Subj:ルール紹介39:ジンラミー(1) From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:96/11/28 22:34
********************************************************************** ジンラミー(Gin Rummy) 1996/11/28 赤桐裕二  ジンラミーはアメリカで生まれたラミーの一種です。単にジン(Gin)と呼ばれ ることもあります。  19世紀の終わり頃からGin Pokerという名前でプレイされていたようですが, その後,得点計算の方法などが改良され,1939年頃から爆発的に普及しました。  現在は一時期のような熱気はありませんが,非常にポピュラーなゲームであ ることは間違いありません。  とても面白いゲームです。運の要素の強いゲームではありますが,かなりの 技術力を要するゲームでもあります。  ルールは簡単ですので,やったことのない方はぜひお試し下さい。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <人数>  2人 <カード>  通常の52枚のカード <ディール>  最初のディーラーには,ドローして低いカードを引いたプレイヤーがなりま す。同じならば,引きなおしです。(ドローとは,カードを裏向けに一列に広 げて,その中から各プレイヤーが1枚を取ることです。)ドローの時には,Kが 最も高位のカードで,以下Q,J,10,9...と続き,Aが最も低いカード とします。  次回からは,直前のプレイで負けた方のプレイヤーがディーラーになります。  ディーラーは1枚ずつ10枚のカードを各プレイヤーに配ります。残りのカード は山札(Stock or Stock Pile)となります。ただし,その一番上のカードだけ は,表にして山札の横に置きます。これが最初の捨て札(Discard)となります。  プレイに捨て札をするときには,この捨て札の上にどんどん重ねていきます。 これを捨て札の山(Discard Pile)といいます。捨て札の山においては,一番 上以外のカードは見えないように重ねなければなりません。一番上以外の捨て 札をプレイ中に見ることは禁止されます。 <プレイ>  プレイは,ノンディーラー(ディールしなかったプレイヤー)が最初に行い, 交互にプレイします。自分の番のときには次の1)2)のプレイを行います。  1)まず,山札または捨て札の山からカードを1枚取り,手札に加えます。取 ることができるのは,山札の一番上のカードか,捨て札の山の一番上のカード です。  2)自分の手札からカードを1枚捨てます。捨てる場所は捨て札の山の上で, 表向きに捨てます。今取ったばかりのカードを捨ててもかまいません。 <最初のプレイ>  ただし,ディール後の最初のプレイの時には,ノンディーラーは山札のカー ドを取ることはできず,最初の捨て札(表向きにされたカード)を取ることし かできません。もし,最初の捨て札を取りたくなかったら,「要りません」と 言います。  ノンディーラーが最初の捨て札を取ったら,通常どおりプレイが進行します。  ノンディーラーが,「要りません」と言ったら,ディーラーの番になります。 この時のディーラーも,山札のカードを取ることはできず,最初の捨て札を取 ることしかできません。これを取りたくなかったら,「要りません」と言いま す。  ディーラーが最初の捨て札を取ったら,通常どおりプレイが進行します。  ディーラーも「要りません」と言ったら,またノンディーラーの番になりま す。ノンディーラーは,こんどは必ず山札からカードを取ってプレイを行いま す。以降は通常のプレイになります。 <プレイの目的>  プレイの目的は,手札のなかで,カードの特定の組み合わせをできるだけ作 ることです。これをメルドと呼びます。メルドには次の2種類があります。  1)同じランクのカードの3枚または4枚のセット   例えば,キングを3枚とか,5を4枚とか,Aを3枚とかです。  2)同じスートの3枚以上の続いたカード(シークエンス)   例えば,クラブの10,J,Qとか,ハートのA,2,3,4.5とかで す。  Aは2の下にしか続けることができません。つまり,A,2,3のシークエ ンスはOKですが,Q,K,Aはだめです。もちろん,K,A,2もだめです。  メルドは,手札の中にあるので,組み替えたり,メルドを崩して捨て札する ことも自由です。 <ノック(Knock)>  手札の中で,メルドになっていないカードの点数の合計が10点以下になるよ うなら,「ノック」をすることができます。ノックをするとプレイは終了しま す。  カードの点数とは次のものです:   A:     1点   2〜10:  数字通りの点数   J,K,Q: 10点  ノックは,自分の番の時に,捨て札をするときに宣言します。ノックのとき は捨て札を裏向きに出します。  麻雀のように捨て札をする前に上がるのではなく,捨て札をしたあとの手札 が問題になります。捨て札をしたあとの手札で,セットになっていない余った カードの点数の合計が10点以下になったら,ノックできるわけです。  