注*この頁、何故か解説風。ネタばれの危険性アリ。
『黒い瞳』、これは私の宝塚観劇歴の中でもベスト3に入る出来!マミちゃんはまたしても(笑)お坊っちゃまの役なのですが、最近じゃあこういう役が当たり前というか、もう慣れてしまいました…。(いいんかなー)いわゆるトップさんがやる白い二枚目です。あー…。でも儚げで格好良いのだ。
しかし、柴田先生&謝先生の組み合わせは良いよ!久々に“古き良き宝塚”を観たという感じ。とっても上品で、ヘンな衣装やセット、説明的なセリフがない画期的な作品!最近ちょっと濃い作品続きだったので心なごむ出来!『WSS』で力を付けた組子がのびのびと実力を出していました。『WSS』に比べ役が少ないのはしょうがない。
お話は地方貴族の御曹司で陸軍少尉の青年・ニコライ(真琴)と砦の司令官の娘・マーシャ(風花)との純愛を軸に、ニコライと反乱軍の将・プガチョフ(紫吹)との男同士の友情を骨太に描いた“青春の光と影”的内容。ゆうこちゃんのサヨナラ作品なんだけど主役の2人の出番はあっさりしていて、その分、プガチョフとの絡みはとっても濃ゆいの!マーシャはどちらかというとエカテリーナU世(千紘)との掛け合いに力が入った役。この2人のやりとりは泣かせます!
舞台はは狂言廻し、嘉月・霧矢・大和のトリオがコサック風衣装でロシアちっくにご挨拶するところから始まります。昔の格調高い小説なので、彼らの説明はとっても有り難かった。要所要所に出現し物語にも登場。幕開きは華やかな宮廷。貴族が優雅に暮らしている盆が回ると(シヴァーブリン・初風が何か起こるぞ〜という鋭いガンを飛ばしています)これまたベルばら的民衆の世界!「パンがなければお菓子を食えと!」とゆーノリで、貧しさに喘いでいるのでした。その下にさらにコサックがいて、赤い衣装の若手男役が例の超有名なダンスを披露。彼らの激しいダンスの後方から悠然とお坊っちゃま登場!軍服姿がいかにも上品!ナポレオン帽子を被って両親にあいさつ。「お身体を大切に〜!」とははて、どっかで聞いたような…リチャード!?しかしニコライは吹雪に遭い、帽子もコートも奪われあっけなく倒れる。ここの雪の精、イイです。大雪で大変!と、とても分かり易い。衣装も小道具も振り付けも美しい!そしてゆうこ姫登場〜!マーシャではなく、雪の少女として登場するのですが、くるくるジャンプがお見事!寝ているマミちゃんもむくっと起き上がり、2人で踊り出すのであった。(タップ音からオケが入るところはとってもイイぞ!)少女は去るのだが、ニコライは心ここにあらず状態。マミちゃんの夢見る視線がいいのよねぇ〜。
お話は現実のサム〜イ雪の森に戻り、ニコライと従僕(未沙)が馬車で立ち往生しているところに浮浪者のプガチョフ登場!汚いオヤジなんですけど、貫禄あります〜!プガチョフが手綱を取って歌う歌が勇ましくて、物語を象徴する内容。後で出てくる彼のテーマ曲です。「いや〜ッ!」の掛け声もおっとこまえ〜!宿に案内してもらったニコライは感激し、お酒をごちそうした上、高〜いコートをあげてしまいます。プガチョフは大感激!「今度会ったら必ず礼をします!ブチュッ」とニコライの手にチューするのであった。
ニコライの赴任先のベロゴールスク要塞はのんきな田舎。ニコライはがっくりするのですが、マーシャに一目惚れして「悪くないかぁ〜」と思い直すのだった…(単純)。シヴァーブリンの冷たい視線をよそに「探していたものがすぐ近くに」と2人は愛のデュエット。
その陰にコサックが…!棒を突き突き勇ましく歌い、奥から反乱軍の将プガチョフ登場!「進め嵐の中を!」と歌い上げます。女兵士も格好いいぞ。しかし宮廷は全く相手にせず、偽の皇帝を名乗るプガチョフとエカテリーナU世は睨み合う。
緊迫の場面から一転、鼻歌まじりに恋のポエムを作るニコライ。マーシャとアツアツのデュエット。マーシャの悪口を言ったシヴァーブリンとの決闘に挑み大けが。しかし休養先は大尉の、つまりマーシャの家。2人の愛はさらに燃え上がり、ニコライは結婚を申し込む。マーシャがコサックの娘であると告白しても全然お構いなしだった。
コサックの反乱軍が要塞に迫り、ニコライも怪我をおして出陣するが、平和ボケした要塞はあっと言う間に陥落。大尉は殺され、ニコライも囚われの身に。しかし大将・プガチョフがニコライのことを思い出し、無罪放免となる。
逃げ遅れ、ベロゴールスクに匿われているマーシャを助け出すため、オレンブルグに出陣を求めるニコライ。しかしオレンブルグは拒否。そうこうしているうちに、マーシャがシヴァーブリンの囚われの身になっていることを知る。ニコライは「一人でも行くぞ!」と決意。ここの歌がイイ!何かちょっと『WSS』の“連れ去ろう君を遠く遠く〜”に似た感じ。“君を助けに行こう!!”と力強く歌って引っ込む。
…が、すぐ捕まる…。プガチョフが女たちを侍らせてバチダンス(?)を楽しんでいるところにニコライ登場。プガチョフも「何をしたんだ?」と呆れ気味、というか「しょーがないなぁ〜」って感じ。でもマーシャがシヴァーブリンに囚われていることを聞き「けしからん!」とご立腹。2人はソリでベロゴールスクに向かう。
ここのソリの場面、永遠に語り継がれる名場面となるでしょう!(というか、この作品そのものが語り継がれ、きっと再演されると思う。この場面をまた観たい人がいっぱいいるだろうなぁ)セットも照明もとても抑えているのですが臨場感溢れる眺め。ソリを表すトリオの振り付けが良い。柴田&謝コンビのセンスの良さに脱帽!ここで掛け合いの歌になるのですが、トップと2番手の正統派の掛け合いの歌って、本当久しぶり!宝塚はこうでなくっちゃ!舞い散る雪、美しいメロディ、2人の表情…。全てが完璧、素晴らしい!
