よくある質問
Q 人が亡くなった時には、葬儀に先立って戒名をつけてもらうと聞いておりますが?
Q 納棺の際、身だしなみを整えますが、真宗門徒にふさわしい故人の姿とはどんな姿ですか?
Q 死者には納棺の際、死装束を着せて六文銭を持たせないといけないと聞きましたが?
Q 納棺の際、故人の朱印帳や好物のメロンなども棺に入れてあげたいのですが?
Q 通夜のお勤めに参列する際に気を付けることは何ですか?
Q 遺族に対してかける言葉が見あたりません。どのような言葉がよいですか?
Q お焼香をする際に何か特別に気を付けることはありませんか?
Q お香を額にいただくことには、何か教えにそぐわない意味があるのですか?
Q 都合でどうしても早く帰らねばなりません。すぐに焼香してもよいでしょうか?
Q 葬祭会館のコンピューター受付で、電話帳にも載せていない娘の名前まで表示されましたが?
Q 通夜のお勤めの参列に間に合いませんでした。遅くなっても良いのでしょうか?
Q 人が亡くなった時には、葬儀に先立って戒名をつけてもらうと聞いておりますが?
A いいえ。私たち真宗門徒は生前に帰敬式を受け、法名をいただくというのが本来の姿です。ですから、生前に帰敬式を受けずにいて法名のない方には、緊急に法名を授け、仏教徒としての名のりをもって葬儀を行っているわけです。ですから、ここには二重の間違いがあり、一つは戒名でなく法名ということ。もう一つは本来死後でなく元気なうちにいただくということです。詳しくは帰敬式についての項を参照して下さい。
Q 納棺の際、身だしなみを整えますが、真宗門徒にふさわしい故人の姿とはどんな姿ですか?
A 数珠をかけ、肩衣をかけて合掌されているお姿のことです。他に特別な着物や持ち物を身につけることはありません。肩衣は無ければ省略して構いませんが、数珠ぐらいは何とか調達してください。素材は燃えない石製を避け、燃やせるものにしてください。近頃は葬儀社の方がサービスの一環として身ぎれいに化粧までして頂いたりすることが多いですが、身内の出番がないわけではありません。故人の生身に接する最後の機会でもあります。後で後悔することの無いよう自分自身の手で、出来るだけの範囲で身ぎれいにして差し上げましょう。
Q 死者には納棺の際、死装束を着せて六文銭を持たせないといけないと聞きましたが?
A いいえ、その必要は全くありません。真宗門徒の葬儀には、このような特別な着物や持ち物を使用することは断じてありません。例えば、昔の旅装束のように杖を持たせ手甲・脚絆をつけたり、頭に三角の白布を付けたり、六文の銭を入れた袋を持たせたりするのは、すべて迷信的死生観の深く影響した風習であります。これらの風習に対しては、訣別すべき迷信的風習であることをきちんと憶え、必要としないことを深く心に刻んでおきましょう。
Q 納棺の際、故人の朱印帳や好物のメロンなども棺に入れてあげたいのですが?
A いいえ。本や果物などの燃えにくいもの・燃え残りやすいものを棺に入れてはいけません。火葬場の炉が傷んだりするので職員の方が一番困られることの一つでもあります。お気持ちは分かりますが皆で使用する火葬場です。マナーを守って迷惑のかからないようにしましょう。
Q 通夜のお勤めに参列する際に気を付けることは何ですか?
A ここまで書いてきたように、通夜のお勤めは一緒に唱和すべきお勤めですので、お参りのための数珠はもちろん、勤行本も忘れずに持って行きましょう。お勤めは『正信偈』のいわゆる三首引または六首引で、昔からお講組などでやられてきた一番なじみの深いお勤めです。そしてもしあれば、肩衣も掛けていきましょう。たいていの場合数珠の形や服装に定めはありませんが、あまりに華美なものは避けるべき場と思います。喪服である必要はありません。
Q 通夜に参列する際など、遺族に対してかける言葉が見あたりません。どのような言葉がよいですか?また、どのような言葉に気を付けたらよいですか?
A 挨拶の言葉としては、悲しみの中でその方を大切に思うわけですから、ふさわしい言葉としてはやはり、「悼む」「哀悼」「寂しく思う」などの言葉が良いように思います。また、ご遺族の方を励まそうと迷信めいたことをいろいろ言うことは感心しません。子供だましのようなことをいろいろ言うよりも、本当に悲しみを共有する仲間として接することの方が大切であり、かえってその方が支えや励ましになるというようなことも聞き及びますので、配慮したい所です。
他にも、弔電やテレビの追悼番組などでよく聞く「冥福を祈る」という言葉がありますが、気を付けましょう。冥福とは冥土という、死者の赴く場があるという思いが前提の言葉であり、それは死者を貶める迷信からくるものであります。その中での幸福を願うという言葉は、一見、良い言葉と思われても、仏法から見れば実にねじれた意味の言葉であります。
死する者といえども、残された私たちと大切な関係にある人に変わることはありません。むしろ、先立つという形で私たちに本当の生死の姿を目の当たりに見せてくださり、私の人生を正しく見つめるはたらきをくださる大切な存在であるはずです。「冥」の字は、むしろそんな真実の姿に冥く、目を閉じている私たちにこそふさわしい字であります。ですから、私たちが死する者を大切な存在としてご遺族に語りかけるときに、「冥福を祈る」という言葉はふさわしくないのです。
Q 通夜のお勤めの後、お焼香をする際に何か特別に気を付けることはありませんか?