例えば,カードを山札(または捨て札)から取ったときに,次のような手札 になった場合,   スペード    9,10,J,Q   ハート     2,6     ダイアモンド  A,2,6,K   クラブ     6  ダイアモンドのKを捨て札することにすると,ハート6,ダイアモンド6, クラブ6の同じランクのカード4枚のメルドと,スペードの9,10,J,Qの シークエンス4枚のメルドができています。余ったカードはハート2とダイアモ ンドのAと2の3枚になります。余ったカードの合計点は5点なので,ノックを することができます。  ノックをしたら,そのプレイヤーは手札を公開します。どのような種類のメ ルドを作っているかが明らかになるように,メルドになっているカードは,各 メルドごとに分けて並べ,メルドになっていないカードも別にところに並べま す。 <つけ札(Lay Off)>  一人のプレイヤーがノックをすると,もう一人のプレイヤーも同様に手札を 公開しますが,その前に相手のメルドにつけ札をすることができます。  つけ札とは,自分の手札からカードを出して,相手のメルドに付け加えるこ とです。同じランクの3枚のカードのメルドに4枚目のカードをつけ札したり, シークエンスを上や下に伸ばすカードをつけ札することができます。  例えば,前記の例では,スペードの6を6のメルドにつけ札することや,ス ペードの8やKをシークエンスにつけ札することができます。また,スペード の8も7もあった場合などは,この両方をつけ札することもできます。  つけ札ができる場合でも,かならずしもつけ札する必要はありません。  メルドになっていない相手のカードに対してつけ札することはできません。 (たとえ,それによってメルドを作ることができる場合でも,だめです。) <プレイ後の点数計算>  つけ札が終わったあと,両方のプレイヤーが自分の手札で,メルドやつけ札 にならなかった余ったカードの点数を合計します。  通常は,2人のこの点数の差額がノックしたプレイヤーの得点となります。  ただし,この点数が同点の場合や,ノックしたプレイヤーの方が点数が多い 場合には,差額に25点をプラスしたものが,ノックしなかったほうのプレイヤ ーの得点となります。これをアンダーカット(Undercut)と呼びます。  得点は必ず片方のプレイヤーだけに与えられます。(つまり,もう1人の得 点は0点です) <ジン>  ノックをするときに,捨て札後の手札のすべてのカードがメルドになってい るとき,これをノックと呼ばないでジンと呼びます。つまり,余ったカードが ないときのノックをジンと呼ぶわけです。  ジンのときは,余ったカードの点数が0点なので,相手の余ったカードの点数 が得点になりますが,これに25点をプラスします。この25点をジン・ボーナスと 呼びます。  ジンの時には,相手はつけ札をすることはできません。  ジンのとき,もし相手が0点だったとしても,アンダーカットにはなりません。 ジン・ボーナスだけの得点となります。(これは相手がジンを宣言するのを忘れ ていた場合だけです。) <引き分け>  あるプレイヤーが山札からカードを取って捨て札を行い,その結果山札の残 りが2枚になったら,その回のプレイは引き分けになります。  引き分けの時には,どちらにも得点はつきません。  次のディールは,その回と同じプレイヤーがディーラーになります。 <ゲーム>  ディールが終わって,どちらかのプレイヤーの累計点が100点かそれ以上にな っていたら,そのプレイヤーの勝ちとなり,ゲームが終了します。  ゲームが終わったら,各プレイヤーは,今までの累計点に次の点数を加えま す。  1)得点した回数に25点を掛けたもの。これをボックス・ボーナス(Box Bonus or Line Bonus)とよびます。  2)ゲームに勝ったプレイヤーは100点のボーナスがあります。これをゲーム・ ボーナス(Game Bonus)と呼びます。  3)ゲームに勝ったプレイヤーは,相手が全く得点していなければ,さらに 100点のボーナスを得ます。これをシャットアウト・ボーナス(Shutout Bonus) と呼びます。  両方のプレイヤーの上記の合計得点を出してから,その差額を計算します。 それが最終的な点数です。つまり,敗者から勝者に支払うべき点数となります。 <得点の記入と計算例>  次に挙げるのが典型的な得点の記入例と計算例です。(記入の仕方は,この 通りでなくてもかまいません。)  得点経過が,太郎15点,太郎32点,花子20点,花子5点,花子42点,花子9点, 太郎12点,花子28点だとすると。 太郎 I 花子 ----------------------- 15 I 20 32/47 I 5/25 "/"の左側はその回の得点 12/69 I 42/67 右側は累計点 I 9/76      ("/"の代わりに"-"を使ったり, I 28/104 累計点だけを書くこともある) ----------------------- 75 I 125 ボックス・ボーナス I 100 ゲーム・ボーナス ----------------------- 144 I 329 69+75=144, 104+125+100=329 花子は 329-144=185点の勝利 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <注1>  ディールのとき,ノンディーラーには11枚を配るというやり方もあります。 