Subj:ルール紹介16:トリックテイキングゲーム From:赤桐裕二<mhb01072@nifty.ne.jp> Date:95/08/12 01:12
 今までの「ルール紹介」で,トリックテイキングゲームのプレイのルールを きちんと説明していなかったことが気になっていたのですが,ここで説明して おきたいと思います。  ていねいに書きすぎたので読みにくいかもしれませんが,ゆっくりお読み下 さい。 ********************************************************************** トリックテイキングゲームのルール 1995/8/11 赤桐  トリックテイキングゲームは,ある種のカードゲームの総称です。ヨーロッ パやアメリカのカードゲームの中では最も主流になっているものです。  コントラクト・ブリッジをはじめ,ブラックレディー,スカート,日本のナ ポレオンなど多数のゲームがこのなかにはいります。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++  トリックテイキングゲームの通常のルールは次のようなものです。 <スート>  スートとは,通常はマークによって区別されるカードのグループのことです。 つまり,スペード,ハート,ダイアモンド,クラブの4つのスートがあることに なります。  ただし,次の<切り札>の項で述べるように,ゲームによってはマークとスート が一致しないこともあります。 <切り札>  4つのスートのうちの1つを,強いスートとして,特別扱いすることがあり ます。これを「切り札」といいます。  例えば,ハートを切り札にすると,ハートのカードは他のカードより強くな ります。  ただし,このように簡単な例だけでなく,もっと複雑になることもあります。 例えば,ファイブハンドレッドというゲームでは,ハートを切り札にするとダ イアモンドのジャックも切り札になります。この場合,切り札になったダイア モンドのジャックは,もはやダイアモンドのスートには属さず,切り札のスー ト(ハート)に属すことになります。  また,切り札が4つのスートとは別の,5番目のスートを形成することもあ ります。例えば,ファイブハンドレッドのノートランプと呼ばれるゲームでは, ジョーカーだけが切り札になり,1枚だけで構成される5番目のスートとなり ます。また,タロットカードのゲームでは,最初から切り札専用の5番目のス ートがカードに含まれています。  切り札は「トランプ」とも呼ばれます。  なお,どのスートが切り札になるかを決める方法はゲームごとにさまざまで す。 <ディール>  ディーラーは各プレイヤーに同じ数のカードを配ります。  注:「ディール」とはプレイ前にカードを配ることです。また,ディールされ たカードによって行われるプレイを,1つのディールと呼ぶこともあります。「デ ィーラーとはカードを配るプレイヤーです。ディーラーは普通,時計回りに交代 します。各プレイヤーに配られたカードは「手札」と呼ばれます。 <ビッド>  現代的なトリックテイキングゲームでは,プレイの前に「ビッド」を行うこ とがあります。  ビッドは1人ずつ順番に行われますが,後のプレイヤーは前にビッドしたプ レイヤーより強いビッドをしなければなりません。そうしたくない場合には, 「パス」を宣言します。  最も強いビッドをしたプレイヤーは,切り札の種類を決めることができる事 が多いようです。そのかわり,プレイにおいて一定以上勝つことが義務づけら れ,それができないと罰点になります。  ゲームによっては,それ以外の目的や方法によるビッドもあります。 <プレイ>  現代において,もっとも普通のトリックテイキングゲームのプレイは次の通 りです。  1)最初に,誰か1人のプレイヤーが手札から自由に1枚のカードを選び, テーブルに表向きに出します。これをカードを「リード」するといいます。  2)他のプレイヤーは時計周りの順に1人ずつ,カードを1枚ずつ表向きに 出していきます。このとき,リードされたスートと同じスートのカードがあれ ばそれを出さなければなりません。2枚以上ある場合は,その中から自由に選 ぶことができます。リードされたスートのカードがない場合には,どのカード を出してもかまいません。  3)全員が1枚ずつ出し終わったら,誰が勝っているかを判定します。   a)出ているカードの中に切り札があるときには切り札を出したプレイヤ     ーが勝ちます。   b)切り札を出したプレイヤーが2人以上いる場合には,切り札の中で1     番強いカードを出したプレイヤーが勝ちます。切り札の中での強さの     順位は,ゲームごとに決まっています。   c)出ているカードの中に切り札がない場合には,リードされたカードと     同じスートで最も強いカードを出したプレイヤーが勝ちます。切り札     以外のスートについても,同じスート内での強さの順位がゲームごと     に決まっています。  4)今までの一連のプレイを「トリック」と呼びます。つまり,全員がカー ドを1枚ずつ出して,勝者を決めるまでのプレイです。  