Subj:ルール紹介102:トロッグ From:赤桐裕二 Date:00/06/28 23:13
昨年10月になかよし村でやったタロットカードのゲームです。すでに草場さんの紹介 もありましたが,お勧めのゲームです。 **********************************************************************   トロッグ(Troggu) 2000/6/28 赤桐裕二  スイスのタロットカードですが、今ではほとんどプレイされていないようで す。  愚者のカードの扱いに独特のルールを持ったゲームであり,愚者を特殊なカ ードとして扱う古いタイプのタロットカードから,愚者を最も強い切札とする 新しいタイプのタロットゲームへの移行途中のルールといえます。  それ以外のルールはきわめてオーソドックスなものであり,ビッドや得点の 分かりやすさや,プレイヤーの人数の融通がきく点などから,プレイしやすい ゲームです。面白くてお勧めできるゲームです。  ルールはhttp://www.pagat.com/によります。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <プレイヤー>  3人〜8人。7人か8人がベスト。  7人以上の場合は、臨時のパートナーを作ってプレイを行います。まずは6人 以下のルールを紹介します。 <カード>  イタリア風のスートを持ったスイスのタロットカードを使います。62枚のカ ードを使います。  カップ(聖杯)、コイン(貨幣,スイス風に言えば「花」または「薔薇」), ソード(剣),バトン(棍棒)の4つのスートがあります。各スートは10枚です。  カップとコインのカードは,強いものから順に次の通りです(数札は実際の スイスのタロットではローマ数字になっているようです):    キング,クイーン,カバロ,ジャック,1,2,3,4,5,6  ソードとバトンのカードは,強いものから順に次の通りです:    キング,クイーン,カバロ,ジャック,10,9,8,7,6,5  その他に,21枚の切札のカードがあります。1(I)から21(XXI)までのロー マ数字が大きく書かれています。数字の大きいほうが強いカードです。  さらに,ベトラー(Baetler,愚者)と呼ばれるカードがあります。このカード も切札として扱われ,最強の切札となりますが,後で述べるように特別な使い 方もできます。  なお,プレイを行うためには,フランスのタロットカードを使ったほうがや り易いでしょう。その場合にはスートはカップとコインの代わりにハートとダ イアモンド,ソードとバトンの代わりにスペードとクラブとなります。 <カードの点数>  それぞれのカードには次の点数があります。   ベトラー,切札21,切札1: 5点   各キング         : 5点   各クイーン        : 4点   各カバロ         : 3点   各ジャック        : 2点   それ以外のカード     : 1点   全カードの合計点は114点になります。 <ディール>  最初のディーラーは任意のやり方でランダムに決めます。次回からは反時計 回りに交代します。  ディーラーはまず何枚かのカードをタップ(Tapp=タロン)としてテーブルに 裏向きに置き,残りのカードをプレイヤーに全部配ります。  タップの枚数と,プレイヤーに配る枚数は次の通りです。  プレイヤーの数 タップの枚数 各プレイヤーに配る枚数                    (1度にまとめて配る枚数)    3人      8枚      18枚(6枚,6枚,6枚)    4人      10枚      13枚(4枚,4枚,5枚)    5人      7枚      11枚(4枚,4枚,3枚)    6人      8枚       9枚(4枚,5枚)    7人      6枚       8枚(4枚,4枚)    8人      6枚       7枚(4枚,3枚) 4)ビッド  ディールが終わると,プレイを始める前にビッドを行います。  ビッドに成功したプレイヤーをタッピスト(Tappist)とよびます。タッピスト は,他のプレイヤー全員を敵に回してプレイをすることになります。  カードには前に説明したような点数がありますが,タッピストはプレイでカ ードを取って,全点数の半分以上つまり57点以上を得ることが目的になります。  ビッドは,ディーラーの右隣のプレイヤーからビッドを始め,反時計回りに ビッドを進めます。各プレイヤーは1度だけしかビッドに参加できません。  ビッドの番になったプレイヤーは「やります(ich nehm's/ich gehe)」と宣言 するか「ソロ(Solo)」と宣言することができます。どちらも言いたくないとき には「パス」と言います。  「やります」と言ったプレイヤーがいた場合には,それ以降のプレイヤーは 「ソロ」を宣言することしかできません(もちろんパスはできます)。  最後に「ソロ」または「やります」と宣言したプレイヤーがタッピストにな ります。  全員がパスをした場合には後述するミゼールのゲームを行います。 <タップとの交換>  タッピストは,プレイの始まる前に手札とタップとの交換を行うことができ ます。ただし「ソロ」を宣言したプレイヤーは交換できません。  タッピストはまずタップ全部を取って手札に加えます。タップは他の人に見 せる必要はありません。それからタップの枚数と同じだけのカードを捨て札し ます。捨て札も他の人には見せません。  5点のカードを捨て札することはできません。ただし,キングが4枚あった場 合に限り,4枚のキング全部を捨て札することはできます(この場合も見せる必 要はありません)。それ以外の捨て札の制限はありません。  捨て札されたカードの点数は,タッピストのものになります。  ソロの場合は,タップの交換はできず,プレイが終わるまで誰もタップを見 ることはできませんが,タップのカードの点数はタッピストのものになります。 <プレイ>  このゲームではプレイは常に反時計回りに行います。プレイはトリックテイ キングゲームです。  まず,タッピストが自由に手札の中の1枚のカードを選んでテーブルに出しま す(これをリードすると呼びます)。  