Subj:ルール紹介90:ピノクル From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:98/03/19 23:45
 ピノクルのルールは#109〜117にCrさんが書いていらっしゃいますが,私も 自分なりのルールを載せておきます。  なお,私自身もルール紹介26でベジークとともに2人用のピノクルを紹介して いますが,ここで紹介するのはそれとは別の4人用のゲームです。基本的な部分 は同じなのですが,かなり違ったゲームになっています。 ********************************************************************** ピノクル(Pinochle) 1998/3/19 赤桐  ピノクルは米国の国民ゲームとして広く親しまれています。古いゲームです が,現在でもハートやスペードというカードゲームに次ぐ人気を保っています。  ここで紹介するルールは,正確には,シングルデッキ・フォーハンド・パー トナーシップ・オークション・ピノクル(Single-deck Four-handed Partnership Auction Pinochle)と呼ぶべきもので,現在米国でもっともポピュラーなピノ クルです。その意味はつぎの通りです。  シングルデッキ: ピノクルでは普通の48枚のカードを使います。(これを           2組使うと「ダブルデッキ」のピノクルとなります。)  フォーハンド:  4人ゲームです。  パートナーシップ:向かい合った2人ずつがパートナーになります。  オークション:  プレイの前にオークション(ビッド)があります。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <プレイヤー>  4人。向かい合った2人がパートナーとなります。 <カード>  各スートの2〜8を除いた24枚のトランプを2組混ぜて使います。ジョーカー は使いません。つまり48枚のカードになります。 <ディール>  最初のディーラーは任意の方法で決めます。次回からは,時計回りに交代し ます。  ディーラーは3枚ずつまとめて全部のカードを配ります。各プレイヤーの手札 は12枚になります。 <ビッド>  ディーラーの左隣から時計回りにビッドを行います。  ビッドは,パートナー2人で得点するつもりの点数を宣言します。最低のビッ ドは15(点)です。今までにビッドしたプレイヤーがいたら,それより高い点数 をビッドしなければなりません。ビッドしたくなければパスをします。  パスをしたプレイヤーは,再びビッドをすることはできません。1人を除いて 全員がパスをするまで,何順でもビッドは続けられます。  最後にビッドをしたプレイヤーがデクレアラーとなります。  最初の3人が続けてパスをした場合には,ディーラーは必ず15(点)のビッドを しなければなりません。 <メルド(Meld)>  ビッドが終わると,デクレアラーはまず切札のスートを決めます。  次に,全てのプレイヤーは,自分の手札に次のカードがあると,宣言してメ ルド(手役)の点数を得ることができます。  1.ラン(Run)   切札のA,K,Q,J,10があった場合,15点もらえます。   ランが2組あった場合には,150点となります(切札のA,K,Q,J,10   が2枚ずつあった場合です)。  2.ロイアル・マリッジ(royal Marriage)   切札のKとQがあった場合,4点もらえます。ただし,ランになっている場   合には,この点数は数えません。   ロイアル・マリッジが2組あった場合,つまり切札のKとQが2枚ずつあっ   た場合には,8点になります。  3.マリッジ(Marriage)   切札以外の同じスートのKとQがあった場合,2点もらえます。   マリッジが2組あった場合には4点になります。  4.エース・アラウンド(Aces Around)   各スートのAを持っているとき,10点もらえます。   エース・アラウンドが2組あった場合,つまり各スートのAを2枚ずつ持っ   ている場合には,100点となります。  5.キング・アラウンド(Kings Around)   各スートのKを持っているとき,8点もらえます。   2組ある場合には,80点となります。  6.クイーン・アラウンド(Queen Around)   各スートのQを持っているとき,6点もらえます。   2組ある場合には,60点となります。  7.ジャック・アラウンド(Jacks Around)   各スートのJを持っているとき,4点もらえます。   2組ある場合には,40点となります。  8.ピノクル(Pinochle)   ダイアモンドのJとスペードのQを持っているとき,4点もらえます。2組   ある場合,つまりダイアモンドJとスペードQが2枚ずつあるときには,30   点もらえます。  9.ディース(Dix/Deece)   切札の9があれば,1点もらえます。2枚あれば,2点です。  1つのメルドで使ったカードを別の種類のメルドでも使うことは可能です。 