この場合,捨て札のところには何も置きません。従って,そのカードを取るか 取らないかをノンディーラー(やディーラー)が決めることもありません。  ノンディーラーは最初のプレイのとき,カードを取らないで,捨て札だけを します。以後は通常のプレイとなります。 <注2>  捨て札の一番上からカードを取った場合には,そのカードを直ちに捨てるこ とはできない,というルールを採用することもあります。 <注3>  ジンのときでも,つけ札ができるというルールもあります。ただし,つけ札 をして0点になってもアンダーカットにはならず,ジンのプレイヤーが,ジン・ ボーナスの点数だけ勝ちます。 <注4>  ジン・ボーナスは,20点のこともあります。アンダーカット・ボーナスは10 点〜20点のこともあります。ボックス・ボーナスも20点のことがあります。  例えば,John McLeod氏のWWW(http://www.netlink.co.uk/users/pagat/ rummy/ginrummy.html)のルール(記述はMagnus氏)では,ジン・ボーナスは20 点,アンダーカット・ボーナスは10点,ボックス・ボーナスは20点です。 <注5>  ゲームの終了点数を100点ではなくもっと高くすることがあります。例えば, 125点,150点,200点などです。ゲーム・ボーナスやシャットアウト・ボーナス は終了点数と同じになります(125点,150点,200点など)。 <注6>  シャットアウトの場合,100点プラスする代わりに,ボックス・ボーナスやゲ ーム・ボーナスを含めた全部の点数の合計を2倍する,というやり方も広く行わ れています。  また,ボックスボーナスは2倍にはしないで,それ以外の点数(累計点とゲー ム・ボーナス)を2倍するというやりかたもあるようです。 <注7>  ディーラーは,直前のプレイで勝った方のプレイヤーが行うというルールも あります。  また,交互に行うというルールもあります。(これが最も公平です。) <注8>  山札の残りが,2枚ではなく,3枚になったときに引き分けになるというルー ルもあります。  また,山札の残りが2枚(または3枚)になったときに,次のプレイヤーは, 捨て札を取ってノックやジンをすることができるならば,そうしてもよい,と いうルールを採用することもあります。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <用語>  捨て札の一番上のカードのことをアップカード(Up Card)と呼びます。  ここでは,カードの組み合わせの事をメルド(Meld)と呼びましたが,普通は 単にMatched Set(適合した組み合わせ?)と呼ぶことが多いようです(本文で メルドという言葉を使ったのはその方が言いやすかったからです)。  このメルドという言葉の使い方は,他のほとんどのラミーの場合とは違って います。他のラミーの場合には,組み合わせになってテーブルの上に公開され ているカードを言います。  メルドのうち,同じスートの続いたカードは,本文でも述べたように,シー クエンス(Sequence)と呼びます。  メルドのうち,同じランクの3枚または4枚については,特に呼び名がないこ とが多いのですが,グループ(Group)と呼ぶこともあります。ジン・ラミー以外 のラミーでは,このようなものをセット(Set)と呼ぶことが多いようです。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
Subj:ルール紹介40:ジンラミー(2) From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:96/11/28 22:34
1996/11/28 赤桐裕二  ジンラミーのルールの続きです。ここではバリエーションであるオクラホマ・ ジンを紹介します。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <オクラホマ・ジン>  ジンラミーのバリエーションですが,非常にポピュラーなものです。  普通のジンラミーの場合には,ノックができるのはメルドになっていない余 ったカードの点数の合計が10点以下の時ですが,このゲームでは,最初の捨て 札(ディールの時に捨て札の場所に置かれたカード)によってその点数が変わ ります。  K,Q,Jの絵札の時には,通常のジンラミーと同じく10点以下のときノッ クができます。2〜10の場合は,その数字の点数以下のときノックができま す。  Aの時には,例外的に普通のノックは許されず,ジンであがることしかでき ません。  なおオプショナルですが,最初の捨て札がスペードであった場合,その回の 点数は2倍になるというルールもよく採用されます。(2倍になるのは,ジン・ ボーナスやアンダーカット・ボーナスを含めてです)。  オクラホマ・ジンの場合,ゲームの終了点数は150点になることが多いようで す(200点のこともあります)。もちろん,ゲーム・ボーナスやシャットアウ ト・ボーナスもこれに伴って150点(または200点)になります。 **********************************************************************