage) 切札のKとQがあった場合,4点もらえます。ただし,ランになっている場 合には,この点数は数えません。 ロイアル・マリッジが2組あった場合,つまり切札のKとQが2枚ずつあっ た場合には,8点になります。3組なら12点,4組なら16点です。 3.マリッジ(Marriage) 切札以外の同じスートのKとQがあった場合,2点もらえます。 マリッジが2組あった場合には4点になります。3組なら6点,4組なら8点で す。 4.エース・アラウンド(Aces Around) 各スートのAを持っているとき,10点もらえます。 エース・アラウンドが2組あった場合,つまり各スートのAを2枚ずつ持っ ている場合には,100点となります。3組なら150点,4組なら200点です。 5.キング・アラウンド(Kings Around) 各スートのKを持っているとき,8点もらえます。 2組ある場合には,80点となります。3組なら120点,4組なら160点です。 6.クイーン・アラウンド(Queen Around) 各スートのQを持っているとき,6点もらえます。 2組ある場合には,60点となります。3組なら90点,4組なら120点です。 7.ジャック・アラウンド(Jacks Around) 各スートのJを持っているとき,4点もらえます。 2組ある場合には,40点となります。3組なら60点,4組なら80点です。 8.ピノクル(Pinochle) ダイアモンドのJとスペードのQを持っているとき,4点もらえます。 2組ある場合,つまりダイアモンドJとスペードQが2枚ずつあるときには, 30点もらえます。3組なら60点,4組なら90点です。 1つのメルドで使ったカードを別の種類のメルドでも使うことは可能です。 例えば,切札のKとQが各1枚とそれ以外の各スートのKがある場合,ロイヤル・ マリッジとキング・アラウンドのメルドができます。 しかし,切札のKが2枚とQが1枚あっても,ロイヤル・マリッジが2組できる わけではありません。同じ種類のメルドで,同じカード(切札のQ)を2回使う ことはできないからです。 また,既に述べたように,ランのメルドで使ったカードをロイヤル・マリッ ジでも使うことはできません。 なお,各スートのAとKを全部持っているとき,ラウンドハウス(Round House 別名ラウンドロビン Round Robbin)として24点とすることもありますが,これ はロイアルマリッジ,マリッジ(3組),キング・アラウンド,クイーン・アラ ウンドの点数を加えたものにすぎません。 メルドを宣言するときには,メルドを構成しているカードをすべて表向きに してテーブルに置き,みんなに見せなければなりません。しかし,プレイが始 まる前に手札に戻します。 チームの2人のメルドの点数を合わせても20点に達しないときには,そのチー ムのメルドの点数は0点となります。この場合,メルドのカードを見せる必要は ありません。(プレイによる点数が20点に達しない場合にも,メルドの点数は0点 になります。) デクレアラーのチームのメルドの点数が少なくて,プレイで全部勝って50点 を得たとしてもビッドの点数に達しないときには,プレイを行わないでこのディ ールは終了となります。デクレアラーのチームはビッドの点数だけマイナス点 となり,相手チームはメルドの点数だけを得ます。 <プレイ> デクレアラーが最初のリードを行って,トリックテイキングゲームのプレイ を行います。プレイの順序は時計回りです。 各スートのカードの強さのランクは:(強)A,10,K,Q,J(弱)で す。同じカード(同スート同ランクのカード)の場合には,先に出したカード のほうが強くなります。 切札が出ていない場合は,リードされたスートのカードのうち最も強いカー ドを出したプレイヤーが勝ちます。切札が出ている場合は,最も強い切札を出 したプレイヤーが勝ちます。 勝ったプレイヤーはそのトリックに出たカードを取ります。取ったカードは 裏向けにして,各チームごとにまとめて置きます。 勝ったプレイヤーが次のリードを行ないます。どのカードをリードしてもか まいません。 フォローのルールは次の通りです: 1)リードされたスートのカードがあれば,そのスートを出します。 2)リードされたスートがなければ,切札を出します。 3)リードされたスートも切札もない場合には,どのカードを出してもかま いません。 4)上記の制限の中で,今までに出た最強のカードに勝てるカードを出すこ とができれば,出さなければなりません。 次のことにご注意ください。 a)勝つことができない場合でも,リードされたスートがなく,切札があ れば,切札を出さなければなりません。 b)自分のパートナーが最も強いカードを出していたときでも,そのあと 自分がもっと強いカードを出すことができれば,出さなけばなりませ ん。 <得点> 各チームはそのチームの取ったカードの点数を数えます。カードの点数は次 の通りです: 各A,各10,各K: 1点 それ以外のカード: 0点 さらに,最後のトリックを取ったチームに2点が与えられます。 プレイによる1ディールの全得点は50点になります。 これにメルドの点数を加えたものが,各チームの得点となります。 ただし,デクレアラーのチームは,この点数(プレイの点数+メルドの点数) がビッドの点数以上でない場合には,ビッド失敗となり,このディールの得点 は,取った点数に関わりなく,メルドの点数の分だけマイナス点となります。 