5)トリックに勝ったプレイヤーは,トリックに出たカードを集め,自分の そばに裏向きに置いておきます。このカードはもうプレイには使いませんが, プレイが終わった後に自分のものとして計算されます。なお,このようにして 1つのトリックで得たカードの集まりのことも「トリック」と呼ぶことがあり ます。  6)トリックに勝ったプレイヤーは,次のリードを行います。すなわち,自 分の手札から,自由に1枚を選んで出します。他のプレイヤーも時計回りにカ ードをだして,次のトリックのプレイを行います。  7)このようにして,手札がなくなるまでプレイを続けます。  8)通常は多くのトリックを取ることが目的となります。各カードに点数が ある場合には,取ったカードの点数を多くすることが目的になります。逆に, 罰点を含むカードをなるべく取らないようにするゲームもあります。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++  以下は,上記以外のさまざまなルールです。 <回り順について>  プレイやディール,ディーラー交代,ビッドの順などすべてにおいて,普通 は時計回りで行いますが,イタリアのゲームやほとんどのタロットカードのゲ ームなどでは,反時計回りで行います。 <トリックの勝者について>  ほとんどのゲームは上記のように勝者を決めますが,中にはスートは全く関 係なく,カードのランク(数字など)だけで勝者を決めるゲームもあります。 (「ル・トルック」など。)  それ以外にも,ナポレオンのセイム・ツーなど,特殊なものもあります。 <カードの出し方について>  上記の,リードされた後のカードの出し方は,コントラクトブリッジやブラ ックレディーなど,現在のポピュラーなカードゲームの出し方なのですが,他 にも様々なものがあります。  リードされたスートと同じスートのカードを出すことを「フォローする」と いいます。普通はフォローの義務があるのですが(これをマスト・フォローと いいます),ないものもあります。  フォローできないときに,必ず切り札を使わなければならないというルール を採用することもあります。これをマスト・ラフと呼びます。(ラフとは切り 札以外がリードされたときに,切り札を出すことです。)  また,今まで出たカードより強いカードを持っていれば,それを出さなけれ ばならないというルールを採用することもあります。これはマスト・ウィンと 呼ばれます。  実際には,次のようにいろいろのルールがあります。。  A)まったく自由に何を出してもよい。(「ベジーク」の前半のプレイや, 「ル・トルック」などのゲーム)  B)リードされたスートをフォローしなければならないが,できなければ何 を出してもよい(既に説明済みのルール。「コントラクト・ブリッジ」などの ゲーム。)  C)リードされたスートはフォローしなければならない。できない場合で, 切り札を持っている場合は,切り札を出さなければならない。それもできない 場合には,何を出してもよい。(マスト・フォロー,マスト・ラフ。「プリフ ァランス」やタロットカードのゲームなど。)  D)リードされたスートはフォローしなければならない。フォローできない 場合で,切り札を持っている場合は,切り札を出さなければならない。フォロ ーの義務の範囲内で可能ならば,勝てるカードを出さなければならない。(マ スト・フォロー,マスト・ラフ,マスト・ウィン。「ベジーク」の後半のプレ イや,「エカルテ」など。)  E)切り札以外のスートがリードされた場合,フォローしなければならない。 できない場合で,切り札を持っている場合は,切り札を出さなければならない。 それもできない場合には,何を出してもかまわない。  切り札がリードされた場合,今までに出た切り札より強い切り札を持ってい る場合には,それを出さなければならない。それができない場合でも,切り札 を持っていれば切り札を出す。切り札がない場合には,何を出してもよい。  (「オークション・ピノクル」など)  F)切札以外のリードのときには,リードされたスートのカードを出すか, 切り札を出さなくてはならない。(リードされたカードを持っていても,切り 札を出してかわない)。リードされたスートのカードも,切り札も持っていな い場合に限り,それ以外のカードを捨て札することができる。  切り札がリードされたときには,切り札があれば出さなければならない。た だし,持っている切り札が上位3枚の切り札の中のカードだけであり,しかも, リードされた切り札が持っている切り札のどれよりも弱いカードである場合に 限り,切り札以外のカードを捨て札することができる。  (「スポイル・ファイブ」のルール)  G)リードされたスートに対し,フォローしてもよいし,切り札を出しても よい。フォローできない場合には,どのカードを出してもよい。(スポイル・ ファイブのルールとの違いは,フォローできない場合に,切り札を出さなくて もよいということです。「オークション・ピッチ」などのルール。) **********************************************************************