Subj:ルール紹介53:スカート(1) From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:97/04/21 19:28
スカートについては,既にMILKさんが書かれたルールがFGAME2で公表さ れており,それを基にブクブクさんも「日本スカートゲーム協会(JSGA)の公式 ルール」を作られていますが,私もかねてから書こうと思っていたルールです ので,重複するようですがアップいたします。 今回アップするのは,いわゆる公式のルールだけです。オプショナルルール の中にはラムシュなどの重要なものも含まれますが,それらについては,後日 発表したいと思います。 ********************************************************************** スカート(Skat) 1997/4/21 赤桐 スカートはドイツの代表的なゲームです。 ライプニッツの近くのアルテンブルグという町で1810年代に発明されたよう ですが,初期のものは現在のスカートとはかなり違うルールです。 ルールの改良を続けながら普及していき,19世紀の終わりにはドイツで最も ポピュラーなゲームとなりました。その後もルールの改良は続きましたが,現 在まで引き続き高い人気があります。 スカートはカードゲームの中でも,最も理知的で深みのあるゲームといわれ ています。それは間違いではありませんが,同時に,スピーディーでエキサイ ティングなギャンブルゲームでもあります。 ルールは最初はわかりにくいかも知れませんが,基本の原理さえ理解すれば, それほど複雑というわけではありません。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <プレイヤー> 3人または4人。4人で行うときには,ディーラーはプレイには参加しません。 プレイに参加する3人のプレイヤーのうち,ディーラーの左隣のプレイヤーを フォアハンド,その左隣をミドルハンド,残りの1人をリアハンドと呼びます。 3人で行うときには,ディーラーがリアハンドになります。 <カード> 通常の52枚のカードから,各スートの2〜6を除いた,32枚のカードを使い ます。 ドイツの東部や南部の地方では,通常のクラブ,スペード,ハート,ダイア モンドのスートを持つカードの代わりに,ドイツ固有のスートである,どんぐ り,木の葉,ハート,鈴のカードが使われます。このカードでは,クイーンは オーバー(Ober),ジャックはウンター(Unter)となります。 <ディール> 最初のディーラーは任意の方法で決めます。次回からは,ディーラーは時計 回りに交代します。 まず各プレイヤーに3枚ずつまとめて配り,次に2枚のカードをテーブルの上 に裏向きに置きます。次にまた,各プレイヤーに4枚ずつまとめて配り,最後に 各プレイヤーに3枚ずつ配ります。各プレイヤーに配るときは,ディーラーの左 隣から時計回りに配ります。 各プレイヤーの手札は10枚になります。 テーブルに置かれた2枚のカードはスカートと呼ばれます。 <ビッド> ディールが終わると,誰がソロイストになるかを決めるために,ビッドを行 います。 このゲームでは,各カードに点数があり,トリックで勝つことにより点数を 取ることになりますが,多くの場合,ソロイストになったプレイヤーは,1人で 過半数の点数(61点以上)を取ることが目的となり,それ以外の2人は協力して それを阻止しようとします。 ソロイストになったプレイヤーは,ゲームの種類を指定できます。切札のスー トなどを決めることができるわけです。 しかし,ビッドは,取ることできそうなカードの点数や,切札の種類を宣言 するわけではありません。プレイした結果による最終的な得点を予想して,そ の点数に基づいてビッドします。最終的な得点とは,後で説明するように,ゲ ームの種類や,手札の内容,取ったカードの点数などによって計算される点数 です。 このような点数を最も高くビッドしたプレイヤーがソロイストになるわけで す。同じ点数のビッドならばフォアハンド>ミドルハンド>リアハンドの順に 優先順位があり,優先順位の高いほうがソロイストになります。 しかし,プレイの結果,ソロイストの得点がビッドした点数より少なかった 場合には,マイナス点となります。 実際のビッドは勝ち抜き戦方式で行われます。まず,フォアハンドとミドル ハンドがビッドを行い,勝ったプレイヤー(パスをしなかったほうのプレイヤ ー)がリアハンドとビッドを行います。