Subj:ルール紹介32:ムス(1) From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:96/09/10 12:53
 7月6日になかよし村でプレイしたゲームです。#00839で草場さんに紹介し ていただきましたが,もっと詳しいルールを載せておきます。  ギャンブル系のゲームなのですが,お金を賭けなくても十分に楽しめるゲー ムです。 ********************************************************************** ムス(Mus) 1996/9/10 赤桐  ムスはスペインでポピュラーなゲームです。バスク地方で生まれたと言われ ています。パートナー戦で行うポーカーのようなゲームです。  John MacLeod氏のWWW(http://www.netlink.co.uk/users/pagat/)からの情 報です。(彼のサイトはこのアドレスに移りました。) ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <人数>  4人。向かい合った2人がパートナーになります。 <カード>  40枚のスパニッシュパックのカードを使います。剣,棍棒,聖杯,貨幣の 4つのスートからなり,各スートは,レイ(R),カバリョ(C),ソータ(S), 7,6,5,4,3,2,Aからなります。(スパニッシュパックは8と9を 含む48枚のこともありますが,多くのゲームではこのように40枚しかカードを 使用しません。)  普通のカードを使う場合は,レイ=キング,カバリョ=クイーン,ソータ= ジャックとして,8,9,10のカードを取り除けばよいでしょう。  ムスのゲームでは,スートは意味がありません。また,3のカードはレイ(キ ング)と同一視されて最も強いカードとなります。2のカードはAと同一視さ れて最も弱いカードになります。  カードの順位は次の通りです:   レイ(または3),カバリョ,ソータ,7,6,5,4,A(または2) <ゲームの目的>  各チームは先に40点取ることを目指します。  1つのハンドで,次の4つのカテゴリーで点数を得ます。グランデ(ハイ), チカ(ロー),パレス(ペア),ユエゴ(ゲーム)です。  各カテゴリーについて順にビッドを行ってから,ショーダウンを行います。 <ディール>  ディーラーがシャッフルし,ディーラーの左隣がカットしたあと,ディーラ ーは,自分の右隣から始めて,1枚ずつ4枚のカードを反時計回りに配ります。  ディーラーの右隣のプライヤーは各ラウンドで,最初の発言権があります。 このプレイヤーをマノと呼びます。 <ムス>  マノから始めて,反時計回りに,ムスを行うかどうかを発言していきます。 だれか1人でも行わないと宣言すると,誰もムスを行う事はできません。  ムスとはカードの交換です。まず,何枚でも捨て札を行って,そのあと配り 残りのカードからディーラーに補充してもらいます。(交換を行わないことは 不可)。  ムスを行った後にも,さらにムスを行うかどうか発言を行う機会があります。 このようにして全員がムスを行いたいという限り,何回でもムスをおこなうこ とができます。  ムスを行っているときにカードがなくなったときは,残りのプレイヤーが1 人だけのときには,そのプレイヤーの捨て札以外の捨て札をシャッフルして配 ります。残りのプレイヤーが2人以上いる場合は,捨て札全部をシャッフルし て配ります。 <4つのカテゴリー>  得点可能な4つのカテゴリーは次の通りです。 [グランデ(ハイ)]  最も強いカードを持っているプレイヤーが勝ちます。強いカードが同じなら ば,それ以外のカードで,次に強いカードを比べるというようにします。(ポ ーカーの比べかたと同じです)  つまり,手札を強い順に並べて,強いものから順に比べていくわけです。  たとえば,RR34はRCCCに勝ちます。 [チカ(ロー)]  最も弱いカードを持っているプレイヤーが勝ちます。弱いカードが同じなら ば,それ以外のカードで,次に弱いカードを比べるというようにします。(ポ ーカーのローボールとは違います。)  つまり,手札を弱い順に並べて,弱いものから順に比べていくわけです。  たとえば,A45CはA556に勝ちます。 [パレス(ペア)]  パレスは2枚以上の同じランクのカードをを比べます。(Rと3,Aと2は 同じランクになります。)  次の3つの役があります(弱いものから順に)。 パル・シンプレ(ペア)  2枚が同じランクで,残りの2枚が異なるランクのときです。ペアのカード のランクの高い方が強いハンドになります。ペアのカードのランクが同じ場合 には,残りの2枚のカードは無関係で,同じ強さのハンドになります。 メディアス(スリーカード)  3枚が同じランクの場合です。同じメディアスのハンドでは,3枚セットの カードのランクが高い方が,強いハンドとなります。残りの1枚はハンドの強 弱には無関係です。 