Subj:ルール紹介6:クラバヤス From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:95/03/26 10:10
********************************************************************** クラバヤス(Klabberjass) 1995/3/26 赤桐  最も優れた2人用のゲームとも言われるゲームで,かなり技術を反映するゲ ームです。  英米では,クラバヤスのほかに,クロビオッシ(Clobiosh)とも呼ばれます。 時にはクロビーと縮めて呼ばれます。  クラバヤスは世界で最も広くプレイされる2人用ゲームの1つで,ヨーロッ パでは各国がそれぞれの亜種を持っています。フランスではブロット(Belote) と呼ばれ,国民的ゲームになっています。  クラバヤスとはドイツ語でクラブのジャックの意味で,古くは切り札がクラ ブで固定していて,ジャックがその最強のカードであったことから来ています。  プレイするグループにより,細かいルールの違いはかなりあるのですが,こ こではできるだけ簡明なルールを紹介します。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <人数>  2人。 <カード>  各スートのA,K,Q,J,10,9,8,7の32枚のカードを使用しま す。 <ディール>  最初のディーラーはカットして低いカードのプレイヤーです。この時のカー ドの強さはA,K,Q,J,10,9,8,7の順で,同位カードの場合は再 度カットします。  ディーラーはディールごとに交替します。  ディーラーは各プレイヤーに3枚ずつ2回,合計6枚配ります。  残りのカードは山札としてテーブル中央に裏向きに置きますが,その一番上 のカードは表にして山札の横に置いておきます。このカードが切札候補カード となります。 <目的>  このゲームはトリックテイキングゲームであり,点数のあるカードを取るこ とによって得点します。また,手札の特定の組み合わせにより得点します。  プレイの前にビッドを行いますが,このビッドにおいて切札を決めたプレイ ヤー(メーカー)は,そのディールで相手よりも高い得点を取らなければなり ません。 <カードの点数>  カードの点数は次の通りです。   切札のJ:  20点   切札の9:  14点   A:     11点   10:    10点   K:      4点   Q:      3点   切札以外のJ: 2点   切札以外の9: 0点   8,7   : 0点 <カードの強さ>  切り札とそれ以外では,強さのランクが違います。  切り札では:   (強)J,9,A,10,K,Q,8,7(弱) の順です  切り札以外では:   (強)A,10,K,Q,J,9,8,7(弱) の順です。 <ビット>  エルダー(ディーラーでない方)が最初にビッドします。ビッドは,「テイ ク」つまり切札候補カードのスートを切り札にするか,パスをするかです。パ スならば,ヤンガー(ディーラー)が同様のビッドを行ないます。  両方がパスをしたら,2回目のビッドが行われます。エルダーは切札指定カ ードのスート以外のスートを切り札として指定するか,パスをするかします。 パスならば,ヤンガーが同様のビッドを行ないます。  切り札が決まると,ビッドは直ちに終了します。切り札を決めたプレイヤー は「メーカー」と呼ばれます。  2回目のビッドでも両プレイヤーがパスをした場合には,新しいディールが 始まります。(ディーラーは交替します。) <再ディール>  ビッドが終わると,ディーラーは山札から3枚のカードをまとめて相手に配 り,自分にも3枚のカードを配ります。この結果,各プレイヤーの手札は9枚 になります。  山札の一番下のカードは,ディールが終わったことを示すために,表向きに して山札の一番上に置きます。このカードはプレイには何の関係もありません が,この1枚が見えているということは,作戦上多少の影響があります。  切札候補カードのスートが切り札になった場合には,切札の7を持っている プレイヤーは,それを切札候補カードと取り替えることができます。 <メルド>  プレイの前にメルドの宣言があります。  メルドは同じスートの3枚以上のシークエンス(続き札)です。この目的で は,カードはどのスートでも,A,K,Q,J,10,9,8,7の順となり ます。  3枚のシークエンスは20点,4枚以上のシークエンスは50点です。  シークエンスの得点が得られるのは,最も強いシークエンスを持っているプ レイヤーだけです。  強いシークエンスとは,点数の高いほうのシークエンスです。つまり,3枚 より4枚以上のシークエンスが強いということです。これが同じならば,シー クエンスの一番上のカードのランクが高いほうが強くなります。