最後までパスをしなかったプレイヤー がソロイストになります。 [フォアハンドとミドルハンドのビッド] まずフォアハンドとミドルハンドのビッドがありますが,どちらかがパスを 宣言したときには,直ちに,パスをしなかったプレイヤーとリアハンドとのビ ッドに移ります。 最初に発言するのはミドルハンドです。ミドルハンドは18かそれ以上の点数 をビッドするか,パスをします。(パスをした場合は,すぐにフォアハンドと ミドルハンドのビッドに移ることになります。) ミドルハンドが点数のビッドをした場合,フォアハンドは「はい(Yes)」また はパスのビッドをします。「はい」というのは,ミドルハンドの言った点数と 同じ点数でソロイストになるつもりがあるという意味です。 フォアハンドが「はい」とビッドした場合には,ミドルハンドは,今まで言 った点数より高い点数をビッドするか,パスをするかします。 ミドルハンドが点数のビッドをした場合,先ほどと同じように,フォアハン ドは「はい」またはパスのビッドをします。 どちらかがパスを宣言するまで,このような事を繰り返します。 [リアハンドとのビッド] リアハンドとのビッドも上記と同じように行います。 リアハンドがまず点数のビッドを行い(あるいはパスをし),フォアハンド とミドルハンドの勝者が,それに対して「はい」をビッドするか,パスをする かします。 リアハンドが最初にビッドする点数は,もちろん,フォアハンドとミドルハ ンドのビッドの時に出ていた点数より高い点数でなければなりません。ミドル ハンドがいきなりパスをしていて,点数がビッドされていない場合には,18か らビッドしてかまいません。 最後までパスをしなかったプレイヤーが,ソロイストになります。 ただし,ミドルハンドとリアハンドが,点数のビッドを行わないで直ちにパ スをした場合,フォアハンドは18のビッドをしてソロイストになるか,パスを 宣言します。パスの場合には,プレイは行われないで,次のディールが始まり ます。(次のディーラーは左隣のプレイヤーに交代します。) [ビッドの例] ビッドの例を少し挙げておきます。Fはフォアハンド,Mはミドルハンド, Rはリアハンドを表わします。 例1 M:18,F:はい,M:20,F:はい,M:パス (フォアハンドが勝ち残り), R:22,F:はい,R:23,F:はい,R:24,F:パス (リアハンドがソロイスト,ビッドの点数は24) 例2 M:パス (フォアハンドが勝ち残り), R:18,F:はい,R:パス (フォアハンドがソロイスト,ビッドの点数は18) 例3 M:18,F:パス (ミドルハンドが勝ち残り), R:20,M:パス (リアハンドがソロイスト) <ゲームの種類> ソロイストになったプレイヤーが宣言できるゲームの種類は,次のようにな ります。 [1]スートゲーム クラブ,スペード,ハート,ダイアモンドの4つのスートのうちの1つを切札 にして,プレイを行います。 ただし,各スートのジャックは,どのスートを切札にした場合でも,切札と して扱われます。 切札のスートのカードとその強さの順位は次の通りです。 (強)クラブJ,スペードJ,ハートJ,ダイアモンドJ,A,10,K, Q,9,8,7(弱) 切札以外の各スートのカードと強さの順位は次の通りです。 (強)A,10,K,Q,9,8,7(弱) スートゲームをプレイする場合,さらにスカートゲームにするかハンドゲー ムにするかを選択します。 スカートゲームの場合には,スカート(テーブル上のカード)の2枚のカード を手札に入れて,2枚を捨てることができます。ハンドゲームの場合は,スカー トはそのままにしておきます。 スカートゲームで捨て札にしたカードや,ハンドゲームで取らなかったスカ ートは,プレイ終了後,ソロイストのものになります。 ハンドゲームを行う場合に限って,さらに次の宣言を行うことができます。 これらの宣言で成功した場合は得点が高くなります。 (1)シュナイダー宣言 プレイで90点以上取ると宣言することです。 (2)シュワルツ宣言 プレイで全トリックを取ると宣言することです。 シュワルツ宣言を行った場合,シュナイダー宣言も行ったものとみなされ ます。 (3)ウベルト(オープン) 手札をすべて公開してプレイし,全トリックを取ることを宣言することで す。(ウベルトは「オープン」とも呼ばれます。) ウベルトを宣言した場合,シュナイダー宣言とシュワルツ宣言もあったも のとみなされます なお,これらの宣言で少しでも失敗した場合には,プレイ失敗となり,高い マイナス点となります。