ドゥプレス(ツーペア)  同じランクのペアが2枚あるハンドです。4枚全部が同じランクの場合もこ れになります(2つのペアと考えます)。ドゥプレスどうしを比べるときには, 強い方のペアが強い方が強いハンドになり,それも同じならば,低い方のペア を比べます。 <ユエゴ(ゲーム)>  ユエゴのためには,各カードは次の点数をもちます。   Rまたは3,C,S    10点   7             7点   6             6点   5             5点   4             4点   Aまたは2         1点  手札の得点を合計して,31点ちょうどになるのが最高のユエゴのハンドで す。32,40,37,36,35,34,33がそれに続きます。(39と 38はありえません。)  30以下の場合はユエゴのハンドではないということになります。  だれもユエゴのハンドを持っていないとき,「プント」のハンドを競います。 プントとは30点以下のハンドですが,30点が最高で,4点が最低のハンド になります。つまり点数が低くなるほど弱くなります。 [[同じ強さの場合]]  なお,すべてのカテゴリーにおいて,同じ強さのハンドがある場合には,マ ノが1番強いハンドを持っているとみなされます。以下,座り順で反時計回り に弱くなっていきます。 <ビッド>  ビッドは,グランデ,チカ,パレス,ユエゴの順に行います。 [グランデ]  マノから初めて,反時計回りにビッドを行います。  まず,パス(パソ)またはベット(エンビド)のビッドを行います。  全員がパスの場合には,グランデのビッドは終了します。(グランデの得点 はどのチームにもつきません。)  ベットとは,グランデに勝った方のチームに何点かを与えようという提案で す。最低2点であり,特に指定しなければこの点数になります。それ以上の点 数にしたいときには,例えば,「5点のベット」というように宣言します。  ベットに対して,相手側のチームは次の宣言を行うことができます。  1.フォールド(ノ・キエロ):実際のハンドの強さに関わらず,相手に点 数を与えるという宣言です。最初のベットの後にこの宣言があった場合,ベッ トの点数がどれだけであっても,相手は1点だけしか得点しません。  2.コール(キエロ):相手の提案した点数でショーダウンしようという宣 言です。(ショーダウンというのはポーカー用語ですが,手札を見せ合って, どちらが強いかを決めることです。)  3.レイズ(レエンビド):点数をさらに上げるという提案です。最低2点 上げなければいけません(特に指定しなければ2点上げることになります)。 しかし,これ以上何点でも上げることは可能です。「XX点上げて,XX点に する」というようにはっきり宣言したほうがよいでしょう。  パートナーの意見が分かれた場合には,積極的なほうの宣言が有効になりま す。(つまり,コールよりレイズの方,フォールドよりコールのほうです。) ただし,パートナーの片方が「絶対なになににする(我々はなになにする)」 と言えば,それが通ります。  レイズがあった場合には,相手チームはやはり上記の3種類の宣言の1つを 行います。この場合,フォールしたときには,そのチームが最後にベットまた はレイズした点数を相手に与えることになります。  こうして,どちがかがフォールドするかコールするまで,宣言は続きます。  フォールドの場合は,勝ったチームは直ちに得点を得ます。 [チカ]  チカのベットもグランデと全く同じように行います。 [パレス]  まず最初に,各プレイヤーは,少なくとも1つのペアを持っているかどうか を正直にイエスかノーかで宣言します。  両方のチームの少なくとも1人ずつがペア以上を持っていた場合には,グラ ンデと同じようにビッドを行います。  片方のチームだけがペア以上を持っている場合は,ビッドは行われません。 そのチームが後述する点数を得ます。  全員がペアを持っていない場合には,ビッドは行われず,もちろん得点もあ りません。 [ユエゴ]  まず最初に,各プレイヤーは,ユエゴのハンドを持っているかどうか(31 点以上かどうか)を正直にイエスかノーかで宣言します。  両方のチームの少なくとも1人ずつがユエゴのハンドを持っていた場合には, グランデと同じようにビッドを行います。  片方のチームだけがユエゴのハンドを持っている場合は,ビッドは行われま せん。そのチームが後述する点数を得ます。  全員がユエゴのハンドを持っていない場合には,プントの点数を競います。 グランデと同じようにビッドを行います。 [[オルダゴ]]  ビッドの時にはいつでも,通常の宣言の代わりに,「オルダゴ」の宣言をす ることができます。  オルダゴの宣言に対して,相手側はフォールドかコールかを選択できます。  フォールドの時には通常のフォールドの宣言と同じになり,そのカテゴリー の点数を失います。  コールを選択した場合には,直ちにショーダウンを行います。