また,あるチームがプレイで20点未満しか取れなかったときには,メルドの 点数もプレイの点数も0点になります。それがデクレアラーのチームならば,当 然ビッド失敗となります。 <ゲーム> ディールが終わって得点計算した結果,どちらかのチームの累計点が500点に 達していたら,ゲーム終了です。 両方のチームが500点以上の場合には,どちらが高い得点かにかかわりなく, 最後にデクレアラーになったチームが勝ちます。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <ビッディング・コンベンション> ビッドのときに約束を決めておけば,パートナーどうしが互いの手について 情報を交換することができます。以下は1つの例です。 1)インクアイアリー・ビッド(Inquiry Bid) 50点のビッドや必要最小限のビッドです。パートナーに次に述べるメル ド・ビッドをしてくれるように依頼します。 2)メルド・ビッド(Meld Bid) 自分の手のメルドの内容を知らせるビッドです。最初の1巡に行わなけれ ばなりません。 a.メルドが20点以上あるとき,メルドの点数の10分の1を直前のビッ ドの点数に加えます。 例えば,直前のビッドが52で,メルドの点数が約30点のときには, 55のビッドをします。 最初のビッドのときには50にメルドの点数の1/10を加えます。 b.エース・アラウンドがあり,最初にビッドできるときには,51をビッ ドします。 c.エース・アラウンドが2組あるときには,59をビッドします(ただし, 直前のビッドが58のときには,この意味にはなりません)。 3)ジャンプ・ビッド 1巡目では,メルドが約50点以上あるときには,いきなり60のビッドをし ます(直前のビッドが56点以上の場合は,65のビッドをします)。 2巡目では,直前のビッドより2点高くビッドするだけで,強い手である ことを示すことができます。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <交換> オプショナル・ルールです。 ビッドが終わって切札が宣言され,メルドの宣言が始まる前に,デクレアラ ーのチームの2人がカードの交換を行うことができます。 デクレアラーのパートナーがまず3枚のカードをデクレアラーに渡し,デクレ アラーはそれを手札に加えたあと,その中からパートナーに3枚のカードを渡し ます。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <メルド一覧> 1組 2組 3組 4組 ラン 15点 150点 225点 300点 ロイヤル・マリッジ 4点 8点 12点 16点 マリッジ 2点 4点 6点 8点 エース・アラウンド 10点 100点 150点 200点 キング・アラウンド 8点 80点 120点 150点 クイーン・アラウンド 6点 60点 90点 120点 ジャック・アラウンド 4点 40点 60点 80点 ピノクル 4点 30点 60点 90点 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 続きます(バリエーションだけです)。
Subj:ルール紹介93:ダブル・ピノクル2 From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:98/03/20 15:31
ダブル・ピノクルのルール紹介の続きです。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <バリエーション> [ディール] カードを1度に何枚ずつ配るかは次のようにいろいろなやり方があるようで す。 1)4枚ずつ配る 2)5枚ずつ配る 3)最初に2枚ずつ配り,次回から最後まで3枚ずつ配る 1枚ずつ配ってもよいでしょう。 [ビッド] 各プレイヤーが1度しかビッドができないというルールもあります。また,ビ ッドが2巡しか回らないというルールもあります。 50点以上の場合も5点きざみではなく1点きざみでビッドできることもありま す。逆に100点以上の場合は10点きざみになるというルールもあります。 [ロイアル・マリッジが必要] デクレアラーの手札にはロイアル・マリッジのメルドがなければならないと いうルールも一般的です。なければ,デクレアラーのチームはビッドした点数 だけマイナスの得点になり,このディールは終わります。(初の3人が続けてパ スをしてディーラーが強制的に50(点)のビッドをさせれれた場合にも,このル ールは適用されます。) [メルドの点数] 特定のメルドが3組以上あった場合の点数は,次の3つの例のように,いろい ろあります。 3組 4組 ラン 300点 600点 エース・アラウンド 200点 400点 キング・アラウンド 160点 320点 クイーン・アラウンド 120点 240点 ジャック・アラウンド 80点 160点 ピノクル 90点 270点 3組 4組 ラン 500点 - エース・アラウンド 500点 - キング・アラウンド 400点 - クイーン・アラウンド 300点 - ジャック・アラウンド 200点 - ピノクル 90点 360点 ロイヤル・マリッジ 60点 240点 (2組:30点) 3組 4組 ラン - - エース・アラウンド 150点 200点 キング・アラウンド 120点 160点 クイーン・アラウンド 90点 120点 ジャック・アラウンド 60点 80点 ピノクル 60点 90点 ピノクル(1組)の点数を14点とするルールもあるようです(2組以上の点数 は普通通り)。 