たとえば,シュナイダー宣言をして,90点取ることに 失敗した場合には,たとえ61点以上取っていてもプレイは失敗です。また,全 点数(120点)を取ったとしても,全トリックを取れなかった場合は,シュワル ツ宣言に失敗します。 [2]グランド グランドのゲームでは,4枚のジャックだけが独立した切札のスートになっ ています。(従って,5つのスートが存在することになります。) 切札のスートのカードとその強さの順位は次の通りです。 (強)クラブJ,スペードJ,ハートJ,ダイアモンドJ(弱) 切札以外の各スートのカードと強さの順位は次の通りです。 (強)A,10,K,Q,9,8,7(弱) グランドでも,スートゲームと同じように,スカートゲームにするかハンド ゲームにするかを決めます。ハンドゲームの場合には,同様に,シュナイダー 宣言,シュワルツ宣言,ウベルトをすることが可能です。 [3]ヌル(ミゼール) ヌルのコントラクトでは,ソロイストは1トリックも取らないことを目的とし てプレイします。(ヌルは「ミゼール」と呼ばれることもあります。) 切札はありません。 各スートのカードと強さの順位は次の通りです。 (強)A,K,Q,J,10,9,8,7(弱) ヌルにおいても,スカートゲームとハンドゲームがあります。 また,手札を公開してプレイすること,つまりウベルト(オープン)もプレ イ可能です。この場合のウベルトは,もちろん全トリックを取ることを目指す わけではなく,やはり全くトリックを取らないことが目的です。ヌルにおいて は,スカートゲームでもハンドゲームでも,ウベルトを宣言することができま す。 従って,ヌルには,次の4つの種類があります。 1.ヌル(スカートゲーム) 2.ヌル(ハンドゲーム) 3.ヌル・ウベルト(スカートゲーム) 4.ヌル・ウベルト(ハンドゲーム) <プレイ> ソロイストは,プレイの前に,スカートゲームにしようとしている場合には, スカートの2枚のカードを他のプレイヤーに見せずに手札に加え,2枚のカード を裏向きに捨て札します。捨て札したカードはテーブル上に他のカードと区別 して置いておきます。どのカードを捨て札してもかまいません。スカートにあ ったカードを捨て札することも可能です。 ハンドゲームの場合には,スカートの2枚はそのまま他のカードと区別して テーブルに置いておきます。 そのあと,ソロイストはゲームの種類を宣言します。 ウベルトの場合は,そのあと手札をすべて上向きにして,プレイヤーの前の テーブルに置きます。 それから最初のリードが行われます。最初のリードを行うプレイヤーは,必 ずフォアハンドです。 通常のトリックテイキングゲームのルールに従ってプレイします。つまり: 1)リードされたスートのカードがあれば,そのスートを出します。 2)なければ,どのカードを出してもかまいません。 3)切札が出ていない場合は,リードされたスートの最も強いカードを出し たプレイヤーが勝ちます(トリックを取ります)。 4)切札が出ているた場合は,最も強い切札を出したプレイヤーが勝ちます。 5)勝ったプレイヤーが次のリードを行ないます。 なお,スートゲームやグランドの場合,ジャックはそのカードに記されている スートではなく,切札のスートに属すことに注意して下さい。 ヌルの場合には,ソロイストが1トリックでも取った場合,失敗となり,直ち にプレイは終了します。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 続きます。
Subj:ルール紹介54:スカート(2) From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:97/04/21 19:30