そのビッドの カテゴリーで勝ったチームが直ちにゲームに勝ったことになります。(40点 に達したのと同じになります。) <ショーダウン>  4つのカテゴリーのビッドが終ると,グランデ,チカ,パレス,ユエゴの順 にショーダウンを行い得点をつけます。 [グランデとチカの得点]  コールの場合には最後にベットまたはレイズされた点数が,最も強いハンド を持っているプレイヤーのチームにつきます。  フォールドの場合には,降りたチームが最後にベットまたはレイズした点数 がすでに相手側についているはずです。最初のベットに対して降りた場合は1 点が相手側についています。 [パレスの得点]  ビッドがあった場合には,グランデやチカと同じように得点します。  それに加えて,勝ったチームは,パル・シンプレのハンドは1点,メディア スのハンドは2点,ドゥプレスのハンドには3点の得点が与えられます。勝っ たチームの両方のプレイヤーがパル・シンプレ以上のハンドであった場合は, 両方についてこの得点を得ることができます。  ビッドがなかった場合には,ペア以上のハンドを持っているチームは,上記 の追加得点の分と同じだけの得点のみを得ることができます。 [ユエゴ(とプント)の得点]  パレスと同様の得点方法になります。  勝ったチームの追加得点や,片方だけがユエゴのハンドを持っていたときの 得点は次の通りです。(勝ったチームの両方のプレイヤーについて,この得点 を得ることができます。)   31点のユエゴ    : 2点   それ以外のユエゴ:    1点  プントのときの得点は,ビッドによる点数のみになります。 <ゲーム>  ビッドやショーダウンの途中でも,どちらかのチームが40点に達すると, そのチームの勝利になります。 <ディエントロ>  あるチームの得点が35点に達すると,そのチームは「ディエントロ」と言 って,この事を相手チームに伝えなければなりません。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
Subj:ルール紹介33:ムス(2) From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:96/09/10 12:54
 ムス(Mus)のルールの続きです。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <得点の数えかた>  伝統的には,得点は次のように数えます。  小石(やそのような小さな物)を22個使用します。テーブルの上に皿のよう なものを置き,最初はその中に小石を全部入れておきます。  各チームは,どちらのプレイヤーが5点を受け持ち,どちらが1点を受け持つ かを決めておきます。  得点が入ると,皿から小石をとって,プレイヤーの前に置きます。5点を受け もつプレイヤーの前に置かれた小石は1つにつき5点を表わし,1点を受け持つ プレイヤーの前に置かれた小石は1つにつき1点を表わします。  1点のプレイヤーの前には4個以上置かないようにして,5点の方に繰り上げま す。(したがって,皿に小石を返すこともあります。)  得点をいれるときには必ず,相手チームに得点の理由と点数を宣言しなけれ ばなりません。  ディエントロの宣言のとき(35点以上になった場合)には,5点の方の小石は すべて皿に返しておきます。 <シグナル>  体を動きによるシグナルを使って,パートナーと情報を交換することが可能 です。相手チームに悟られないように体を動かそうとしてもかまいませんが, シグナルによる情報は正しいものでなければなりません。  ただし,使ってよいのは決められたシグナルだけです。使ってよいシグナル の種類は,プレイするグループによって異なります。以下に上げるのは,代表 的なものです:  「ムス」と言うように唇を尖らす: カードを交換したい  頭を右に傾ける: カードを交換したくない  両目を閉じる: カードが良くない  下唇を噛む: レイ(3を含む)を2枚持っている  舌の先を見せる: A(2を含む)を2枚もっている  口を片方に歪める: メディアス(スリーカード)を持ってる  両方のまゆを上げる: ドゥプレス(ツーペア)を持っている  ウィンク: 31のユエゴを持っている  片方の肩をすくめる: 30のプントを持っている ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <バリエーション>  バスク地方のいくつかの地域では,3や2をレイやAと同一視しないで,本 来のランクで用います。従って,ランクは強い順にR,C,S,7,6,5, 4,3,2,Aとなります。  この場合,ユエゴのための点数は,3は3点,2は2点となります。  また,ゲームの最初のディールではシグナルを使うことが禁止されるという ルールも,多くの場所で行われているようです。 **********************************************************************