Subj:ルール紹介80:ハート[米国ルール] From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:97/12/03 18:35
********************************************************************** ハート[米国ルール] (Hearts) 1997/12/3 赤桐  ハートは19世紀の終わりごろに生まれたゲームですが,ルールが簡単で面白 いため,現在では英語圏の国で最も普及しているカードゲームの1つとなってい ます。  ここでは,アメリカ合衆国で行われているルールを取り上げます。ブラック マリア(Black Maria)と呼ばれる英国のルールや,ブラックレディーとしてなか よし村などで行われているルールは別に紹介したいと思います。また,ハート には魅力的なバリエーションがたくさんありますが,それらも別になります。  ルールは,いろいろ調べましたが,John Hay氏のインターネットのサイト (http://www.geocities.com/TimesSquare/2767/)のものが最も参考になりま した。けがわさんのNiftyへの書き込みも参考にさせていただきました。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <プレイヤー>  3人〜5人。まず4人用ゲームを紹介します。 <カード>  普通の52枚のカードを使います。  各スートのカードの強さの順位は(強)A,K,Q,J,10,9,8,7, 6,5,4,3,2(弱)です。 <ディール>  最初のディーラーは任意に決めます。次回からは時計回りに交替します。  各プレイヤーに1枚ずつ13枚のカードを配ます。 <パス>  カードが配られたら,各プレイヤーは,自分の手札から3枚のカードを選ん で,ほかのプレイヤーに裏向きで渡します。これをパス(pass)と言います。自 分のカードを渡す前に,受け取るカードの中身を見てはいけません。  パスのやり方は,次のようにディールごとに異なります。  1.最初のディールでは,左隣のプレイヤーにカードを渡す。  2.2度目のディールでは,向いのプレイヤーにカードを渡す。  3.3度目のディールでは,右隣のプレイヤーにカードを渡す。  4.4度目のディールでは,パスを全く行わない。  5度目のディールからは,最初に戻って,左隣→向い→右隣→パスなし→左隣 ...というようになります。 <プレイ>  パスが終わるとトリックテイキングゲームのプレイが始まります。  最初にリードするのは,クラブの2を持っているプレイヤーで,かならずク ラブの2をリードしなければなりません。  それ以降は通常のトリックテイキングゲームのルールに従います。切札はあ りません。つまり:  1.リードされたスートのカードがあれば,そのうちの1枚を出します。なけ    ればどれでも1枚を出します。  2.リードされたスートのうち,最も強いカードを出したプレイヤーがその    トリックを取ります(そのトリックに勝ちます)。  3.トリックに勝ったプレイヤーが手札から自由に1枚を出して,次のトリッ    クのリードを行います。  ただし,ハートのリードができるのは,ハートのカードが1枚でも既にプレイ されている場合,あるいは,手札にハートしかない場合に限られます。 <得点>  トリックで取ったカードについて,次の罰点がつきます。   ハートの各カード: 1点   スペードのQ:   13点  ただし,1人のプレイヤーがすべての罰点のカードを取った場合,そのカード の罰点はなくなり,逆にマイナス26点の罰点(つまり26点の得点)となります。 これをシュート・ザ・ムーン(Shooting the Moon)と呼びます。 <ゲーム>  ディールが終わって,誰かの累計の罰点が100点かそれ以上になれば,ゲーム 終了です。  罰点の累計点の最も少ないプレイヤーが勝者となります。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <3人ゲームと5人ゲーム>  ディールのとき均等に配ると1枚か2枚カードが余りますが,次のいずれかの やりかたで処理します。(余ったカードは裏向きに置いておきます)。  1.最初のトリックを取ったプレイヤーがそのカードを取る(全員がそのカ    ードを見てから取ったカードの中に入れます)。  2.最初に罰点のあるカードを取ったプレイヤーが,上記と同様にそのカー    ドを取る。  3.最初のトリックを取ったプレイヤーがそのカードを取って手札に入れ,    それと同じ枚数のカードを捨て札する。捨て札はそのプレイヤーの取    ったカードとして扱う。  4.最初に罰点のあるカードを取ったプレイヤーが,上記とおなじように    手札にいれて捨て札する。  5.最初から1枚か2枚のカードをぬいておく。3人ゲームならば,ダイアモン    ドの2またはクラブの2を,5人ゲームならばダイアモンドの2とクラブ    の2を抜くことが多いようです。クラブの2を抜く場合には,最初のリー    ドはクラブの3で行う。  パスのやり方は,3人ゲームの場合,次のいずれかです:  1.左隣→右隣→パスなし,の繰り返し  2.左隣→右隣,の繰り返し  もし,3枚ではなく4枚のカードをパスすることにすれば,スキャッターを入 れることもできます(2枚ずつ各プレイヤーにパスする)。  4人ゲームの場合は:  1.