スカートのルール紹介の2回目です。 1997/4/21 赤桐 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <カードの点数の計算> プレイが終わると,ソロイストは自分の取ったカートの点数を合計します。 他の2人のプレイヤーも,ふつうは確認のため2人のカードを合わせて点数を合 計します。 各カードには次のような点数があります。 A: 11点 10: 10点 K: 4点 Q: 3点 J: 2点 これ以外のカードは0点です。 全部のカードの点数の合計は120点になります。 スカートゲームの場合に手札にスカートを加えたあと捨てた2枚のカードや, ハンドゲームの場合の手をつけなかったスカートの2枚は,ソロイストのもの になるので,その点数はソロイストの点数に加わります。 通常の場合,ソロイストが61点かそれ以上を取ったら,プレイ成功となりま す。 <得点> ヌルのゲームを除き,「基本点」と「達成点」を掛けたものが得点となりま す。 得点 = 基本点 x 達成点 基本点とは,ゲームの種類による点数です。達成点とは,獲得した得点や, 手札とスカートの内容,シュナイダーなどの宣言による点数です。 [基本点] 基本点は,ゲームの種類により,次のようになります。 スートゲーム ダイアモンドが切札 9点 ハートが切札 10点 スペードが切札 11点 クラブが切札 12点 グランド(ウベルト以外) 24点 グランド(ウベルトの場合) 36点 [達成点] 達成点は,次の点数のうち,あてはまる点数をすべて合計したものになりま す。 ウィズまたはウィズアウト 各1点 ゲーム 1点 ハンド 1点 シュナイダー 1点 シュナイダー宣言 1点 シュワルツ 1点 シュワルツ宣言 1点 ウベルト(グランド以外) 1点 逆シュナイダー 1点 逆シュワルツ 1点 ウィズというのは,手札とスカートのカード(または捨て札したカード)を 合わせて,一番強い切札(クラブのJ)から連続して,何枚の切札があったか という枚数です。クラブのJがなければ,ウィズは0です。 例えば,クラブのJがあるけれど,次に強いスペードのJはない場合,ウィ ズは1です。クラブJ,スペードJ,ハートJ,ダイアモンドJ,切札のAがあ って,切札のKがなければ,ウィズは5になります。 ウィズアウトというのは,手札とスカートのカード(または捨て札したカー ド)を合わせて,一番強い切札(クラブのJ)から連続して,何枚の切札が欠 けていたかという枚数です。クラブのJがあれば,ウィズアウトは0です。 ^^ ^^^^^^^^ 例えば,クラブのJがなく,スペードのJもなくて,ハートのJがある場合 には,ウィズアウトは2になります。スートゲームで1枚も切札がない場合には, ウィズアウトは11になります。 「ウィズまたはウィズアウト」の点数は,ウィズまたはウィズアウトのうち, 0でない方の数がそのまま点数になりますから,少なくとも1点はあります。 なお,ウィズやウィズアウトでは,取ったカードではなく,配られたときの 手札とスカートを合わせたカードにあった切札を調べるということにご注意く ださい。手札にどのような切札があったかということは,記憶しておく必要が あります。 また,スカートゲームかハンドゲームかに関わりなく,最初の手札だけでな くスカートも含んだカードが問題になるので,スカートに入っていた切札によ っては,ビッドの時に考えていたものより,実際の達成点が多くなったり少なく なったりすることがあります。 「ゲーム」の点数は,61点達成した場合にも,しなかった場合にもつきます。 つまり,いつでも1点になります。 「ハンド」の点数は,ハンドゲームを行った時につきます(失敗した場合も つきます)。 「シュナイダー」の点数は,90点かそれ以上取った場合につきます。 「シュナイダー宣言」の点数は,シュナイダーの宣言を行った場合につきま す(失敗した場合もつきます)。シュナイダー宣言があった場合,「シュナイ ダー」の点数も成功失敗に関わらず別につきます。なぜなら,得点計算は常に 成功した場合の点数を基準に計算するからです。 「シュワルツ」の点数は,全トリックを取った場合につきます。なお,この 場合シュナイダーも達成しているはずなので,「シュナイダー」の点数も別に つきます。 「シュワルツ宣言」の点数は,シュワルツの宣言を行った場合につきます(失 敗した場合もつきます)。この場合,シュナイダー宣言も行っているとみなさ れるので,「シュナイダー宣言」の点数も別につきます。また「シュナイダー」 と「シュワルツ」の点数も別につきます(失敗した場合にも)。 「ウベルト」の点数は,ウベルトの宣言をしてプレイした場合につきます(失 敗した場合にもつきます)。この場合,シュナイダー宣言とシュワルツ宣言も 行っているとみなされるので,「シュナイダー宣言」と「シュワルツ宣言」の 点数も別につきます。また「シュナイダー」の点数と「シュワルツ」の点数も 別につきます(失敗した場合にも)。 グランドの場合,ウベルトの点数は達成点には入りません。その代わり,基 本点が大きくなっています。 