例えば,切札のKとQが各1枚とそれ以外の各スートのKがある場合,ロイヤル・ マリッジとキング・アラウンドのメルドができます。  しかし,切札のKが2枚とQが1枚あっても,ロイヤル・マリッジが2組できる わけではありません。同じ種類のメルドで,同じカード(切札のQ)を2回使う ことはできないからです。  また,既に述べたように,ランのメルドで使ったカードをロイヤル・マリッ ジでも使うことはできません。  なお,各スートのAとKを全部持っているとき,ラウンドハウス(Round House 別名ラウンドロビン Round Robbin)として24点とすることもありますが,これ はロイアルマリッジ,マリッジ(3組),キング・アラウンド,クイーン・アラ ウンドの点数を加えたものにすぎません。  メルドを宣言するときには,メルドを構成しているカードをすべて表向きに してテーブルに置き,みんなに見せなければなりません。しかし,プレイが始 まる前に手札に戻します。 <プレイ>  デクレアラーが最初のリードを行って,トリックテイキングゲームのプレイ を行います。プレイの順序は時計回りです。  各スートのカードの強さのランクは:(強)A,10,K,Q,J,9(弱) です。同じカード(同スート同ランクのカード)の場合には,先に出したカー ドのほうが強くなります。  通常通り,切札が出ていない場合は,リードされたスートの最も強いカード を出したプレイヤーが勝ち,プレイされたカードを取ります。切札が出ている 場合は,最も強い切札を出したプレイヤーが勝ちます。  取ったカードは裏向けにして,各チームごとにまとめて置きます。  勝ったプレイヤーが次のリードを行ないます。どのカードをリードしてもか まいません。  フォローのルールは次の通りです:  1)リードされたスートのカードがあれば,そのスートを出します。  2)リードされたスートがなければ,切札を出します。  3)リードされたスートも切札もない場合には,どのカードを出してもかま    いません。  4)上記の制限の中で,今までに出た最強のカードに勝てるカードを出すこ    とができれば,出さなければなりません。  次のことにご注意ください。   a)勝つことができない場合でも,リードされたスートがなく,切札があ     れば,切札を出さなければなりません。   b)自分のパートナーが最も強いカードを出していたときでも,そのあと     自分がもっと強いカードを出すことができれば,出さなけばなりませ     ん。 <得点>  各チームはそのチームの取ったカードの点数を数えます。カードの点数は次 の通りです:    各A,各10,各K: 1点    それ以外のカード:  0点  さらに,最後のトリックを取ったチームに1点が与えられます。  プレイによる1ディールの全得点は25点になります。  これにメルドの点数を加えたものが,各チームの得点となります。  ただし,デクレアラーのチームは,この点数(プレイの点数+メルドの点 数)がビッドの点数かそれ以上でない場合には,ビッド失敗となり,このデ ィールの得点は,取った点数に関わりなく,メルドの点数の分だけマイナス点 となります。  また,あるチームが1トリックも取れなかったときには,それがデクレアラー のチームならば,ビッドが失敗となり,ビッドの点数がマイナス点となります。 デクレアラーでない方のチームならば,メルドの点数があっても認められず, そのディールの得点は0点となります。 <ゲーム>  ディールが終わって得点計算した結果,どちらかのチームの累計点が150点に 達していたら,ゲーム終了です。  両方のチームが150点以上の場合には,どちらが高い得点かにかかわりなく, 最後にデクレアラーになったチームが勝ちます。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++  続きます(バリエーションなどだけです)。
Subj:ルール紹介91:ピノクル2 From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:98/03/19 23:46
 ピノクルのルール紹介の続きです。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <バリエーション> [点数]  各A,10,Kの点数を10点とし,メルドの点数もすべて本文の10倍とする やり方もよく行われます。  本来のピノクルは各A:11点,各10:10点,各K:4点,各Q:3点,各J: 2点,各9:0点で,やはりメルドは本文の10倍の点数だったのですが,ここで 紹介したような4人用ピノクルでこのような点数を採用することはほとんどあり ません。  中間的な点数方法として,各A,10:10点,各K,Q:5点,それ以外:0点 というのもありますが,これも現在使われていないようです。 [ディール]  配るときに1枚ずつ配るという方法もあります。 [配り直し]  手札に5枚以上の9のランクのカードがある場合,配り直しにすることができ るというルールもあります。この場合,ディーラーは交替しません。 [交換]  ビッドのあと切札の宣言が終わりメルドの宣言が始まる前に,カードの交換 ができるというルールもあります。このルールをレースホース(Racehorse)と呼 びます。  デクレアラーのチームは決められた枚数のカード(1枚〜4枚)を手札から交 換します。各プレイヤーは相手から渡されるカードを見る前に,自分の手札か らカードを相手に渡さなければなりません。  デクレアラーの相手チームも,このように交換できることもあります。  デクレアラーのチームだけが交換できる場合,デクレアラーのパートナーが まずカードをデクレアラーに渡し,デクレアラーはそれを手札に加えたあと, その中からパートナーにカードを渡すこともあります。 [メルド]  エース・アラウンドのことをハンドレッド・エーセズ(Hundred Aces),キン グ・アラウンドのことをエイティ・キングズ(Eighty Kings),クイーン・アラ ウンドのことをシックスティ・クィーンズ(Sixty Queens),ジャック・アラウ ンドのことをフォーティ・ジャックス(Forty Jacks)と呼ぶこともあります。こ ちらの方が本来の呼び方です。 [プレイ]  プレイのとき,切札以外のスートがリードされて,同じスートのカードを持 っている場合,今までに出ているカードより強いカードを出さなくてもよいと いうルールもあります。  これが本来のルールなのですが,現在あまり採用されていないようです。 [David Dailey氏のルール]  インターネット http://www.pagat.com/ に紹介されている David Dailey氏 のルールは本文のものと次のような点が違います。  1)すべての点数が10倍になっています。  2)ビッドの最低点は250点です。  3)ビッドが終わりトランプが指定された後,プレイの前に,デクレアラー のパートナーがまず4枚のカードをデクレアラーに渡し,デクレアラーはそれを 手札に加えたあと,その中からパートナーに4枚のカードを返します。  4)次のメルドが追加されます    ランに切札キングが1枚プラスされたもの   190点 (Runwith Extra King)    ランに切札クイーンが1枚プラスされたもの 190点 (Run with Extra Queen)    ランにロイアルマリッジがプラスされたもの 230点 (Run with Extra Marrage)  5)プレイを始める前に,デクレアラーは降参(Throw in the hand)をするこ とができます。降参したばあい,デクレアラーチームはビッドの点数がマイナ ス点となり,相手チームはメルドの点数だけを得点します。  6)デクレアラーの相手チームは,1トリックも取らなくても,ディースのメ ルドの点数だけは得点することができます。 [Crさんのルール]  Crさんの#116の4人用ピノクル紹介にも,少し違ったルールが紹介されて います。次のような点が違うようです:  1)点数がすべて10倍になっている。  2)ビッドの最低点が100点。  3)ゲームの終了は1000点に達したとき。  4)1トリックも取らないとビッド失敗になったり,メルドの点数がなくなる    というルールはない。  また,別のオプショナルルールやバリエーションも紹介されています。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <コンベンション>  ビッドのときにパートナーどうしが手札の内容を伝えるための取り決めです。 Jone Hay氏のルールでアイオワ州ビッディングコンベンション(Iowa State Bid ding Conventions)として紹介されているものを紹介します。  メルドの宣言の前に,各チームのパートナーどうしが3枚のカードを交換する というルールに基づいています(カードを渡す前に渡されるカードを見てはい けません)。  17点のビッド,または現在のビッドよりも2点高くビッド:ピノクルのカード (ダイアモンドJとスペードQ)のうちの1枚を持っている  19点のビッド:ピノクルのカードうち2枚を持っている(同じカードでも別の カードでもよい)  24点,26点,28点のビッド: ランになるには1枚足りないカードを持ってい る。  25点,27点のビッド: ランのカードを持っている。  29点のビッド: ピノクルのカードうち3枚持っている。  30点のビッド: ピノクルのカード4枚を持っている。  45点のビッド: ピノクルのカード4枚とランのカードを持っている。  現在のビッドよりも1点高くビッド: エース・アラウンドに1枚欠けている。  「パス」と言う代りに「バイ・ミー」と言う: ビッド上はパスと同じ意味 だが,エース・アラウンドを持っていることを示す。 **********************************************************************