左隣→右隣→パスなし,の繰り返し  2.左隣→右隣,の繰り返し  3.左隣→左から2番目→右から2番目→右隣→パスなし,の繰り返し  4.左隣→左から2番目→パスなし→右から2番目→右隣→パスなし,の繰り    返し  5.左隣→左から2番目→右から2番目→右隣,の繰り返し  などのやり方ができます。  なお,6人〜8人でも,同様にしてプレイすることはできます。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <注1>  アメリカの少し古いルールでは,本文のものと次のように違いがあります。  1.パスは常に左隣に行います(右隣や向いのこともありますが,常に同じ    方向に渡します。)  2.最初のリードはディーラーの左隣から行います。どのカードをリードし    てもかまいません。  3.ハートのリードに対する制限はありません。  4.ゲームの終了のしかたは,特に決まっていません。  伝統的なルールブックにはこのやりかたが載っています。イギリスでも一時 期はこのようにやっていたと思われます。  もちろん今でもこのルールを使っている人もいるでしょう。特に最初のリー ドをディーラーの左から行うというルールは,今でもよく採用されます。 <注2>  もっと古いルールでは,スペードのQには罰点はありませんでした。  このようなゲームと区別するために,今のようにスペードのQに罰点がある ゲームは,ブラックレディー(Black Lady)と呼ばれていましたが,現在ではこ の呼び方をされることは少なくなりました。 <注3>  パスのやりかたは次のようなものもあります。  1.左隣→向い→右隣,の繰り返し(パスなしを行わない)  2.左隣→向い→右隣→スキャッター(Scatter=各プレイヤーに1枚ずつパ    ス),の繰り返し  3.左隣→向い→右隣→スキャッター→パスなし,の繰り返し  スムーシュ(Smoosh)というやりかたをパスのサイクルの中に入れることもあ ります。パスするカードは全部テーブル中央に集め,それをシャッフルして各 プレイヤーに3枚ずつ配るやり方です。  また,各プレイヤーは,自分の手札からパスを行わないで,自分にパスされ てきたカードをそのままパスで送ることができるというルールもあります。 <注4>  最初のリードで,罰点のあるカードをプレイすることはできないというルー ルもあります。FGAME2のライブラリーにあるMILKさんのルールがそ うなっています(Windows95付属のゲームのルールがそうなっているということ です)。  ハートのカードがプレイされた後だけでなく,クイーンのQがプレイされた 場合でもハートのリードが可能になるというルールもあります。  まだハートがプレイされていないときに,手札がハートのカードとスペード のQだけの人がリードする場合,ハートをリードしてもよいとするルールもあ ります。  まだハートがプレイされていないときに,手札がハートだけのプレイヤーが リードすることになったら,そのディールを無効にしてもよいというルールも あります。  スペードのQは安全にプレイできる最初の機会にプレイしなければならない, というルールもよく採用されます。リードされたスートを持っていないときや, スペードのリードで,Qより強いカードが既にプレイされている場合には出さ なければなりません。 <注5>  ダイアモンドの10をマイナス10点の罰点(つまりプラス点)とすることもあ ります。このダイアモンド10をジャッキーと呼ぶこともあるようです。  ハートのAをマイナス5点として,合計点がちょうど30点になるようにするこ ともあります。  全トリック取らないと,シュート・ザ・ムーンにならないというルールもあ ります。  シュート・ザ・ムーンの点数をマイナス52点とすることもあります。  シュート・ザ・ムーンをしたプレイヤーの罰点をマイナス26点とする代わり に,他のプレイヤー全員が26点の罰点となるというルールもあります。  また,普通は他の他のプレイヤー全員を26点の罰点とするが,そうすると誰 かが100点を超え,しかもシュート・ザ・ムーンした人が一位にならないならば, シュート・ザ・ムーンした人をマイナス26点にするというルールもあります。  シュート・ザ・ムーンをしたプレイヤーが,自分の罰点をマイナス26点とす るか,他のプレイヤー全員が26点の罰点にするかを選ぶことができるというル ールもあります。  全トリック取った場合,シュート・ザ・サン(Shooting the Sun)といって, マイナス52点とすることもあります。  累計点が100点ちょうどになったら,50点に減るというルールもあります。ま た,0点に減るというルールもあります。  累計点が50点ちょうどになったら,0点に減るというルールもあります。  累計点が104点または126点ちょうどになったら,0点に減るというルールもあ ります。  1つのディールで1トリックも取らなかったプレイヤーはマイナス5点とするル ールもあります。逆に50点の罰点とするルールもあります。  5ディールプレイして累計点がちょうど69点になったら,そのプレイヤーの勝 ちでゲームが終了するというルールもあります。 <注6>  誰かが100点を超えたとき,最低点が同点ならば,もう1ディール行うという ルールもあります。 **********************************************************************