「逆シュナイダー」は,めったに起こりませんが,ソロイスト以外の2人が90 点かそれ以上を取った場合につく点数です。つまり,ソロイストが30点未満の 点数しか取れなかった時に起こります。 「逆シュワルツ」は,ソロイストが1トリックも取れなかったときにつきます。 もちろん,「逆シュナイダー」の点数も別につくわけです。 達成点の計算の例を少し挙げておきます。 例えばウィズ2のハンドゲームでシュワルツを達成したときには,シュナイダ ーも同時に達成しているので,ウィズ(2)+ゲーム(+1=3)+ハンド(+1=4)+シュ ナイダー(+1=5)+シュワルツ(+1=6)で達成点は6になります。これをゲーム中に 口頭で数えるときには,「ウィズ2,ゲーム3,ハンド4,シュナイダー5,シュワ ルツ6」と言います。 ウィズ2のハンドゲームでシュワルツ宣言に失敗したときには,{ウィズ(2)+ ゲーム(+1=3)+ハンド(+1=4)+シュナイダー(+1=5)+シュナイダー宣言(+1=6)+ シュワルツ(+1=7)+シュワルツ宣言(+1=8)}に失敗したということで,達成点は 8になります。 [得点と失点] プレイが成功した場合も失敗した場合も,上記のやり方で得点を計算します。 61点を取ることに失敗した場合や,シュナイダー宣言やシュワルツ宣言(およ びウベルト)に失敗した場合には,その点数がマイナス点になります。 ただし,スカートゲームの場合は,マイナス点がその2倍となります。 つねに,ソロイストだけが,このようなプラスまたはマイナスの点数をつけ ます。 もし,計算した得点がビッドした点数より少なければ,その場合も失敗とな ります。これをオーバービッドの状態と呼びます。 この場合,達成点を必要なだけ増やして,点数(基本点x達成点)が宣言し た点数かそれより多くなるようにします。その点数がマイナス点です。(スカ ートゲームの場合には,それを2倍したものがマイナス点になります。) あるいは,ソロイストが,宣言した点数を得るためにシュナイダーやシュワ ルツなどを試みて失敗したと考えて,シュナイダーやシュワルツなどの達成点 を加えていっても同じことになります。 [得点と失点の例] 少し例を挙げておきます。 例1 スートゲーム(ハート)のハンドゲーム。ビッドした点数は40。 ウィズ3でカードの点数が95点あった場合。 基本点は10点。達成点はウィズ(3)+ゲーム(+1=4)+ハンド(+1=5)+シュナイ ダー(+1=6)で6点。10x6=60点。ビッドした点数以上なので文句なく60点の得点 となります。 例2 スートゲーム(クラブ)のスカートゲーム。ビッドした点数は18。 ウィズ2で61点に少し足りなかった場合。 基本点は12点。達成点はウィズ(2)+ゲーム(+1=3)で3点。12x3=36点。これを 2倍して72点のマイナス点です。 もしこれがハンドゲームならば,基本点は12点で,達成点はウィズ(2)+ゲー ム(+1=3)+ハンド(+1=4)の4点。12x4=48点のマイナス点です。 なお,相手側2人の合計点数が90点以上だった場合は,逆シュナイダーにな り,達成点が+1になります。また,相手側が全トリック取った場合は,逆シュ ワルツになり,達成点がさらに+1されます。 例3 グランドのスカートゲーム。ビッドした点数は60。 ウィズアウト1で61点以上だったが90点未満(シュナイダーにはならな い)。 基本点は24。達成点はウィズアウト(1)+ゲーム(+1=2)で2点。24x2=48点。 これはビッドの点数より少ないので,失敗となります。達成点を1つ増やして3点 にすると,24x3=74点で,ビッドの点数より多くなるので,これが得られた点数 です。スカートゲームなのでこれを2倍して,148点のマイナス点となります。 なお,例3で,カードで得た点数が61点に少し足りない場合でも,同じ計算 をして,同じマイナス点となります。 [ヌルの場合の得点計算] ヌルの場合には,次の基本点がそのまま得点になります。達成点は関係あり ません。 ヌル(スカートゲーム) 23点 ヌル(ハンドゲーム) 35点 ヌル・ウベルト(スカートゲーム) 46点 ヌル・ウベルト(ハンドゲーム) 59点 失敗の場合,スカートゲームでは,マイナス点が2倍になります。 得点がビッドした点数より少なければ(オーバービッドの場合には),この 基本点を何倍かして,ビッドした点数かそれ以上になるようにします。それが マイナス点になります。