A いいえ。通夜に時間を決めて集うのは、皆でそろってお勤めをするためであって、お焼香のために集まっているわけではありません。ですから、元々はお焼香の順番などの決めごとはありません。
ただ、近頃の葬祭会館での通夜は、円滑な運営の関係上、時間を決めて焼香台を出すなどして、自由に焼香できないような形になっていることが多いですから、焼香のタイミングは葬祭会館の係員の指示に従う形となっていることが多いようです。この場合、葬儀会場に適した形で焼香順が決められている場合もあるようです。
焼香の作法についても、宗派ごとの違いがありますし、各々の宗派のやり方でお焼香していただいて構いません。真宗の葬儀式だからといって真宗式のお焼香作法を強要するものではないのです。ちなみに同じ宗派、真宗大谷派の門徒の方々が焼香される場合は、もちろん正式な作法で焼香しましょう。参考までに、作法を紹介すると、
・姿勢を正し正面のご本尊を仰ぎ見る
・香を指でつまみとり、そのまま香炉へ運び入れる(二度行う)
・再びご本尊を仰ぎ見て、数珠を両手にかかるようにかけて合掌、そして心中 もしくは微音にて数回念仏申す
・最後に軽く頭を下げ、退出する
となります。つまんだお香を額にいただくことはいたしません。
Q お香を額にいただくことには、何か教えにそぐわない意味があるのですか?
A いいえ。元来、お香を額にいただくということは、額に香をこすりつけるという意味の仕草から来たものです。インドでは塗香という習慣があり、今の香水のように身体に香をこすりつけていました。額に香をこすりつけることは、香りをまとうという意味であり、現在の焼香と同じように、清らかな香りで身を包むお参りの時のマナーとして作法となったものです。ですから、焼香と同じ意味の仕草だけが残っているものなのです。ただ、現代においてはその元の意味を知る方が少なくなり、お香に何か念じたり願をかけているようにも見えるので、香を額にいただくとかえってお香に何かを念じて焼香するような誤解を招く危険があるように思われます。作法どおりに焼香していただくことと同時に、正しい由来を憶えておきましょう。
Q 都合でどうしても早く帰らねばなりません。すぐに焼香してもよいでしょうか?
A はい。原則としてお勤め・法話の最中でなければ焼香は自由にしていただいて構いません。葬祭会館などの場合で焼香台がまだ用意されていない場合でも、事情を係員に話せば、差し障りのない限り、臨時に焼香台を用意していただけることと思います。しかしもし、お勤めの最中の場合、焼香は終わるまで差し控えますので、どうしても間に合わない場合は、芳名録に記帳するなど、焼香以外のことだけ済ませ、後ほど出直すなりして、他の手だてを考えて下さい。
Q 電話番号だけで住所や名前が表示される葬祭会館の記帳用パソコンで、私の他に電話帳に載っていない娘の名前までも表示されました。どういう事でしょうか?
A それはおそらく、娘さんがどこか同じ葬儀社の葬祭会館で入力されたデータが表示されたものと思われます。葬祭会館の電子記帳は、好むと好まざるとに関わらず、すべての葬祭会館にデータが流用されるものがあるようですから、このようなことが起こるわけです。とても便利なようですが、個人データはどこまで流用されるか分かりませんので、電子記帳には細心の注意を払っていただきたいと思います。たとえば、家族や職業・趣味の会などの詳しいデータは入力を避け「友人」「仕事関係」程度にするのが安全です。遺族に詳しい間柄を知っていただくのは良いことかも知れませんが、葬儀社のデータにずっと残ることも忘れないで下さい。出来れば電子記帳を避け、やむを得ない場合でも葬祭会館のプライバシーポリシー(個人情報扱い規定)を十分に理解すべきです。中には何も規定もなくデータの譲り渡しが行われ、思わぬ迷惑がかかることもあるようです。便利な機械ですが、良からぬ目的を持った人々にも便利な機械になることを十分承知して使用して下さい。
Q 通夜のお勤めの参列に間に合いませんでした。遅くなっても弔問に出かけても良いものでしょうか?
A はい。間柄にもよりますが、通夜は原則夜通しですので作法上はもちろん構いません。ただ、葬祭会館などでは葬儀会場の閉場時間の決められている所があるようです。その場合は会場から親族の控室に棺が運び込まれている場合が多いので、そちらにおじゃますることとなります。事実上、弔問のしにくい状況かも知れませんが、ある意味本来の通夜弔問のスタイルに一番近いとも言えるでしょう。一度しかない機会ですので、悔いの残らないようにお出かけいただくに越したことはないように思います。また、迎え入れる側としても、ある程度の時間までは出来る限り対応出来るよう配慮して頂けたらと思います。
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