つぎにその右隣のプレイヤーが手札からカードを1枚出します。  リードされたカードが切札であった場合は,手札に切札がある場合には切札 を出さなければなりません。ない場合にはどのカードを出してもかまいません。  リードされたカードがそれ以外のスートのカードであった場合には,そのス ートのカードが手札にあれば,そのスートのカードを出さなければなりません。 ない場合には切札を出さなければなりません。切札も持っていない場合にはど のカードを出してもかまいません。  それ以降のプレイヤーもリードされたカード(最初に出されたカード)に従 って同じようにプレイします。  こうして全員が1枚ずつカードを出すと,トリック終わったことになります。  出されたカードの中に切札がある場合には,一番強い切札を出したプレイヤ ーがこのトリックに勝ちます。切札がない場合には,リードされたスートで最 も強いカードを出したプレイヤーがこのトリックに勝ちます。  勝ったプレイヤーはこのトリックに出された全部のカード(これもトリック と呼ぶ)を取ったことになり,自分のところに裏向け向けに置きます(手札に は加えない)。  トリックに勝ったプレイヤーが次のリードを行い(手札から自由に1枚を出し), 同様にプレイが続きます。  このようにプレイを続けて,手札を使いきったらプレイは終了です。 <ベトラーの特別ルール>  ベトラーは最も強い切札ですが,次の特別ルールがあります。  前記のルールに従えば,切札をリードされた場合や,切札以外をリードされ てそのスートのカードを持っていない場合,切札を持っていれば必ず出さなけ ればなりませんが,手札に残っている切札が1枚だけでそれがベトラーだった場 合に限り,それを出さないで自由に他のカードを出すことができます。  ただし1度でもそれを行うと,それ以降,プレイの最後のトリックまでベト ラーを使うことができません。最後のトリックでは,ベトラーを出したプレイ ヤーはトリックに勝つことはできませんが,ベトラーはトリックに勝った人の ものにはならないで,ベトラーを持っていた人のものになります。ベトラーを 持っていたプレイヤーは,その代わり,自分の側のプレイヤーの取ったカード の中で最も点数の低いカードを1枚,トリックに勝ったプレイヤーに渡します。 (もしベトラーを持っていた側が1トリックも勝っていなければ,ベトラーはト リックに勝ったプレイヤーのものになります。)  なお,このような場合で,最後のトリックでベトラーをリードしたときには, その次にプレイするプレイヤーはどのカードを出してもかまいません。そのプ レイヤーが出したカードをリードされたカードとして扱います。この場合も, ベトラーは最も弱いカードになります。 <勝敗と得点>  ゲームが始まる前に,プレイヤーに同数のポーカーチップを配っておきます。 (実際には現金をそのまま使っていたようですが。)  プレイが終わったら,タッピストは取ったカードの点数と捨て札(ソロの場 合はタップ)の点数を合計します。それが58点以上ならタッピストの勝ち,56 点以下なら負け,57点なら引き分けとなります。  タッピストが勝った場合は,他の全プレイヤーの1人1人から,1チップずつを もらううことができます。相手側が30点以下しか取っていない場合には2チップ をもらうことができます。相手側が1トリックも取らなかった場合には3チップ になります。  タッピストが負けた場合には,タッピストは1チップずつ他の全プレイヤーの 1人1人に払わなければなりません。タッピストが30点以下しか取っていない場 合には2チップ,1トリックも取らなかった場合には3チップになります。  ソロの場合には,上記のチップの数はさらに2倍となります(2チップ/4チッ プ/6チップになるわけです)。  引き分けの場合は,チップの受け渡しはありません。 <ミゼール>  ビッドのとき全員がパスをしたら,ミゼールのプレイを行います。タップは 使いません。  ディーラーの右隣のプレイヤーが最初のリードを行います。プレイのルール は通常のプレイと変わりませのが,プレイの目的は点数をできるだけ取らない ことです。  プレイが終わると,取った点数の最も高いプレイヤーが,他の全プレイヤー 1人ずつに,1チップずつ払わなければなりません。(最も高い点数が同点の場 合の扱いはよく分からないのですが,同点のプレイヤー全員がそれ以外のプレ イヤー全員に1チップずつ払うことになると思います。) ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ <プレイヤーが7人や8人のときのルール> 1)ビッド  全員がパスをした場合,ベトラーを持っているプレイヤーがタッピストにな ります。ベトラーがタップの中にある場合は,切札の1を持っているプレイヤ ーがタッピストになります。それもタップの中ならば,ミゼールのプレイを行 います。 2)パートナー決め  タッピストになったプレイヤーは,タップとの交換のあと,カードを指定し て,そのカードの持ち主をパートナーにすることができます。ただし,ベトラ ーや切札の21のカードを指定することはできません。  パートナーは,指定されたカードをプレイするときまで,自分がタッピスト のパートナーであることを明かしてはなりません。  手札や捨て札(ソロの場合は取らなかったタップ)にあるカードを指定する こともできます。この場合,パートナーなしでプレイすることになります。 3)得点  タッピストのチームが勝った場合(タッピストとパートナーの点数を合わせ て58点以上になった場合)には,それ以外のプレイヤーはそれぞれ1チップずつ を支払います。支払われたチップのうち,パートナーは2チップをもらい,タッ ピストは残り全部をもらいます。  タッピストのチームが負けた場合は,パートナーは2人の敵に1チップずつ払 い,残りの敵へはタッピストが1チップずつ払います。  相手の点数やソロのプレイによって,通常通り,チップは何倍かになること があります。 **********************************************************************