(スカートゲームでは2倍になります。) <コンシード> ソロイストは,プレイで成功することができないと考えたならば,プレイし ないで降参することができます。これをコンシードと呼びます。 コンシードは,スカートゲームならば手札とスカートの交換をおこなった後, ゲームの種類の宣言と同時に行います。 この場合の得点計算は,宣言されたゲームの種類に基づいて通常にプレイし て失敗した場合と同じです。ただし,逆シュナイダーや逆シュワルツの達成点 はつきません。 なお,プレイ中でもコンシードすることもできますが,その場合は他の全プ レイヤーの同意が必要です。 <ゲーム> ゲーム終了については,特に定まった規則はありません。 ただし,全員が同じ回数だけディーラーになるように,3人でゲームを行なう ときには3の倍数,4人でゲームを行なうときには4の倍数になるディール数で行 うようにしましょう。 <精算> ゲームが終了したら,各プレイヤーは他の全プレイヤーと,それぞれとの得 点の差だけの額を精算します。 例えば,プレイヤーをA,B,C,Dとし,それぞれの得点を a, b, c ,dと すると,Aが得られる(または,支払う)点数は: Aの精算点数 = (a - b) + (a - c) + (a - d) となります なお,4人ゲームの場合,各人の精算点数は自分の得点を4倍したものから, 4人の得点の合計を引いたものでもあります。すなわち: Aの精算点数 = (a - b) + (a - c) + (a - d) = 3a - b - c - d = 4a - (a + b + c + d) ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 続けて,<注>などをアップします。
Subj:ルール紹介55:スカート(3) From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:97/04/21 19:32
スカートのルール紹介の注釈です。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <注1> ドイツの伝統的なカードで行うとき,どんぐりはクラブに,木の葉はスペー ドに,ハートはハートに,鈴はダイアモンドに対応すると考えて下さい。 <注2> ビッドのときは,最初にミドルハンドから発言しますが,発言を促すために, フォアハンドが,「私がフォアハンドです」とか,「聞いていますよ」とか, 「ビッドして下さい」とか言うことがあります。 <注3> ビッドのとき,プレイの結果の得点としてありえないような点数をビッドす ることは,正式には禁止されます。例えば19です。 ビッド可能な100までの点数は以下の通りです: 18,20,22,23,24,27,30,33,35,36,40,44,45,46,48,50, 54,55,59,60,63,66,70,72,77,80,81,84,88,90,96,99,100 <注4> ゲームの種類とプレイの結果による達成点をまとめると次の表のようになり ます。(これにウィズ/ウィズアウトの数を加えたものが実際の達成点になり ます。) シュワルツ 31点〜89点 逆シュワルツ シュナイダー 逆シュナイダー スカートゲーム 3 2 1 2 3 ハンドゲーム 宣言なし 4 3 2 3 4 シュナイダー宣言 5 4 4 5 6 シュワルツ宣言 6 6 6 7 8 ウベルト 7 7 7 8 9 <注5> ブクブクさんの情報では,シェアウェアのスカートソフトで、コンシードを した場合,ビッド点がマイナス点になる(スカートゲームではその2倍)もの があるということで,「日本スカートゲーム協会(JSGA)公式ルール」でもそう なっているようですが,私としてはまだ確認できていません。 コンシードについては,全く触れられていない資料も多く,ドイツの公式ル ールでどのような扱いになっているのか,はっきりとは分かりません。 なお,最初のリードが行われるまでならコンシードが可能だというルールも あるようです。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <用語> スカートはドイツのゲームなので,用語はすべてドイツ語に統一しようかと も思いましたが,日本ではドイツ語がそれほどなじみがなく,今までの用語と もひどく違ってくるので,断念しました。 また,既に発表されているMILKさんのルールや「日本スカートゲーム協 会(JSGA)公式ルール」に従ったほうがよかったのかもしれませんが,自分の判 断と趣味を優先させることにしました。