ベロゴールスクでは無事、マーシャを取り戻すのですが、ここで一旦、ニコライとプガチョフは別れる。「今度はいつどんな形で会うかな」。お互い敵ながら引かれ合う2人はガッチリと握手し、ロシア的にグッと抱擁するのであった(マミちゃんが抱かれる感じ)。
さてエカテリーナがプガチョフの首に賞金をかけたことから反乱軍は次第に旗色が悪くなる。ニコライは実家へ戻る道中でそのことを聞きつけ、マーシャを説得し戦場へ。プガチョフに会いに、敗北を見届けるために…。
戦闘場面は赤い照明とスモークが印象的。音楽も勇ましくてとってもイイ。反乱軍は政府軍に追い詰められ、とうとう戦場でニコライとプガチョフが刃を交える。何だかやり切れない…。勝負付かずで別れるのですが、反乱軍は防戦一方、裏切り、仲間割れ…。ニコライを慕っていたマクシームィチ伍長(樹里)はニコライに銃口を向けるが撃てず、果敢に斬りかかるが切られ、「少尉……」と果てる。マミちゃんの眉間にシワ系の苦悩の表情が美しく“絶望の戦場ダンス”は切ない…。そして捕らわれたプガチョフは縛られ、引きずられる…。ニコライは為す術なく…。
そして戦犯や裏切りを裁く査問委員会が開かれ、何故かニコライも召喚された。「プガチョフと親しくしていた」とシヴァーブリンが密告し、スパイの疑いがかかったためだった。でも、マーシャのことは言えない。ニコライは黙秘。
それを聞いたマーシャは事の真相を悟り、ニコライを救うためひとり、ペテルブルグに向かう…。ここも名場面。トリオが歌い、マーシャが吹雪の中を急ぐ。雪のコロスの使い方が素晴らしく、布の使い方が効果的。トリオがそれぞれにマーシャをリフトし、最後はマーシャを掲げて袖に消える。
マーシャは宿屋の女主人の手だてで女帝・エカテリーナに謁見。ニコライの命を乞う。娘役トップ2ががっぷり四つに組んで掛け合いの歌。マーシャの哀願に女帝は“女であること”を思い出し、ニコライを許す決心を。ユウコちゃんがいつも熱演で、こっちも思わず涙ぐんでしまう…。アツも素晴らしく、見直した!
エカテリーナはマーシャとの結婚を条件にニコライを赦す。白い軍服姿が美しいニコライは、マーシャの元へと急ぐ。
しかしプガチョフが刑場に引かれていくところに出くわす。最期まで堂々としたプガチョフ。もうニコライには助けることも出来ない。それはお互い分かっていて、奇妙な友情もここで終わる…。「大きな賭けに負けたな…」。
姿を消したマーシャの行く先は…?ニコライは思い出のベロゴールスクへと向かう。砦跡の草原、墓碑を前に歌うマーシャ。ニコライに気付き抱き合う2人。身分違いに悩むマーシャに「君がいなくてぼくが幸せになれると思うのか!」とニコライ。何だか、退めるユウコちゃんに向けたマミちゃんの気持ちとダブる…。トップ昇格後初のハッピーエンド。プガチョフもシヴァーブリンも雪の精になり、白を基調とした美しいダンスで幕が下りるのだった。
セットも衣装も照明も、セリフも場面転換も随所の歌もダンスも、全てが素晴らしいハーモニーを奏で、心に残る珠玉の名作となりました。ビデオも勿論買って、東京にもガンガン行くゾー!と決心したほど。一人でも多くの人にこの作品を観てほしい。観ないとソンしますよ〜!初心者の方にもオススメですが、出来れば宝塚歴の長い人に観てほしい。正統派タカラヅカ、“清く正しく美しく”の見本のような作品ですから。そして観る度に味が出る、スルメ系の作品です。観れば観るほど、涙なしではいられないでしょう…(経験者は語る…)。
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