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真宗の葬儀作法

枕勤め

 枕勤めでは、まず遺体を寝かせて安置する場所を自宅に確保することが先決です。出来る限りお内仏のある部屋にしましょう。
もし、お内仏のない部屋に寝かせることになる場合、
必ず手継寺にその旨を伝えてください。枕勤めの際に安置する臨時のご本尊が必要となってくるからです。そして、そのご本尊を安置する場合にお供えすべき仏具を用意します。適当な台の上に花瓶・香炉・燭台を置き、花瓶には樒などの青葉を挿しておきましょう。 そして、お勤め用の線香白ローソクを用意します。他に、弔問に来られた方々への焼香用香炉を用意し、お盆もしくは小机の上に置いておきます。 (図)もちろん、火種用の香炭刻みの香も用意しましょう。この花瓶・燃香(線香に火を付け燃ずること)用香炉・燭台・焼香用香炉の4種は、枕勤めの際の基本の仏具であります。 近頃はこれらの仏具が含まれたセットを、葬儀社が「枕飾りセット」と称して用意してくることが一般的となりました。もっとも、陶器製の道具だったりして、当派の正式な仏具として使えるようなものではありませんが、仮に使用する分には問題ないでしょう。
ちなみに、この枕飾りセットには、
仏事の場であるご本尊の御前に置くべきでないものも混ざって、ワンセットになっている場合があるので気を付けましょう。仏具として必要ないという程度ならいいのですが、仏事の意味を見失うような重大な誤り/迷信に基づいた飾りつけを、それと知らずに行ってしまう事にもなりかねません。以下、その具体的な例を挙げておきましょう。

○置いてもかまわないが、置く必要も無いもの
 仏具ではないのですが、真宗の葬儀において以前使用してきた名残のあるものです。

@ 遺体の枕元の灯明。これは弔問された方が故人と対面するときに使用した照明の名残です。大きなローソクに灯をともし続けるのですが、電灯を使用する現代では必要ないものでしょう。
A
不断香用線香。遺体の布団近くに置きます。これは、遺体からの死臭に心惑わされないようにするための配慮であります。絶えず線香を燃ずる関係上、今般は渦巻き型のながーい線香を使用していることが多くなりました。この場合香炉に入れては使えないので、この線香用の灰皿とつり下げ金具を使用しています。現代ではドライアイスで遺体の保護をするので、以前ほど神経質に使用する必要はなくなりました。
B
枕元に飾る樒(枕花)。これは、通常@の灯明や、焼香用香炉と一緒に置かれています。香炉、燭台とくれば、花瓶も置きたくなるのが人情というものでしょうか。これについては、お内仏のあるお宅では「枕飾りセット」の花瓶が余ってしまう、ということも大きく影響しているようです。わざわざ置く必要はありません。
 これらはいずれも、置いても構いませんが、無くてもいいものです。逆にもし置かねばならないという強いこだわりがあるとするなら、自分勝手な意味付けをしたり、迷信に陥っている自分に気付くこととなるでしょう。

○置いてはいけないもの
 仏事の意味を見失う重大な誤り/迷信に基づいた飾り付けです。

・刀や剃刀などの刃物。枕元や布団の上に置く魔除けと言われています。必要ありません。帰敬式(おかみそり)用の剃刀として用意する向きもあるようですが、それは住職が懐に入れて持参すべきものであり、帰敬式執行以外の時に置いておくものではありません。
・一膳飯。死者の魂の安寧のためと言われています。お仏供とは異なる意味で飾るものです。必要ありません。
・六文銭などの旅装束。死出の旅に必要と言われている。俗信に由来しています。必要ありません。
・逆さ屏風などの逆さごと。死が日常茶飯事とならないようにすることと言われています。他にも葬儀ならではの特殊なしきたりは、ほとんどこれに該当します。必要ありません。
 これらはいずれも、単に仏事の飾り付けとして必要ないばかりでなく、ご本尊および死者を蔑ろにするような重大な誤りであり、人間の不安な心を麻薬のように甘く包み込む迷信に由来するものです。真宗の葬儀として懇ろに行うならば、本尊への尊崇とともに、
勇気をもって訣別すべきものでしょう。


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