お許し下さい。 若干の用語についいてコメントしておきます。 「達成点」については,従来の用語(マルチプル・ファクターなど)は,ド イツ語からはかけ離れており,わかりやすい用語でもないため,改めました。 ドイツ語では,Spielwertであり,「ゲーム点」というのが一番近いと思います が,ゲームの種類によって決定される基本点とまぎらわしいので,「達成点」 としたものです。 ウィズとウィズアウトを総称して,「マタドール」という呼び方もされてい ますが,本文では特に必要もないので,そう呼びませんでした。マタドール (Matador)というのは,英米で伝統的に呼んでいる名前ですが,少なくとも現在 のドイツでは使われていません。現在ドイツの用語は「シュピッツェン(Spitzen)」 となります。 「シュワルツ(Schwarz)」は,シュバルツと読む方が原音に近いと思いますが, ゲーム用語として普及しているようなので,従来通りにしました。 「グランド(Grand)」は,フランス語からきた言葉でしょうが,ドイツで実際 にどのように発音しているのかは,よく分かりませんでした。従来の読み方に 従っておきました。 なお,「ソロイスト」を「デクレアラー」,「ゲームの種類」を「コントラ クト」と呼ぶこともできますが,コントラクトブリッジに近すぎる用語なので 避けました。 参考のため,ゲームで使われた用語の英語とドイツ語の原語を表にしておき ました。アスタリスク(*)がついているのが,日本語の表記の基になった言葉で す。 クラブ *Club Kreuz スペード *Spade Pik ハート *Heart Herz ダイアモンド *Diamond Karo どんぐり acorn Eichel 木の葉 leaves Gru(e)n ハート(ドイツカード) heart Rot 鈴 bell Schellen エース *Ace As/Daus キング *King Ko(e)nich クイーン *Queen Dame ジャック *Jack Bube オーバー - *Ober ウンター - *Unter ディーラー *Dealer Geber フォアハンド *Forehand Vorderhand ミドルハンド *Middlehand Mittelhand リアハンド *Rearhand Hinterhand ソロイスト *Soloist/Declarer Einzelspieler ソロイスト以外の Opponent/Defender Mitspieler プレイヤー パス *"Pass"/"I pass" "Passe"/"Ich passe" はい(ビッドのとき) *"Yes"/"I have"/ "Habe ich" "Have it" スートゲーム *Suit Game Farbspiel スカートゲーム *Skat Game Spiel mit Skataufnahme ハンドゲーム *Hand Game Handspiele シュナイダー宣言 Declared Schneider Schneider angesagt シュワルツ宣言 Declared Schwarz Schwarz angesagt グランド Grand Grand(フランス語) Grandspiel/Grossspiel ヌル Misere *Null/Nullspiel 基本点 Base Value Grundwert/Farbwert 達成点 Multiple Factor/ Spielwert Multiplier/ Game Factor/ Playing Factor ウィズ *With Mit ウィズアウト *Without/Against Ohne ウィズとウィズアウト Matador/Top Spitze の総称 ゲーム *Game Spiel/Spiel einfach シュナイダー - *Schneider シュワルツ - *Schwarz ウベルト Open *ouvert(フランス語)/offen コンシード Concede ? なお,(e)となっている綴りは,その直前の母音がウムラウトしている("が 文字の上についている)ことを示しています。 Grossspielの最初のss は正しくはエスツェット(βのような字)になります。 **********************************************************************