Subj:ルール紹介4:ピシュティ From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:95/02/16 16:57
 トルコのゲーム「ピシュティ」です。  多少ルールに不明確なところがあるのですが,捨て去るには惜しいゲームな ので紹介したいと思います。 **********************************************************************              ピシュティ(Pishti) 1995/2/15 赤桐  トルコの全土で盛んにプレイされているゲームです。ピシュティというのは トルコ語で「料理した」という意味だそうです。  カシノや花札などの系統のゲームですが,合わせることのできるカードが場 に1枚しかないのが特徴です。ただし,1枚合わせると場のカードがすべて取 れます。なお,花札と違って,めくり札はありません。  ルールはRobert Harbin氏の"Waddingtons Family Card Games"という本を基 にしています。彼はこのゲームを強く推薦しています。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <人数>  2人,または4人のパートナーシップゲーム。まず,2人用を説明します。 <カード>  通常の52枚のカード。 <ディール>  カットして高位のカードがディーラーになります。ディーラーはディールご とに交代します。  ディーラーは4枚のカードを相手に配り,4枚のカードを自分に配ります。  そのあと,3枚のカードを裏向きに重ねてテーブル中央に配ります。さらに, その上に1枚を表向きに置きます。この4枚のカードが最初の場札になります。 (場札はプレイ中もこのように全部重ねて置かれます。)  もし,一番上のカードがジャックならば,裏向きにして場札の一番下に入れ, 一番上にきたカードを表向きにします。 <プレイ>  ノンディーラーから順にプレイを行います。  プレイヤーは,場札の山の一番上のカードと同じランクのカードを場に出す と,場札のカード全部と出したカードを取ることができます。例えば,場札の 一番上のカードがキングならば,キングを出して,場札全部と出したキングを 取ることができます。(したがって,取ると場札は1枚もなくなります。)  取ったカードは,自分のそばに裏向きに置きます。これは,もうプレイには 使用しません。取った直後に,取ったカードの内容を見ることはできますが, 一度裏向きに置かれたカードは,自分のものでも後で見ることはできません。  場札の一番上のカードと同じカードがないときや,取りたくないときには, どのカードでも1枚を場札の上に表向きに置きます。今度はこのカードが場札 の一番上のカードとなります。  場札が1枚もないときにも,1枚のカードを表向きに置いて,新しい場札 とします。  このゲームではジャックはワイルドカードになります。場札の一番上が何の カードであっても,ジャックを出すと取ることができます。  場札の一番上のカードがジャックだった場合には,ジャックでしか取ること はできません。 <追加ディール>  両方のプレイヤーの手札がなくなったら,ディーラーは配り残しのカードか ら4枚ずつを各プレイヤーに配ります。  手札がなくなって,配り残しのカードもない場合は,ディール終了となりま す。残っている場札はどちらのものにもなりません。 <得点>  ディールが終わると次のように得点を計算します。    取ったカードの多いプレイヤーに :  3点    ダイアモンドの10       :  3点    クラブの2           :  2点    各エース            :  1点    各ジャック           :  1点      ピシュティ           : 10点  ピシュティとは,場に1枚しかカードがないときに,場のカードを取ること です。(つまり,2回以上続けて場のカードを取った時に発生します。)  ピシュティは1ディール中に何度でも発生します。 <得点>  ディールが終わって,どちらかの得点が101点以上ならば,ゲームは終了 します。(101点の代わりに151点にしてもかまいません。)  得点の多いプレイヤーが勝者となります。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <4人ゲーム>  最初に配られる手札やプレイ途中に配られる手札は,2人ゲームと同じよう に,4枚です。  ディーラーの左隣から時計回りにプレイは行われます。  向かい合った2人はパートナーとなります。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <ブラフ・ピシュティ>  このゲームのバリエーションです。  ピシュティをしようとするときに,出すカードを裏向きに出します。  相手が何も言わなければ,そのままピシュティとして場札を取っていきます。  相手が「違う」と言った場合には,出したカードを表向きにします。その結 果,次のようになります。   本当に場札を取れるカードだった場合:      ピシュティの10点の代わりに20点を得点します。   本当は場札を取れないカードだった場合:     「違う」と言ったプレイヤーが20点を得点します。出されたカード     は,場札の1番上に置かれます。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <スコアのつけ方>  トルコでは,このゲームのスコアを次のようにつけるそうです。  各プレイヤー(パートナー)のスコアシートを,ラバーブリッジと同じよう に,横線を引いて,上の部分と下の部分に分けます。  上の部分には,得点の10点ごとに線を1本ずつ書き入れていきます。書き 方は40点までは縦の短い線を横に並べ,50点になると4本の縦線にクロス する長い横線を書きます。次からは,また別の所に縦線を書いていき,50点 目(累計100点目)にはまた横線を引きます。(日本で「正」の字を1画ず つ書いていくのと同じことです。)  下の部分には,累計点の10点未満の端数を書き入れます。端数が変わるご とに,新しい端数を書き入れていきます。  この書き方をするときには,ピシュティの点数は発生するたびに記入します。 つまり,上の部分に線を1本ずつ書き加えます。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <補注1>  ゲームの名前"Pishti"を「ピシュティ」と読むことについては,松田道弘氏 訳の「トランプゲーム大百科」に従っておきました。  なお,"Pashta"と呼ばれることもあるようです。 <補注2>  Harbin氏の記述には,次のようなルールがあったのですが,煩雑になるのと, 記述が不明確だったので省略しました。以下は,彼の記述を私が解釈したもの です。 | ディールの時に,配り残しのカードの一番下のカードは表向きにします。 |このカードはそのまま一番下に置いておきますが,インデックスが見えるよ |うに少しずらしておきます。 | | このカードがジャックの場合は,ディーラーはそれを裏向きにして自分の |そばに置きます。このカードは,プレイで取ったカードとして扱われます。 | | それ以外の場合には,このカードは,見えているという以外には,特別な |働きはしません。 | | この表向きのカードは,最後にディーラーに配られることになります。も |し,ジャックが表になった結果,表向きのカードがなければ,ディーラーは |最後は3枚しか配られないことになります。  このルールの目的は,おそらく,ディーラーが最後にプレイする有利さを軽 減することだと思います。本文のようにプレイしてみて,ディーラーが非常に 有利のようなら,このルールを採用してみてください。 <補注3>  David Parlett氏が"A Dictionary of Card Games"で紹介しているルールでは, ジャックはワイルドカードではなく,配り残しの一番下のカードを表にするこ ともありません。また,100点到達でゲーム終了となります。 <補注4>  本文では,プレイ中にピシュティが発生して,その得点を加算すると101 点に到達するような場合でも,ディール終了までプレイを行うというように書 きましたが,それが正しいかどうか確認できませんでした。  もしかしたら,ピシュティの得点はすぐに累計点に加算されて,それが101 点に到達したら,その時点でゲーム終了になるのかもしれません。 <補注5>  場札の一番上のカードがジャックの場合の取り方についても,本文が正しい かどうかは確認できませんでした。  なお,「場札の一番上」と書きましたが,ジャックがそういう状態になるの は,その前に相手が場札を取って,ジャックを捨て札した場合だけです。した がって,ジャックは1枚だけで場にあることになります。 **********************************************************************