ラウンドハウス(各スートのAとKを全部持っているとき)の点数を24点で なく32点とすることがあります。ラウンドハウスに切札の10,J,Qが加わ ったもの(ラン付きラウンドハウス)を39点とすることもあります。ラウンド ハウス2組を240点とすることもあります。 [最低点数] Crさんによれば,本文のようにプレイの点数が20点未満だと,すべての得 点が0になる(デクレアラーならばビッド失敗になる)というルールを「ワイプ・ オフ」バリエーションというそうです。このようなルールを採用しないことも あります。 Crさんのルールによれば,2人とも1度もビッドしなかったときも,メルド の点数だけ0点になります。 チームのメルドの点数が20点未満の場合でも,エース・アラウンドがあれば, 見せなければならないというルールもあります。 [降参] ビッドが成功する可能性があっても,プレイの前に降参(Throw In)すること ができることがあります。ビッド失敗になりますが,相手チームはメルドの点 数だけを得点できます。 [ゲーム] ゲーム終了の点数は500点でなく,350点や450点などのこともあります。 あるチームが1つのディールで全トリックを取った場合,そのチームの勝利で ゲーム終了となるというルールもあります。 [ビッディング・コンベンション] 本文で述べたビッドコンベンションは,Larry W.Nichoras氏のコンピューター ソフトPinochle97の解説によりました。 John Hay氏によると,ビッドのとき可能な最も低いビッドよりも高いビッド をしたら,自分は切札を決めたくないというシグナルであり,実際のビッドと 可能な最も低いビッドの差を10倍した点数のメルドを持っているということに なるそうです。 例えば最初にビッドできるときに54のビッドをすると(54-50)*10=40なので, 約40点のメルドがあることになります。53のビッドのあとに55のビッドをすれ ば,可能な最も低いビッドは54なので,(55-54)*10=10点のメルドということに なります。 Crさんによれば,ビッドのときに,パスをする際に,「バイミー(by-me)」 と言ってパートナーにメルドの点数を知らせることのできるルールもあるそう です。 例えば,ワン・バイミーと言えばメルド10点,ツー・バイミーと言えばメル ド20点というようになります。バイミーを宣言するとパスをしたと見なされま す。 さらにオプショナル・ルールとして、「ハーフ」(=5点)を認めることもあ ります。例えば「トゥー・アンド・ア・ハーフ・バイミーズ」と言えば、25点 のメルドがあるということになります。 [交換] カードの交換の方法には次のようなものもあります。 1)デクレアラーのチームは,互いに,相手から渡されるカードを見る前に, 自分の手札からカードを相手に渡さなければなりません。 2)デクレアラーの相手チームも,このように交換できることもあります。 切札が宣言される前に交換を行うこともあります。 交換の枚数もいろいろです(1枚〜4枚)。 [Toby Thomas氏のルール] Joh McLeod氏のインターネットサイトにあるToby Thomas氏のルールは,本文 のルールと次のように違います。 1)25点がビッドの最低点で,50点までは1点きざみ,50点以上は5点きざみ です。 2)切札を宣言する前に,デクレアラーは欲しいカードのスートを宣言しま す。デクレアラーのパートナーはできる限り3枚全部そのスートのカード を渡さなければなりません。デクレアラーはそれを手札に加えたあと, その中から自由にパートナーにカードを3枚渡します。 3)チームのメルドの点数が20点未満でも得点になります。 4)プレイの点数が20点未満でも,プレイの点数もメルドの点数もそのまま 得点できます。 5)プレイの前に降参(Throw In)することができます。ビッド失敗になりま すが,相手チームはメルドの点数だけを得点できます。 [John Hays氏のルール] John Hays氏のルールは本文のルールの基になったルールですが,次の点が本 文のものと違います。 1)デクレアラーの手札にはロイアル・マリッジのメルドがなければならな いというルールを採用しています。 2)デクレアラーのチームのメルドが20点未満のときは,プレイを行わない でこのディールは終了となりますが,それ以外の時には,プレイで50点 を取ってもビッドが成功しないと分かっていても,プレイをしなければ なりません。 [Geirge Klemic氏のルール] John Hay氏のルールにバリエーションとして載っているGeirge Klemic氏のル ールは本文のルールと次のように違います。 1)ビッドは5の倍数でなければならない。 2)各人1回しかビッドできない。 3)最初の3人がパスした場合,ディーラーは45をビッドしなければならない。 4)エース・アラウンドなどが2組以上あった場合の点数は,単に1組の場合 の点数を組の数だけ掛けたものになる。ただし,ピノクルは2組:30点, 3組:45点,4組:60点となる。 **********************************************************************