これも同じな らば,切り札の方が強くなります。  上記がすべて同じならば,どちらも得点しません。  シークエンスの4枚以上の長さの違いは,シークエンスの強さには影響しま せん。  最も強いシークエンスを持っているプレイヤーは,それ以外のシークエンス についても,すべて得点できます。  実際には,次のような手続きでメルドの宣言をおこないます。  1)まず,エルダーは自分の一番長いシークエンスの1つの点数を宣言しま    す。「なし」,「20」,「50」のいずれかです。  2)これに対してヤンガーは,「私の勝ちです」("Not Good")とか,「あ    なたの勝ちです」("Good")とか,「同じです」("Equal")とか答えま    す。  3)同じならば,エルダーはシークエンスの一番上のカードのランクを告げ,    これに対してヤンガーが同様に答えます。  4)これも同じならば,一番強いシークエンスが切り札であるほうが,それ    を告げます。  5)最もつよいシークエンスを持っているプレイヤーは,その他のシークエ    ンスを含めて得点します。得点するためには,そのシークエンスを相手    に見せなければなりません。  シークエンスを持っていても,それを隠しておくこともできます。そのため には,もちろん,それについて宣言も得点もできません。  なお,切り札の7を切り札表示カードと取り替えるのは,メルドの宣言の前 でも後でもかまいませんが,メルドの宣言の途中に行うことはできません。ま た,プレイが始まる前におこなわなければなりません。 <プレイ>  メルドの宣言のあと,エルダーが自由に1枚をリードして,プレイが始まり ます。  プレイはトリックテイキングゲームですが,次のルールに従います。  a)切り札がリードされた場合には,リードされた切り札より強い切り札が    あれば,それを出さなければならなりません。それがない場合には,他    の切り札を出します。それもない場合に限り,どのカードを出してもか    まいません。  b)切り札以外のカードがリードされた場合,リードされたスートがあれば,    フォローしなければなりません。フォローできないときには,切り札を    出さなければなりません。それもできないときに限り,どのカードでも    出すことができます。 <べラ>  プレイヤーが切り札のキングとクイーンの両方を持っていたときには,この うちの2枚目のカードをプレイするときに,「べラ(Bella)」を宣言して,20 点を得点できます。 <最後のトリック>  最後のトリックに勝ったプレイヤーは,カードの点数のほかに,10点を得 点します。 <得点>  各プレイヤーは,1)メルドの点数,2)べラの点数,3)トリックで取っ たカードの点数,4)最後のトリックの10点,を合計します。  メーカーのプレイヤーが相手よりもたくさん点数をとった場合には,各プレ イヤーが上記の点数をそのまま得点します。  同点の場合には,メーカーは0点で,相手は上記の点数をそのまま得点しま す。  メーカーのほうが相手よりも点数が低かった場合には,メーカーが0点で, 相手は2人の点数の合計点を得点します。 <ゲーム>  何ディールか行なって,少なくとも1人が500点に達したらゲーム終了と なります。高得点のプレイヤーが勝者です。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <用語>  ビッドの時,テイク(Take)の代わりにアクセプト("I accept")と言うことも あります。  切札のジャックはヤス(Jass),切札の9はメーネル(Menel),切札の7はディ ース(Dix)と呼ばれます。  メーカーが相手より少なくしか得点できなかった状態を,ベット("Bete"最初 のeの上には^)と呼びます。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <補注1>  ディールは交代ではなく,前のディールで高い得点を挙げた方のプレイヤー がディーラーになるというルールで行うこともあります。 <補注2>  ビッドの時に,英米ではシュマイス(Schmeiss)というビッドを認めることが 多いのですが,諸書によりルールが異なったり不明確だったりする上,効果も 疑わしいので,ここでは採用しませんでした。 <補注3>    山札の一番下のカードを表向きにするのは,プレイヤーの一方だけが故意ま たは偶然に,山札の一番下のカードを見ることがあるので,それを公平にする 意味があります。 <補注4>  メルドの宣言のとき,2人の最強のシークエンスの強さが同じであった場合 は,エルダーがメルドの得点を得るというルールもあります。 **********************************************************************